「やや、これはやらしきさん」  
 
人生18年長しと言えど、街中で小学5年生にやらしいと評される程に  
終わった事をした記憶はなかったのだが、  
それでも一応恒例の突っ込みは入れておこう。  
 
「人を助平の塊みたいな名前で呼ぶな。僕は阿良々木だ」  
「失礼、噛みました」  
「嘘をつけ!そんな悪意に満ちた噛み具合があってたまるか」  
「下肢を見た」  
「見てねえよ!小学5年生の脚には興味ねえよ!」  
「そう言えばそうですね、誤解でした、すみません」  
「分かればいいんだ、分かれば」  
「阿良々木さん、小学5年生の胸に興味津々な方でしたもの、ね」  
「全然分かってねえよお前……っ」  
「ほほう、阿良々木さん、あれだけのことを繰り広げて興味が無いと?」  
 
…確かに、この件に関しては僕の方に問題があるだけに、  
何とかして弁解しないと非常にまずいのだが。  
しかしそれにしても八九寺真宵、相変わらずのパーソナリティーである。  
尤も、この上小学5年生と話すのが楽しいなどと言ってしまうと、  
途轍もなく僕の将来的によろしくない気がしてならないのだが。  
 
「いやいや、あれは不可抗力だと言っているだろうが。  
 こんなにも健全な高校生を捕まえて何を言うのかな、一体」  
「ふむ、確かに阿良々木さんは年の割には純粋な方ですよね」  
「年の割にはというのが気になるが、ようやく分かってくれたか」  
「ええ、高校生と言う性欲の塊のような年頃から鑑みるに、  
「阿良々木さんは随分と純粋な方だと思います」  
「…いや、全世界の高校生を敵に回したぞ今、お前」  
「いえ、阿良々木さんの純粋さを表す指標にしただけです。  
 戦場ヶ原さんとのご関係を例に挙げても、そうだと思いますが」  
「純粋…ねえ。確かにプラトニックではあると思うが」  
「ええ…分裂寸前の危ない関係だとお聞きしましたし…」  
「ちげえよ!それはプルトニウムだよ馬鹿野郎!!」  
 
やはり全然分かってくれていなかった。  
それにしても、小学5年生にまで危ない関係と評されるに至るとは、  
僕と戦場ヶ原の将来に一抹の不安を感じざるをえない。  
…いや、一抹どころか一万の不安でも物足りない気がするが。  
 
「時に八九寺、お前携帯電話は持ってないのか?」  
「変態でんな?アホスギさんにそれを言われたくはありませんが」  
「言ってねーよ!それから阿良々木だ!  
 先祖から続く由緒ある苗字を間抜けに改変するな!」  
「失礼、噛みました」  
「嘘をつけ」  
「嗅ぎつけた」  
「僕はそこらのオヤジか?別に臭くはねえよ」  
「そんな、自らを昇華しても、虚しいだけですよ?」  
「臭気だから!僕はそこらの臭いオヤジ以下なのかよ」  
「ええ、阿良々木さん、確かににおいますよ?」  
「フォローする気は無いのかお前」  
「自らの大便と書いて、臭いますよ」  
「ぐぁ……。それは止めだ、フォールだ!突き落としてるだけだ」  
 
面と向かってと臭いと言われるのって、  
死ねなんていう安直な言葉よりよっぽど酷いんじゃないだろうか…。  
罵詈雑言数々あれど、これほどダイレクトに響く言葉はそう無いだろう。  
 
「じゃあ何ですか阿良々木さん、匂うと言って欲しかったのですか?」  
「いや、まぁそっちの方がまだましである事は確かだな…」  
「そうですか、それでは阿良々木さん、匂います」  
「良い香りがするって事か?」  
「寝る時はシャネルの5番だ・け・よな匂いです」  
「よりによってなんてチョイスだよ!僕はちゃんと服を着て寝るよ!」  
「いや、阿良々木さん、真面目な話。  
 匂いと性欲は密接な関係にあるのですよ?」  
「どこが真面目なのかは知らんが、そうなのか?」  
「ええ、古のなんとか大王は、その独特の体臭で  
 老若男女問わずを魅了したそうですし」  
「ありがたいようで全くありがたくない話だな、それ…。  
 一体なんて大王なんだ?」  
「確か…阿良々木さんだ大王とか言ったような…」  
「それはアレキサンダー大王だよ!僕は男と関係を持った事はねーよ!」  
 
というか、何故にアレキサンダー大王が  
両性愛と言う事を知っているのだろうか…。  
何というか、色々な意味で全く底が知れない子供だ。  
 
「しかし、小学生がよくアレキサンダー大王についてなんて知ってるな」  
「ふふふ、阿良々木さん。私に判らない事などこの世には無いのですよ。  
 例を挙げるに、阿良々木さんのお好みのプレイもその枠外では。  
 阿良々木さんの好みのプレイがローションプレイと言うことぐらい、  
 私に掛かれば朝飯前に把握できるのですよ?」  
「はっ!?何故知っている、ちょっと待てお前が何故知っている!?」  
「それは阿良々木さん、私これでも幽霊ですから」  
「な、さては貴様まさかあの時姿を消して店内の僕をっ…!?」  
「朝の6時に公園で大きな声で歌われている方がいらっしゃれば  
 嫌が応にもそれぐらいの事は把握できてしまいますよ」  
「朝飯前って本当に時間の事かよ!つーか幽霊じゃなくても出来るよ!」  
 
…焦って損をしたが、しかし何だろう。  
それ以上に由々しき事を聞き逃したような気がしてならないのだが。  
 
「んー、すまん八九寺、もう一度今の文を復唱してくれないか?」  
「…?  
 『阿良々木さんはロリコンです』  
 ですが、一体何か?」  
「嘘をつけ嘘を!」  
「失礼、噛みま「やかましいわ!!」  
「ああ失礼、  
 『朝の6時に公園で大きな声で歌われている方がいらっしゃれば  
  嫌が応にもそれぐらいの事は把握できてしまいますよ』  
 でしたね』  
 
…僕に午前6時に公園で自らの隠された趣味を叫ぶ狂った趣味は無い。  
となると、非常に厄介極まりないのだが、  
僕の趣味を知っている何者かがそれを行っている訳で。  
もっと言えば、僕の趣味を知っている人間などこの町内には、  
どこやらのストーカー後輩しか居なかったりする訳で。  
 
「……えーっと、八九寺君」  
「何でしょうか濡れすぎさん」  
「人の秘めた趣味を公開するんじゃねえ!僕の名前は阿良々木だ!」  
「失礼、噛みました」  
「嘘をつけ嘘を!  
 まぁそれはともかくだ。その午前6時に大きな声で叫ばれていた方は、  
 ひょっとして以前僕の体を飛び越してたあの方か?」  
「んー、そういわれれば似た感じの方でしたね」  
「…やっぱりそうですか」  
 
……一体何してくれるのかな、あの後輩。  
だが不幸中の幸いと言うべきか、 今はまだ6時からそれほど経っている訳でもない。  
今止めれば被害は最小限に留められるだろうか。  
 
「すまん八九寺、話はまた今度だ。悪いが事は一刻を争う」  
 
なにやら物言いたそうな八九寺を放置して、  
兎にも角にも公園へ向かって駆け出す。  
両頬を膨らませた八九寺のほっぺたを押さずに立ち去るというのは  
かなりの自制心を要求されたが、しかし名誉に欲求は代えられないのだ。  
…僕の名誉は小学5年生の頬を押す程度の事と張り合ってるのか?  
 
 
--------------------------------------------------------  
 
 
「阿良々木先輩、阿良々木先輩、あっららぎせんぱ〜い  
 ローション大好き、マゾっ娘大好き、あっららぎへんた〜い」  
 
…改めて聞いてみると、絶望的以外の言葉で表現するのが難しい…。  
どこが幸いなんだろうか。何が最小限なんだろうか。  
僕の名誉の価値は果たして今この瞬間に及んでも、  
八九寺の頬をプッシュする事と張り合えるんだろうか…。  
 
「最後にさり気なく変態とか言ってんじゃねえよ!  
 その前にまず公共の施設で淫語を堂々と謳い上げるんじゃねえ!  
 謝れ!全力で僕に謝れ!」  
「やや、これは阿良々木先輩、全く以って申し訳ない。  
 この私の不肖の身如きで贖える様な物ではないが、  
 それでも一死大罪を謝して侘びと代えさせて頂こう」  
「待て待て待て、誰もそこまでしろとは言ってない、落ち着け神原」  
「嗚呼・・・私如きにまで菩薩のような優しさを注がれるとは、  
 さすがは阿良々木先輩と言うべきか。  
 生まれ持った度量が全く違うのだろうな。  
 恐らく私が遥か地平の彼方まで下がって見上げた所で、  
 その大きさを量り知る事など適うまい。  
 しかし、私とした事が敬い崇めるべき人生の先達たる  
 阿良々木先輩に先に声をお掛けさせしてしまうとは…」  
「違えよ!誰もそんなことで謝罪を求めたわけじゃねえよ!!  
 それほど崇め奉る先輩の評判を地の底に追い落とすような事をするな!」  
「なんと…このような無礼を不問に付されるとは。  
 阿良々木先輩の器の大きさは地平の彼方如き表現では全く表せないな」  
「わざと話題をそらしているんだなそうなんだな」  
 
相変わらず、過剰に僕を持ち上げる癖は抜けていないようだった。  
いや、持ち上げるなどと言う嫌味な意味合いはなく、  
純粋に僕の事を尊敬してくれているのだろうが。  
しかしそれならばなお一層の事、  
その尊敬する人物の評判を落とすような事をしないで欲しいのだが。  
 
「いやしかし私としてはだな、  
 阿良々木先輩の素晴らしさをもっと他の人にも知ってもらおうと」  
「性癖を謳い上げる事の何処に僕の素晴らしさが隠されていると言うんだ」  
「いやしかし私としてはだな、  
 ラギの猥らしさをもっと他の人に知ってもらおうとだな」  
「さり気なく改変して正反対の意味にしてんじゃねえよ!  
 しかもラギって呼称はまだ生きてたのかよ…」  
「ふむ、まぁそれは冗談なのだが。  
 阿良々木先輩がスクエニにリストラされたと聞いて、  
 落ち込んでいるのではないかとおもってな。  
 私なりにテンションを上げてもらおうと思ったのだ」  
「確かに僕としてもそれ自体は非常に悲しいし、  
 長々とそれらしき事を述べてもらったところ悪いが、  
 それはギラだからな。魔法だからな」  
「む、しかし阿良々木先輩も魔法使いであるからにして、  
 大差は無いのではなかろうか」  
「使えねえよ!僕は25歳には程遠いし、相手もいるぞ。  
 チャンスはこの先幾らでもある。  
 って神原待て、なんだ嫌過ぎる微笑は!  
 僕の言っている相手はお前の事じゃないぞ!」  
「む・・・違うのか。それは非常に残念だ。  
 悲しみの余り思わずブルマを取り出してしまいそうだな。  
 そして取り出したブルマを握り締めて戦場ヶ原先輩の前で、  
 『仕方が無いではないか…履かねばお金をくれないと脅されたのだ』  
 、等と意味も無い事を口走ってしまいそうだ。  
 いや、特に気にしなくていい、意味は無いのだから、な」  
「……」  
 
…純粋に僕を尊敬してくれていた、  
出会った頃の神原は何処へ行ってしまったのだろうか。  
戦場ヶ原の悪い方面の影響にだけをどんどん受けてないかこの後輩っ!  
特に最後の読点の辺りから感じる悪意が絶妙にデンジャラスだ。  
 
「というか本当に、何故いつもお前はブルマを所持してるんだよ」  
スピード違反で職務質問やら身体検査やらされたら、  
一体どうするするつもりだ、この後輩。  
「ほほう、それでは阿良々木先輩としては  
 ブルマを持っていない方が良かったというのか?」  
「良いも悪いもそれ以前の問題だろう・・・」  
「なるほど。阿良々木先輩としては千石ちゃんとのくだんの出来事の際に  
 私がブルマーを持っていなかった方が良かったという事か。  
 女子中学生を全裸に引ん剥いて鑑賞したかったと言う訳なのだな、  
 それは申し訳ない阿良々木先輩。  
 あまりに申し訳なさ過ぎて思わず戦場ヶ原先輩に懺悔したくなる位だな、  
 そうは思わないか阿良々木先輩?」  
 
……いや、本当に、恨みますよひたぎさん?  
 
「はぁ…全く。『健全に生きる』を座右の銘としている僕が、  
 何故に後輩の女の子とこんな話をしなきゃいけないんだよ…」  
「座薬プレイ?その年にしてそんなプレイを嗜まなくても、  
 前立腺ぐらい私が刺激」  
「座右の銘だっつってんだろ。お前はもうその口を閉じて黙ってろ万年発情猫」  
「発情猫…嗚呼…素晴らしい。  
 褒め言葉一つとっても、  
 阿良々木先輩の溢れ出す才能が見受けられる…」  
「ごめんなさい僕が悪かった!」  
 
何故こいつを罵倒しようなどと考えたのだろうか。  
試すまでも無くこの後輩、真性のMだった事を忘れていた…。  
というかこんな会話、公園でするにはそれこそデンジャラス過ぎる  
僕のプライバシーのためにも取り合えずこの危険物を我が家に隠すべきだな……  
 
「神原、取り合えず立ち話もなんだし僕の家に来ないか?」  
「む、それもそうだな」  
なんか怪しく瞳がきらめいていたのは見なかったことにしておこう  
 
 
--------------------------------------------------------  
 
 
「とまぁ先程、公園では長々と言っていたが、全て冗談だ阿良々木変態」  
「冗談だと言っている割に人の部屋でも敬称が蔑称なのはどうしてだ神原変態!」  
「嗚呼…」  
「ええい黙れ!」  
「まぁさておきだ、阿良々木先輩ももっとポンチンを晒してだな、  
 私と付き合うべきだと思うのだ」  
「何だその嫌過ぎる誤植は!本心だよ大馬鹿野郎!  
 あれだけの事を歌い上げた以上、せめてもう少し誠志を見せろ!」  
「そうつまり精子をだな」  
「上手くねーよ!上手くねーどころか最低だよ!」  
「しかし阿良々木先輩の場合本心だがアソコだが、  
 大した差が無いように思うが?」  
「つまり何か、要約すると僕に喧嘩を売ってる訳だな?」  
「何を言っているのだ阿良々木先輩。この私が敬愛する阿良々木先輩にそのような事をする筈がないだろう」  
「……」  
 
私の阿良々木先輩への敬愛っぷりと言ったら、ファンクラブを作ろうとしたら間違えて不安クラブになってしまったぐらいだ」  
「何だその集団自殺のための会員制サイトみたいな名前は!仮にも敬愛する先輩のファンに自殺したほうがマシだとでも言うつもりかお前は」  
「それは行間を読みすぎだ、阿良々木先輩。どちらかと言うとこの場合不安なのは阿良々木先輩の将来のほうだ」  
「うるさいうるさいっ!僕の将来を不安にさせてる主な原因が言うんじゃねえ!  
 というかどこが行間読み過ぎだ!?読み足りないくらいじゃねえかよ!」  
「何?強姦を試みたりない?そうかそうか、それでは私が相手になって」  
「いや何かもう恥ずかしすぎて穴があったら入りたくなる会話を繰り広げるのはやめてくれ…  
「穴?穴ならここにあるぞ阿良々木先輩!!」  
「感嘆符まで使って主張するな。お前は一生墓穴にでも埋まってやがれ」  
「おけつ?おけつとな阿良々木先輩。いや私もBL好きであるからにしてそのようなプレイにも理解はあるほうだが、  
 流石に初体験も済まさないうちに後ろの穴から責められるのは御寛恕願いたいのだが」  
「ぼけつだと言ってるだろうがこの万年発情猫っ!」  
「ふふふ、これが本当の墓穴を掘るって言う奴だな、阿良々木先輩」  
「上手いこといってんじゃねえよ!」  
「それでは阿良々木先輩、美味いことをしようでないか」  
 
本当に言うが早いかだったのだろう、気付くと僕は仰向けに倒された挙句、神原の脚で押さえつけられていた。  
それだけで弱小バスケ部を全国区まで導いた、その驚異的な脚力で。  
 
「ところで阿良々木先輩、私の男好きのする引き締まったボディと、意外にもふくよかだったりする谷間と、  
 すらりと伸びたムチムチな足、一つ選ぶなら何がポイントだと思う?」  
「いやそりゃまあ神原といったら脚力だろうが…、っていうか一体何をするつもりだ!離せ神原!」  
「しかしまだ阿良々木先輩のライフはたくさん残っているからな、HA☆NA☆SEと言われても困る」  
「何か!?僕は最低でも後8回はこんな仕打ちに耐えなきゃいけないのか!?」  
「いやいや阿良々木先輩、ここはまだ言うなれば相棒に使っちゃ駄目だと言われている場面だ。  
 この程度をカウントに入れるつもりは私は毛頭ないぞ」  
「いいから離せよ神原、冗談にも程っていう奴はあるはずだぞ」  
「冗談?冗談だと?そうか阿良々木先輩、それでは私が本気であることを理解してもらおうか」  
 
これまた言うが早いか、僕のズボンに手を掛け出しやがった  
抵抗しようにもがっちり押さえつけられた僕は、結局何をするでもなくそれを眺めている事しか出来ず……  
……ああ!分かってるさ、本気で嫌がればこいつがすぐ止めるだろう事ぐらいは!  
だけどこの状況でそんなことを言ってられる奴がいたら今すぐ挙手してみやがれ、童貞限定でな!  
というかあれだ。多分嫌がれば止めてくれるだろうし、うんもう少し。もう少し黙ってみても構わないだろう  
 
「さて阿良々木先輩、分かっているだろうが私は自費深い」  
「その明らかな誤字はどう突っ込めばいいんだ」  
「自費深いが故に、阿良々木先輩に不快な思いをさせた代償は私自らが払おうと思う」  
「要らないので慈悲にしてくれませんか神原さん」  
「それは却下だ。何度もいうが、あなたは私が敬愛する阿良々木先輩なのだから。  
 さて、私は自費深くさらに慈悲深くもある。  
 故に阿良々木先輩には好きな方法で満足してもらおうと思う」  
「聞いた事がねえよそんな慈悲深さ!それは死に方を選ばせてやると言ってる様なもんだ!」  
 
神原は  
 
「ふむ、しかし何だかんだと言っても阿良々木先輩の本心は違う所にあるようだがな」  
 
そう呟き、にこにこ微笑ながらその脚で露出した僕のものを擦りあげた  
 
「くっ……」  
思わぬ攻撃に声を漏らしてしまっていた  
いやソックス越しとは言え普段とは全然違うその感覚、そりゃ声も出るって。  
 
「ふふふ、阿良々木先輩。どうかしたのか、妙な声を上げてしまって?」  
「お前……普段のドMっぷりは一体ど……こへ」  
話す間にも擦りあげる脚を緩めもしないお蔭で声がどうしても上ずってしまう。  
「阿良々木先輩、Mと言うのはつまりどう責められれば気持ちいいのか熟知しているという事だ。  
 特に阿良々木先輩のような受けの人に関してはそれはもう本人以上に知っているといっても過言ではないのだぞ?」  
「聞いた事もねえよそんな理屈!つうか受けって言うな受けって!」  
 
「口答え禁止」  
「ぐっ……くああっ!」  
 
一瞬緩んだ隙を狙って突っ込んだその刹那、両の足裏で強く挟みあげられた僕は危うくそれだけで飛びそうになる  
緩んだのなら抜け出せと言われても、それはまだ早い、まだ。もう少しいけるはずだ  
そんな打算を繰り広げる僕の煩悩は、この後見事なまでの裏切りを見せてくれるのだが  
 
「ふふ、阿良々木先輩は前にうかがった事があるが、確かローションのような物が好みだったな。  
 そんな阿良々木先輩にクイズがあるが、これは一体なんだろうな?」  
「うかがったもなにもそんなことをお前に聞かれた記憶も言った記憶はないぞ僕は!?」  
「ああ少しニュアンスが違うな、うかがったといっても別に阿良々木先輩が購入するのを背後で見ていただけだ」  
「それは本当にニュアンスがちげえよ!ただのストーキングじゃねえか!」  
「まあそんな些細な事はおいておいてだ」  
「人のプライバシーを些細な事扱いするな」  
「これはなんだ?」  
「無視か、無視なのか」  
「なんだろうな?」  
 
言いながら擦り上げを再開する神原  
 
「なんだろうな」  
 
すべすべなソックスの感覚やら、柔らかな足裏の体温やら  
 
「な ん だ ろ う な ?」  
 
何より後輩の、それも彼女の親友の女の子に脚でしごかれていると言う非現実的な光景に負けて  
 
「ローションですねローション!!」  
 
やけっぱちで叫んでいた  
 
「よくできました。と言う事で阿良々木先輩にはご褒美を上げようと思うのだが」  
言いながら小瓶のふたを捻る神原  
しかし、これ以上はやばい。間違いなく  
ここで区切りをつけなければ、恐らくこのままずるずると責められた挙句最後には僕が懇願する事になるだろう  
そのパターンは進研ゼミで習ったよ!  
 
「もう止めてくれ神原……」  
 
力なく呟く僕。というかさっきから思ってたけどやっぱり脚は反則、脚は  
光景がとんでもなくエロ過ぎる  
その上ソックスは履いたままとか、僕の心を読んでるのかこいつは  
 
「ふむ?なんだ阿良々木先輩、止めてほしいのか?」  
言いながらも脚の動きは止めない神原  
「本当に?本当に止めてほしいのか?」  
目の前で小瓶をちらつかせながら意地悪くささやいてくるが、ここで落ちるわけにはいかない  
「後悔するぞ?自慢するわけではないが私以上に阿良々木先輩を満足させられる人などそうそう居ないぞ」  
 
自信満々に言い放った神原は、小瓶を横に傾けた  
零れ伝った中の液体はそのすべやかな脚をも伝い、僕の元へとたどり着く  
 
「ふふ、これでも本当に止めてほしいのかな?阿良々木輩?」  
そしてさっきとは打って変わり、交互に激しく脚を上下させる  
そのトロトロとした感覚や潤滑液をえた行為そしてただでさえ最大級だった光景が、さらに淫靡さを増す  
自分で言うのもなんだが、こんなにすごい物だとは思わなかった  
自覚できるぐらいに股間が脈打っているのが分かる  
 
「で、止めてほしいのか?」  
 
「や…め……」  
もう口だけなのは自分でも分かってるが、だからといって認めるわけにもいかない  
 
「そうか。ならやめて差し上げよう」  
そういうと、神原は行為を中断した  
中断したといっても相変わらず脚は離さないままなので、なんというか生殺しだ。完全に。  
そして思わず何故と呟きかけたその瞬間を見計らったかのように  
 
「あ…くあああ!!!」  
 
これまでとは比較にならない強さでそれを挟み付けめちゃくちゃに上下に動かした  
凄まじい快感が股間に走り、何がなんだか分からなくなるくらい頭が真っ白になり、  
叫び声とローションの水音とがヌチャヌチャっと響き渡る中、僕は神原の脚に精液をぶちまけていた  
それはもう盛大に、彼女の顔にまで飛び散るくらいに  
 
「ふふふふ、阿良々木先輩?止めてほしいのではなかったのかな?これは一体何なのかな?」  
白い物を滴らせながら嬉しそうに微笑みながら問いかけてくるその顔を見て、また膨れ上がるのが分かる  
「くくく、その上彼女の後輩に精液をぶちまけた事に興奮しているわけか。  
 とんでもない男だな、阿良々木先輩、いや阿良々木変態は。  
 そんな阿良々木変態にはお仕置きをせねばならんな、後輩として」  
「うくっ……」  
再び動きを再開させる神原  
出した直後だというのに何の加減もなく擦りあげられ、声が漏れ出てしまう  
「おやおや、先程まで嫌がっていたくせにたったの一擦りで声を漏らすのか」  
「うるさ…くああっ!」  
 
「口答えは禁止だといったはずだ、阿良々木変態」  
もう何がなんだか訳が分からない  
目を開ければ黒いソックスがローションでテラテラとひかり、さらに大量の僕の精液で白く染まっているのが目に入り、  
ビクンビクンと震えるのを抑えられず  
「ふふふ、阿良々木先輩のが足の裏で震えているのが分かるぞ?」  
目を閉じたら閉じたでそんな台詞で脳がゆすぶられ  
「おやおや、なんだ、もういってしまうのか、阿良々木先輩」  
見透かされたような台詞にすら反応してしまう  
 
そしていよいよと言うその瞬間  
 
「ふむ、やはり無理強いはよくないな阿良々木先輩」  
とその脚を離された  
ああ、もう完全に進研ゼミで習ったとおりだなとか遠いどこかで考えてはいるが、口をついて出たの  
「なっ……なんで……」  
の一言だった。それを聞いた神原は鬼の首を取ったかのような顔で囁く  
「おやおや、なんだ止めてほしいのではないのか阿良々木先輩?  
 そうでないのなら私としても喜んで続きをさせて貰うのだが?」  
「ぐ…く……頼む…」  
言っちゃ駄目だ言っちゃ駄目だと考えるまもなく僕は懇願していた  
 
しかし、何故か行為が再開しない  
「なんで……」  
「阿良々木先輩、人に物を頼むにはそれなりの態度があるのではないかな?  
 せめて主語と述語ぐらいはっきりさせたらどうなんだ?」  
完全にドSだった。どこの戦場ヶ原だよこいつは……  
こんな所まで影響受けなくていいのになあ……  
 
「どうなんだ?」  
脚がそれに添えられ  
「ど う な ん だ ?」  
少しずつ動かし始める  
 
「僕を……神原のあ……しで…いかせて……ください」  
「聞こえないな」  
「僕を神原の足でイカセテください!!」  
 
そしてあっけなく僕の煩悩が大勝利だった。我ながらいかさま情けないが仕方ないだろう  
「ふむ、をやでで終わる文節は形態的には主語として扱わないのだがな」  
っていや本当にどこの戦場ヶ原だよ、その突っ込みの観点は  
 
「まあ、そんな台詞を恥ずかしげもなく叫んだ阿良々木先輩に免じてその願いをかなえよう」  
言い放ち、先程のように足裏ではなく、今度はスカートをめくり上げ露わになった太ももにそれを挟み込む  
さっきの足裏とは比較にならない柔らかさで包み込まれ、脈打つ  
「あ……」  
「え?」  
「な、なんでもない。それより気を散らしていていいのかな?」  
返し、先程のローションを今度は太ももに垂らす神原  
「ん……」  
そしてまたやけに艶やかな声を上げる  
 
……ああそうか、太ももって事は要するに振動がダイレクトに伝わるわけですね……  
等と悟りきった口調で言っている場合ではない  
さっきから言ってるがただでさえ視覚的にも感覚的にもエロ過ぎるのに、そこに聴覚が入ったらやばすぎる  
「ちょっと待ったか「ん…く……」  
 
声をかける前に動き始めていた  
最初はゆっくりとゆっくりと包み込むように、そして次第に動きを早めていく  
ローションでひんやりとしてぬるぬるなだった感触が段々痺れるように変わっていき、  
それと平行して神原の喘ぎ声も激しくなっていく  
「あっ……うあっ」  
 
「…あっあああっ!」  
 
「んんっ…うっあああっ!」  
ぬちゃっと言う音とその喘ぎ声が聴覚を刺激し、はやくも2度目の射精が近づいてくるのが分かる  
「んくあっ!らら!ぎへんた!っつく!!もういきそうなのだろうっ!  
 いけっ!はやくっう!い……ってしま……え!!」  
 
「くあっああああああ!!!」  
その声に逆らえず、あっという間に白いものが噴出し、神原の顔を胸を足を制服を染めていく  
「……二度目だというのに、呆れる量だな……阿良々木先輩。  
 しかもまだ萎えすらしないとは一体どういうことだ……」  
荒い息で顔を上気させて問いかけてくる神原  
思い当たる事はある。というかそれしかない  
吸血鬼、自己治癒力の強化、新陳代謝の強化  
 
……あの糞吸血鬼がああああああっと頭を抱える僕の横で、  
「ふふふ、丁度いい。くしくも阿良々木先輩は先程8回もとおっしゃられたが現実になりそうだな。  
 さて阿良々木先輩、次はどこがいい?  
 また足か?それとも白く染まったこの口か?手か?意外にふくよかだったりする胸か?  
 それとも……」  
とか嬉しそうに言い放つ神原。  
 
「現実になるか!これ以上こんな事を続ける気かお前は!  
 ああ……やっぱり大人しく公園で話してりゃ良かった……」  
「む?公園?公園とな。なるほどさすが阿良々木先輩、貞操は公園で失いたいというのだな  
 いきなり青姦とは阿良々木先輩、さすが分かっておられる」  
「目を輝かすな顔が近いまともに会話をしろっ!」  
「さてそれでは先程の公園に」  
「胸でお願いします」  
 

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