飛え太くんは、これまでも蔵えもんの出す怪しいブツを使って、憧れのむくちゃん  
と何とか「イイ感じ」になろうとしてきました。けれど、いつも肝心なところで失敗  
してしまうのです。  
むくちゃんのお家に突然現れたはいいけれど、その時のむくちゃんは何故か入  
浴中だったりして、どうもタイミングが悪いのが蔵えもんの道具の難点でした。  
しかし、蔵えもんは全然気にしていません。  
「気にすることはありませんよ、飛え太くん。頃合良く、時間は深夜です。むくち  
ゃんは今頃きっと眠っていることでしょう。このチャンスを逃してはいけません。  
早速行きましょう」  
そんな、やけに行動力のある蔵えもんの悪魔の囁きに、日頃からむくちゃんの  
ことを考えてはハアハアしていた飛え太くんも遂に行くことにしたのです。  
 
そんな訳で草木も全部ぐっすり眠る丑三つ時。  
「さあ、着きましたよ。飛え太くん」  
「よし…この下にむくちゃんはいるんだな」  
「さすがに屋根裏は少し狭いですが、我慢のしどころですよ」  
真夜中だというのにやたらテンションの高い、フィーバーでフューチャーなバカ  
二人は、むくちゃんの部屋の真上に陣取って今回の作戦に相応しい道具を取  
り出しました。  
パッパラパッパッパー♪(効果音)  
 
「てなことで、今夜は催淫花を使いましょう。見た目はごく普通の美しい花です  
が、その香りには絶大な催淫効果があります。種から十分ほどで開花します  
から、それを眠っているむくちゃんの上に降らせましょう。エロティックな気分に  
なる上に視覚的にもロマンティシズム溢れる場面となりますので、二人が結ば  
れるにはまさに最適なシチュエーションになるかと」  
ちょっと眠くなっていた飛え太くんは、やや陶酔気味な蔵えもんの説明の最初  
しか聞いていませんでした。  
少し穴を開けて下の様子を伺ってみると、まさにむくちゃんはベッドの上で熟睡  
中でした。立っても座っても歩いても全部ばしっと決まっていて綺麗なむくちゃん  
は、こうして眠っている時でもまるで眠り姫のようです。  
その姿に思わず辛抱たまらん状態になった二人は、そのまま豪快に床板を踏  
み外して落下していったのでした。  
ドラ○もんと決定的に違うのは、むくちゃんがこの世界では最強だということで  
しょう。  
 
 
 
昨日の話に続く。  
 

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