今日も今日とて蔵馬の部屋には幽助が居座っていて、何やら本をゴソゴソと。
しばらくしてから、振り返った彼はどう見ても怪しい方向への期待に満ち溢れた眼差しで。
「なぁなぁ蔵馬、俺さー、今すっげぇ事思いついたんだけどよ!」
「はいはい、今日は何を思いついたんですか?」
軽く諦めが混じった溜息をつきつつ、蔵馬は相手の方へと視線を向ける。
「ほら、よく時代劇で悪代官が女の帯をクルクルほどくってのあるじゃねぇか、って事はぼたんも」
「・・・・幽助、後ろ後ろ」
くるり、と振り返った幽助の前にはいつも以上に極上の笑みを浮かべたコエンマの姿。
「のぅ幽助、お主はまた霊界へ来てみたいとか思ったりせんか?」
「か、勘弁しとく・・・ぜ・・・」
冷や汗をダラダラとかきながら呟く幽助に満足そうに頷いた後、コエンマは窓から外へと出て行った。
それを見送ってから、冷や汗をかきながら幽助がポツリと一言。
「・・・蔵馬、俺ってそんなに悪い事言ってない・・・よな?」
「普段の行いの結果、と言っておきましょうか。ところで貸してたDVD無くしたんですってねぇ、幽助」
にこやかに笑いかける腹黒狐の笑顔が一番恐かったとか何とか。