「この前は大変でしたね、飛え太くん」  
前回、むくちゃん家に不法侵入した上に婦女暴行に及ぼうとしたことで、むくち  
ゃんの怒りを買って石化してしまった飛え太くんと蔵えもんでしたが、何とか復  
活出来たようです。  
でも、当然蔵えもんは反省0です。  
そんなけろっとした蔵えもんに対して、巻き添えを食った形の飛え太くんは苦々  
しく言葉を吐きました。  
「貴様の口車にうっかり乗ったばかりに…あれでむくちゃんに嫌われたらどうす  
る」  
「大丈夫ですよ、それぐらい」  
やはり蔵えもんは相変わらず信頼度の全くないことを言います。こんなんでも、  
飛え太くんの運命を変える為に未来からやって来たという素敵な触れ込みな  
ので、無碍にも出来ないのが頭の痛いところです。  
そんな飛え太くんの弱みを知ってか知らずか…いや、知っているのでしょう、  
悪い子に怖いプレゼントを贈る黒いサンタさん以上に腹黒い蔵えもんは、本当  
に飛え太くん助けるつもりなのか不明なブツをいつも出してきます。  
やたら長い説明と共に。  
ちなみに、蔵えもんは少し前に流行った薀蓄系番組の大ファンでした。  
 
「あ、おめーら元に戻ったみたいだな。良かったー」  
その日もてくてくと二人して学校へ向かう途中、やたら元気な声が二人を呼び  
止めました。振り向くと、飛え太くんと同じ年頃の少年が二人。  
「ああ、出来な杉くんに桑畑くん…でしたっけ?」  
未来世界では悪魔の頭脳と言われた蔵えもんでしたが、全然興味のないこと  
にはさっぱり情報収集能力が働かないようです。  
「変な名前勝手につけんな、俺は幽助だ。それと、こいつは桑原な。いい加減  
覚えろって」  
やや小柄な少年は、ぶんぶんと両手を振って怒っているようです。でも蔵えも  
んにはどうでもいいことでした。  
「…お前も大変だな」  
桑畑と言われた少年が、飛え太くんの肩をぽんと叩きました。  
「分かってくれれば、それでいい」  
既に飛え太くんも蔵えもんに関しては、達観の境地に入りかけていました。  
 
「…元に戻ったのか」  
二人の次に出くわしたのは、むくちゃんでした。  
飛え太くんが何かもごもご言いかけているのを見て、フッとかっこ良く笑う顔が  
今日も綺麗です。  
「お前等なら、突然何をするか分からんからな。この間は俺も寝ていて油断し  
ていた。今度は立ち向かってやるからな」  
 
むくちゃんは体育会系というか、戦闘系の女の子でした。なのでこの間のこと  
も明らかに何か勘違いしているようでしたが、飛え太くんの将来の為にもその  
ままにしておいた方がいいのかも知れないと、蔵えもんはちょっとだけ仏心を  
出しちゃったりしました。  
「…やる」  
そんなこんなしている間にも、ちゃっかり飛え太くんは道端の白つめ草をぶち  
ぶちと摘んでむくちゃんに差し出していました。むくちゃんも満更でもないよう  
です。  
「…飛え太くん…」  
なんか一気に恋愛モードな雰囲気の中、唐突に学校のチャイムの音が周囲  
に響き渡りました。今のは予鈴だったので、あと五分で学校に着かないとい  
けません。  
「まあ、後は若い二人だけで…」  
何かの場面の慣用句をしゃらっと吐きながら、蔵えもんは二人を学校へと送  
り出しました。  
「あ、じ、じゃあ…行こうか」  
「そうだな、飛え太くん」  
何だかんだ言いながらも、二人は結構お似合いのようです。慌てて学校に向  
かって走っていく後姿を眺めながら、蔵えもんは黒い笑いを浮かべていました。  
「まずは第一段階終了…と。でもまだハッピーエンドにはしてあげませんよ、飛  
え太くん。それじゃあ俺が楽しくないしね」  
飛え太くんの恋は、まだまだ前途多難のようでした。  
 
てか、諸悪の根源をどうにかすればいいと思う(作者12)  
 
 
 
終わり?  
 

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