――屋上。  
「クロちゃん」  
「っ……! 小串ちゃ……ん……?」  
どうやら、ぼくの声真似も捨てたものじゃないらしい。  
ぼくの呼びかけに振り向いたろり先輩は、途端失意の表情を浮かべた。  
「……弔士くん、その格好とても似合っているわ。小串ちゃんに瓜二つね」  
その格好というのは、もちろん女装のことだ。  
「そうですか? ぼくとこぐ姉は結構似てるって、割と自分の中で評判だったんですよ?」  
「……もっと私に構ってちょうだい。その格好も見られて嬉しいわ。もっと着て見せて」  
取り付く島もない、というかすがりつく藁もない。  
「んー、ぼくはですね。ろり先輩が心配なのでそれは出来ないんですよ」  
そこで、なんというかまあ、歯の浮くような口実作りが始まるわけです。  
「ほら、ろり先輩って。敵の攻撃を避けて油断しているぼくに『弔士くん、危ない!』って突っ込んできてぼくを庇って死ぬキャラっぽいじゃないですか……」  
「……わ、私がヤムチャポジションだと良くわかったわね? 面白いキャラ付けありがとう。とっても嬉しいわ。  
私って、今すぐ結婚したいって思うくらいヤムチャが好きなのよ!」  
「まあ、そんな前置きはここまでにしといてですね……」  
「…………」  
「もう一度言います。ろり先輩、好きです。付き合ってください」  
「OKよ」  
「駄目ですか……」  
やっぱり胸を揉んだのがいけなかったのだろうか?  
ああ、病院坂先輩の従姉妹の人のおっぱいは大きかったなあ……。  
ろり先輩のも手にすっぽりと収まるサイズでよかったけれど。  
「朝のことはいつまでも覚えているから、もっと告白しなさい」  
「実はろり先輩もぼくのことが好きなんじゃないですか?」  
「なっ……よ……良くわかったわね! 実は雨の日にあなたが子猫を助けたのを見てからずっと好きだったのよ!」  
「いえ、こういう場合のお約束としては良くあるかな……と思ったんですが、駄目でしたか」  
どうやらろり先輩はツンデレではなかったらしい。  
いや……常識的に考えて、実はぼくのこと好きだったんだろ? とか聞いて素直に答えるツンデレがいるわけないんですけどね。  
「どうしても……駄目ですか?」  
「努力すれば結果は変わるかもしれないわ」  
「そうですか、残念ですよ」  
ぼくは、後ろ手に隠していたスタンガンをロリ先輩の腹部に押し付け、気絶させた。  
「無理やりというのはあまり好きではなかったんですけどね……残念です」  
 
ろり先輩をほぼ全裸に剥き(靴下だけ残すのがぼくのこだわりだ)両手首と足首を少しきつめに布で縛り上げる。  
そして胎児が母親のお腹の中で眠るように、横向きに膝を抱える姿勢をとらせた。  
とりあえずもうすぐ日が暮れそうな時刻になってはいるけれど、今は夏なのでそれほど寒くはなりそうもない。  
ぼくはろり先輩が自然に目を覚ますまでとりあえず放置していた。  
「っ……!? な、なに……? これ……!?」  
「あ、ろり先輩おきました? って、そんなに睨み付けないでくださいよ……」  
「も、もっときつく縛りなさい! それと、服を脱がすなら靴下までちゃんと脱がしなさいよ! こ、この……紳士!!」  
「変態って言いたいんでしょうけど、その対義語は紳士というのは正しいんですかね……? まあ、変態という名の紳士では、あるんですけどね」  
というか、こんな状態でも普通にしゃべろうとはしないんだな。ろり先輩……。  
「何でこんなことを。って思ってます? まあ、理由なんて特にありません、ってのが本当の所ですね。  
いや、どうせならろり先輩と付き合って堂々とこんなえっちぃことしたかったんですよ?  
でもどうしても無理だって言うから、こうしてこのまま『処女のままどれだけ淫乱にさせられるか計画』を発動しているわけです」  
「も、もう引き返せないわ! 絶対許さないから覚悟しなさい!」  
(い、今なら引き返せるわ! 許してあげるからやめなさい!) かな……。  
ぼくは冷静にろり先輩の言葉を脳内で翻訳しながら、すっとお尻を撫でる。  
「ひゃっ……!」  
小さく悲鳴が上がり、ぼくはしばらくろり先輩の可愛いお尻を撫で続けた。  
ろり先輩は体を揺すって逃れようとしているけれど、手足を縛られているのでもがくことしか出来ない。  
「ああ、安心してくださいろり先輩。この計画は、処女のまま……というのがコンセプトですから」  
「な、安心なんて……できるけどっ! 弔士く……っ……!?」  
先輩が絶句したのは、ぼくが先輩のアナルに少しだけ指を突っ込んだからだ。  
ヒクヒクとしていたその穴は思ったよりも狭くきつい。  
指サックをつけているからかもしれないけれど、この器官はやっぱり性的な行為には向いてないのではないかと思えてくる。  
いや、まあ本来は性行為に使用することのない部位なんだけれど。  
 
「やっぱりそのまま入れるのは指一本でも痛そうですね……ローションをつけるとしましょう」  
ぼくは鞄の中から予め用意しておいた道具の一つであるローションを取り出し、指サックにたっぷりと塗りつける。  
「やめないでっ! あっ、ち、ちが……あぁぁぁっ!」  
そして再び、ろり先輩のアナルに人差し指を突っ込んだ。  
ずぶずぶ、ずぶずぶと、ローションのおかげか。先ほどよりもスムーズに入ったためつい調子に乗って大分奥まで突き入れてしまった。  
「ひ、ひぁぁっ!」  
ろり先輩は、泣き声とも悲鳴ともつかぬ声を上げて体を震わせる。  
ぼくは、淡々と、男ならもっと他に目を向ける胸や性器にも目を向けず、ひたすらに人差し指を抽迭させる。  
ぬちゅ、ぬちゅ、と音がたち始め。  
その度に、「あっ、……ぎっ」とろり先輩の反射的に上げられる声が耳に届く。  
 
 

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