「あ、そうだ。蔵馬、お前知ってるか?」
珍しく本を読みに来たと思えば、急に質問攻めをされるのも、これはこれでいつもの事で。
読んでいる物から質問を想像したい所だが、何冊も手元に持って行った挙句に表紙カバーがあるので何を見ていたか、
それがまず判らないのでこちらはただ首を傾げるのみ。
「いえ、何を知っているか聞かれているのか、それがまず判りませんけど、幽助」
にっこりと微笑みを浮かべながら、相手の本の中を見ようと軽く立ち上がりかけた蔵馬に、幽助は楽しそうに一言。
「着物ってさ、着る時に下着つけねぇんだってよ!って事はだ、雪菜ちゃんは」
「・・・・・・・・・・それ以上言ったら殺す」
「おや飛影、いつの間に来たんですか?とりあえずお茶を用意しますから、部屋は汚さないで下さいねー」
言いかけた口をパクパクとさせながら冷や汗を流す幽助と、その背後で剣を抜いて立つ飛影を置いたまま、蔵馬は階下へ。
言われてみれば、確かに着物だと下着の線が出るなぁなんて呑気な事を考えつつ。
「あ、そうなるとぼたんさんも着てないって事になりますねぇ」
お茶を載せたお盆を持ちながら、つい霊界の知人の脱いだ姿なんかを想像したのはご愛嬌。
部屋に戻れば、さっきの体勢のまま幽助がまだ硬直していて、飛影はまだ背後で鬼のような顔になっていて。
「も、もう言わないから!むしろ想像しねぇから、頼むからもう剣離せってば飛影っっ」
「一回お前は殺しておいた方が良さそうだな、幽助」
「・・・・・・・・・・部屋、汚さないで下さいって言いましたよねぇ、俺・・・・・・・・・躯呼びましょうか?」
部屋の入り口から向かって来る殺気には、飛影まで冷や汗を流したとか、何とか。