「そら、食え」
人間界から戻ってきた飛影はまっすぐ躯の部屋に来るといきなり何かを放った。
ぱしっ。
そんな音をたてて躯の手の中におさまった赤い果実。
「林檎だ。皮も食える」
「ふぅん・・・なんかいい匂いがするな」
嬉しそうに微笑んで手の中の林檎を胸元の位置で眺めてる躯。
飛影はついついその胸の膨らみと比べてしまいちょっとだけ頬を染めた。
林檎の赤は唇の色。その果肉は肌の色・・・。
・・・そんな風に思って今までは口にしていたのだがまた別の見方もあったもんだ。
そんな視線を感じて、躯の表情が微妙に曇る。
「・・・お前、まさか今、何かと何かを比べてるんじゃないだろうな?」
その表情から妙な殺気を感じて飛影が部屋を飛び出してしまったことで、
躯は初めて食べる林檎がどこまで食べれるのかわからず芯まで食べてしまったとか。