自室に戻った躯の目に、ベッドに眠る飛影の姿が飛び込んできた。  
「なんだ?ひとの居ないうちに来て勝手に寝やがって」  
そっと横に座って顔を覗き込んでみると、起きてる時にはとても想像できないような幼い顔。  
なんとなく、頬を人差し指でつついてみる。  
ぷにぷに。  
程よい弾力とあたたかさ。  
「・・・・」  
次は自分の頬をつついてみる。  
ぷにぷに。  
・・・何やってんだ?オレは。  
その、ぷに具合に微妙な年の差を感じて躯は軽い欝になった。  
次に目に映ったのは飛影の口元。  
こいつ、小さな口してるよな・・・。  
起きてる時は憎まれ口ばかりたたいているけれど、こうしてみると可愛らしい。  
ちょんちょん。  
人差し指で下唇をつついてみる。  
思ったよりやわらかくてあたたかい。  
くんくん。  
顔を近づけて、匂いをかいでみる。  
・・・チャーシューの匂い。  
この匂いはたまにさせてるんで知ってる。  
また人間界で幽助に会ってきたな。  
躯は軽いジェラシーを感じた。  
さてと、どうしてくれようか。  
 
1:掛け物をかけてやる。  
2:優しく声をかけて起こしてみる。  
3:知らないふりして横で寝る。  
4:知らないふりして出かける。  
5:たたき起こしてぶんなぐる。  
6:そっと唇を奪ってみる。  
7:ひんむいて襲ってやる。  
8:顔に字(もしくは絵)を書く。  
 
正解は多分、3か5か8・・・。  
スレ的には6か7であろうか。  
自分の機嫌次第な選択肢だと思う躯であった。  
 
躯が考えてない補足  
9:どうするか悩んでるうちに飛影が起きる。  
 
 
 
数分後、躯の部屋にマジックを持って訪れる奇淋の姿があった。  
言われたとおりに小さくノックすると顔中に満面の笑みを浮かべた主人の姿が出迎えた。  
「ご苦労だったな」  
躯はマジックを受け取るとベッドの方へ向かう。  
奇淋は上半身裸で主のベッドに横たわるNO2の姿を見た。  
「躯様?これはいったい・・・」  
「飛影がオレの留守中にここで居眠りしてるんでな。ちょっとお仕置きをしてやろうと思って脱がせてみた」  
まるで悪戯っ子の様に笑いながら躯は飛影の横に座り込み、  
マジックのふたをキュポンとあけて何やら顔に書き始める。  
そのまま胸、腹、両腕にいたるまで同じものの絵を描いているようだが上機嫌で何かを呟いている。  
奇淋はそっと近寄って覗いて見た。  
・・・目玉の絵だ・・・。  
「邪眼の力をなめるなよ〜♪」  
小さく呟きながらペンを走らせる躯の姿を確認し、奇淋は目頭を押さえながらそっと部屋を後にした。  
なんだか頭がくらくらする。  
パタンと閉まったドアの外側で、奇淋の目から涙が一粒流れ落ちた。  
「躯様の目は、信じられないほど無邪気になってしまわれた・・・」  
 
大体の部分を書き終えたとき、躯は飛影の下半身をどうしようかと悩み始めた。  
「やっぱここまで書いたんだからな。足にも書かずにいるなんてできやしない、できやしないよ・・・」  
まるで野口さんばりの怪しい笑みを浮かべながら、躯はとうとう飛影をすっぽんぽんにしてしまった。  
大腿から足の甲にかけてまで丁寧に目玉を書き込んでいく・・・。  
そのマジックの感触に身体が微妙に反応しているのだろうか。  
飛影の分身が微妙な半勃ち状態になり躯の頬をわずかに染めさせた。  
その時、飛影の口から「う・・・」と小さな声が漏れた。  
思わずどっきりしてしまったが寝言のようだ。  
すぐに寝息がたち、寝言だと思われるような言葉が後に続いた。  
「幽助・・・、もう喰えん・・・」  
躯の心に、再びめらめらと嫉妬の炎が燃え上がった。  
そういえばこいつは以前、霊界でテロ騒動があった時に  
死ぬかもしれないような場面に幽助と共に居残ったりしたこともあったっけ。  
幽助という人間に、男として惚れこんでいるような所があるのは知っている。  
飛影の意識に触れたことのある躯にはよく理解していることなのだがやっぱり面白くない。  
男なんかに自分の独占欲が向けられていることに少々戸惑いながらも、  
躯は今現在、おちゃめパワーも全開になっていた。  
躯は左手でそっと飛影の分身に手を添え、マジックで竿部分に字を書き始めた。  
『むくろの』  
横には小さくハートマークを書いてみる。  
さすがに顔中を真っ赤に染めて、なんだか今すぐ大声を出して走り回りたいような、  
両手で顔を隠して叫びながら床をのたうちまわりたいような変な気恥ずかしさが沸き起こってきた。  
でもあらためて手を止め、飛影の全身を見てみると・・・たまらん!!  
躯は声をころしたまま腹を抱えて笑いだした。  
その時、躯の耳に飛影の声が飛び込んでくる。  
「・・・おい」  
「は!!」  
飛影はゆっくり起き上がると自分の姿をゆっくりと眺めながら、次に躯の手に握られてるマジックに  
目を留め、一気に妖気を噴出させた。  
「お、おちつけ飛影!べっ、別にオレは、邪眼の力はなめていない!!」  
飛影の頭の中で何かの糸がぷちんと切れた。  
そのまま妖気を集中させ、躯の居た場所に一気に叩き込むと  
百足にぼっこり穴ができ、躯はそこから笑いながら外に避難するが飛影も追ってくる。  
「貴様!殺す!!」  
笑いながら腹筋を痛めている躯VSらくがき全裸の邪眼師飛影・・・。  
そんな手合わせを窓から眺めつつ百足の住人達はため息混じりに頭痛薬を飲んだ。  
 

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