「・・・で、幽助は何がいいたいんですか?」  
蔵馬が箸を起き幽助に向き直る。  
・・・幽助のラーメン屋台にオレと蔵馬。  
さっきから幽助は暗い表情でため息をつきつつ何か蔵馬に言いたげだ。  
まあ、何かを聞いたり相談したりの相手としてはこいつは適任だからな。  
ここはオレの出番でもなさそうだから知らん顔してラーメンをすする。  
実はこれを食って帰ると機嫌の悪くなるヤツがいるのだが、  
何か適当な土産でも持って行けばごまかせるだろ、とか思いながら。  
「螢子がさあ、このあいだ初めて口でしてくれたんだけどよお、それが超へたくそで、  
おまけにすっげえむせてげほごほやって夕方食ったもんまで吐いてたんだ。  
なんかかなりショックだよなあ・・・」  
「ぶっ・・・!」  
飲んでる汁を吹き出しちまった。  
食ってるもんがまずくなるようなネタだ。  
「初めてでへたとか言ってたら螢子ちゃんがかわいそうですよ。  
それにいきなり上手にされる方がショックでしょう?」  
・・・アホかこいつらは。  
へたくそなのは幽助の方じゃないのか?  
「・・・幽助、お前、いきなり出しただろう」  
「へ?気持ちよくなったらそりゃあいきなり出るに決まってるだろ?」  
まさにいきなりはなしだしたオレに、幽助と蔵馬が意外なモノを見るような目を向ける。  
「それなら妙なところで受けて気分が悪くなってあたりまえだ。  
出すときは出ると言ってやれ。で、少し引いて向きを変えてから出したらいい。  
ただでさえそこに至るまでに喉の奥にあたってて吐き易い刺激を与えてる。  
そんなことに慣れてもないやつにいきなり出したりするとむせて吐くのはあたりまえだ。  
それに無理やり飲ませずに吐き出させることや外に出すことも考えてやれ」  
「・・・飛影がそんなことを言うだなんてめちゃくちゃ意外だがそれはともかく、  
お前はそん時にそんなこといちいち考えたりしてる余裕はあるのか?」  
「オレは声をかけてるだけだ。受けていい場所に微妙に位置を変えてるのはあいつの方だ」  
「でもそんなことされたらひっこまないか?」  
「そうならんように引いて向きを変える瞬間、唇や舌で微妙な圧迫を加えてくるな。そのへんは工夫してもらえばいい。  
それにへたとか言う前にやってる最中にどこをどうされるといいのかとかちゃんと教えてやらんと上手くならん。  
あと、ぼーっとされてるだけでなく最中に髪とか撫でてやるとやってる方も嬉しくて気分がのってくるらしい。  
お前がさぼってたら嫌な印象だけを与えてしまう。もう二度としてもらえんぞ」  
「つまり飛影は幽助の方がへたくそだと?」  
「その通りだ。さぼりすぎてる上に感謝の気持ちが足りないな。ついでに会話も足りんようだ」  
「・・・」  
「・・・」  
「なんだ?」  
「オレ、男として飛影には負けてるような気がしてきましたよ・・・」  
「なあ、躯と螢子、仲良くなってくれないかなあ?そういう話してほしいよ。  
ってか、お前、いい生活送ってるんだな・・・」  
ため息をつく幽助&蔵馬。  
ひょっとしてオレはこいつらに勝ったのカ?  
 
 
「・・・で、どうしてもむせこんでしまうと」  
「はい・・・」  
しゅん・・・。  
そんな擬音が聞こえてきそうな声色だ。  
「数回に分けてでてくるだろ?それまで飲まずに口内に溜めておくんだよ。  
で、大方出てしまってから少しずつ飲み込めばいい。  
出てるそばから飲もうとするからむせるんじゃないのか?もう少し自分のペースを持たないとダメだ」  
「でも、溜めてたら味わっちゃうじゃないですか。あんなもの、生臭くて美味しいもんじゃないでしょう?」  
それならしてやらなきゃいいのに。  
いいかげんイライラしてくるがそこはぐっと堪えてやる。  
「それなら出る瞬間口から出して外に出させるといい。別に無理に飲まなきゃいけないもんでもないだろ?」  
食いもんじゃないんだから。  
「でも、飲んであげると嬉しいものなのかなと思って・・・」  
「こういう行為はどちらかがガマンするもんじゃないぜ。両方が楽しむもんだ」  
「・・・躯さんは美味しいと思ってるんですか?楽しくてやってるんですか?」  
信じられないとでもいいたげだ。  
「別にまずくはない。あいつの味だから素直に味わってるだけだ。  
楽しいとはちょっと違うけど、してる最中に髪を撫でられるのはかなり嬉しいかな。  
気持ちよさそうに目を瞑ってる表情とか見ると可愛くてテンションがあがる。  
まあ、オレの場合は手合わせであいつをコテンパンにやっつけてしまった後ととか意図的に仕掛けてるけどな。  
このテの行為は女が強い場合、立場の平衡をたもつのにちょうどいいんだ」  
「そ、そうなんですか・・・?」  
「あんまりお調子にのってる時とか、喧嘩の後とかにしてやるもんじゃないぜ。逆効果だ」  
「・・・・・・」  
そういう時にしてるのか・・・?  
「・・・落ち込んでるときとか、疲れてるのに欲情してる時とかにいいんじゃないか?」  
「・・・そうですね・・・。最近、それで滅入っちゃって普通にするのも嫌になっちゃってました」  
「ま、そういうことだから、タイミングには気をつけろよ」  
「ありがとうございました。すごく参考になります。またお電話します」  
そう言うと人間界からの電話が切れる。  
『また』電話するだと?  
たく、なんでオレが幽助の女とTEL友になってやらないといけないんダ?  
 
 
 
「うわあああんっ!躯さあああんっ!!」  
螢子からまた電話がきた。正直やれやれだ。  
なんか泣いてるみたいだがまた幽助が何かしでかしたのだろうか。  
せっかく飛影とのんびりベッドでくつろいでたのに邪魔してほしくないんだが。  
と、ちらりと横を見ると手のひらをぴらぴらさせて知らん顔だ。  
ま、いっか。電話の相手くらいしてやろう。  
「今度はなんだ?」  
「幽助が、普通にするより口のが気持ちいいって、しょっちゅうやれやれ言うようになったんです。  
私、なんだか頭にきて殴り飛ばしてやったんですけどくやしくって!!」  
しかたないな。  
「・・・螢子、口の中に溜められるようになったか?」  
飛影が『何の話をしてるんだ?』とでも言いたげなどっきりした目を向ける。  
「・・・はい。それはできるようになりました」  
「よーし、それじゃあ口に溜めたままにっこり笑ってキスをしろ」  
「・・・はい?」  
「出されたものは全部本人の口の中に流し込んでやれ」  
「・・・は・・・い・・・?」  
「飲み込むまで絶対に口を離すな。以上だ」  
がちゃん。  
電話を切ってやった。  
全く、世話のやける・・・。  
ふと飛影を見ると、ちょっと涙顔に見えたのは気のせいか。  
 

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