「ん・・・んぅっんっう」  
女が恥部からはたはたと分泌液を垂れ流しながら声をあげる。  
轡をはめられ、腕を縛られ、脚を開いて固定されたまま。  
 
朦朧とした頭で女は考えていた。  
―どうして、こんなことになったんだろう  
何時ものように主人の相手をして、常連客の相手をして、客と飲みに出掛けた・・・  
筈だったのに。  
いつのまにか眠らされ、こんなことになっていた。  
 
女のぼやけた視界には二人の男が写っていた。  
一人はぎらついた目をし、女の体を責め続ける黒髪の男。  
もう一人は冷めた目で読書を続ける、銀髪の男。  
 
黒髪の男の手には快楽を与えるためのあらゆる玩具が握られ、もう数時間は女の体を弄んでいた。  
 
不意に男の手が速度を増すと、女が一段と高い声を上げる。  
「んっ!!!んぅーんー!!!!」そしてまた、だらしのない水音と項を捲る音だけが響いた。  
 
「何度目だ?」  
黒髪の男が問う。  
「11回、よく飽きないな」  
銀髪の男が目線を本に落としたまま静かに言う。  
「お前こそ、よく数えてるよな」  
「只の暇つぶしだ」  
「まぁ、俺も似たようなもんだよ」  
そんな会話も女の耳には届いていないだろう。  
 
女がこんな目に遭うのは訳があった。  
女の主である男が隠している宝。最後の扉の開け方を知るのは女と主人のみだった。  
 
「そろそろ話す気になってきたんじゃないか?」  
12回目の絶頂を迎えた女に黒髪の男が尋ね、轡をはずす。  
苦しそうに息を荒くしている女に、話を続ける男。  
「ん?どうした?喋って良いんだぞ?あんたも楽になりたいだろ?俺も正直、飽きてきた」  
その瞬間、女の中で何かが切れた。  
―もういい、あの男を守る義理もない。どうせ死ぬのだから・・・。  
 
「・・・・・・手」  
銀髪の男が項を捲る手を止めた。  
「あ・・・の人の・・・手以外では・・・封・・・が切れない・・・」  
本を閉じ立ち上がった男は  
「黄泉、後は好きにしろ。但し、始末は綺麗にしておけ」  
そう言い残し部屋を出た。  
残された男は、憐れむようにな笑みを浮かべ  
「あんたも俺も、ようやく楽になれるな」  
そう言って、女の喉に刄を突き立てた。  
溢れだす深紅の液体。  
小さく呻き、女は絶命した。  
その後、男は一人、快楽に耽るのだった。  
 
 
 
 
 
終  
 

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