「ん、もうこんな時間か」  
現在朝の九時過ぎ。仕事に出掛けると親に声をかけられて初めて時間を確認した。  
妹たちはとっくに学校に行っているだろう。  
僕の高校は進学する生徒はこの時期登校の自由を認めているので、僕は通学する必要はない。  
昨日羽川との勉強で、あるコツを教えてもらったら面白いようにはかどった。帰り際にほどほどにしておくように言われたが、いつの間にかこんな時間になっていたのだ。  
「徹夜で勉強なんてすごい久々だな……」  
自主的にやってこれなら自分を誉めてやりたいとこである。  
家庭教師二人から見ればそれくらい当たり前とか言われるんだろうけど。  
今日は家庭教師は休みなので自習だ。このまま続けてもいいのだけど、羽川の言う通りあまり詰め込み過ぎてもよくない。腹は減ってないので軽く横になっとこう。  
僕は下着姿になってベッドに向かおうとすると声をかけられた。  
「おぬしも今から寝るのか?」  
バンパイアが現れた。言わずと知れた忍野忍、僕の影に潜む吸血鬼である。  
「ああ、徹夜しちゃったからな」  
「うむ、じゃあ儂も寝るとするかの」  
何故僕のベッドに入る?  
「よいではないか、たまには一緒に寝ようぞ」  
くいくいと指で誘ってくる。  
「まあいいけどさ」  
僕もベッドに乗る。本来一人用だから狭いけど寝れなくはない。忍は小さいし。決して僕の身体が小さいわけではないのであしからず!  
横になると忍は僕の右腕を掴んで頭の位置に持っていき、枕にする。  
それくらいはいいかと思ってたら、さらに抱きつくように身体の半分を僕の上に乗せてきた。  
って。  
「おい忍! なんで裸なんだ!?」  
「ん? ベッドで寝るときは普通世界共通で裸じゃろ? おぬしも裸ではないか」  
僕は横着なだけで日本はそんな文化じゃねぇ!  
「それにあのツンデレ女と寝るときもこうではないか、同じものだと思えばよい」  
「あいつはそんな凹凸のない身体じゃねえよ!」  
日本がサッカーで誇ったフラットスリーみたいな身体をしやがって。  
「なら別に発情もせんじゃろう、子どもがじゃれついてるだけじゃ」  
そんなことを言っても僕の身体を撫でる手付きが明らかに子どもじゃない。  
それに凹凸がないとは言え、ぷにぷにした肌を押し付けられたら下半身が反応しないわけがない。  
何とか平常心を保たないと……。  
「何を大きくしておるのじゃ?」  
五秒も持たなかった!  
 
手を伸ばしてさわさわとトランクスの上から撫で回してくる。  
「おい、やめろって」  
が、忍は僕の言葉を無視して手を動かし続ける。  
「そういえば最近飲ませてもらってないのう、久しぶりに使ってみんか?」  
忍があーと口を開け、舌を出して先っぽをちろちろと動かした。  
「忍、お前まさかそのために出てきたんじゃ……」  
「さて、何のことかわからんの」  
トランクスの裾から指が侵入してきて、袋をくにくにと弄られる。  
「くっ」  
このままいいようにされてたまるか。  
僕はちょっとした意趣返しのつもりで左手を忍の股間に伸ばした。  
くちゅっ。  
「んっ……」  
忍が顔をしかめる。  
え?  
僕は慌てて引っ込めてその手を確認する。  
「ば、ばかっ、見るでない!」  
忍は慌てて僕の手を隠そうとしたけど遅かった。  
撫でるように少し触れただけなのに、その指は雫が滴り落ちそうなほどに濡れている。  
「忍、お前……」  
「何じゃ」  
ちょっと拗ねたようにぷいとそっぽを向いた。  
やばい、可愛い!  
僕は再び手を伸ばし、忍の局所に触れる。  
「んぅっ」  
びくんと忍の身体が震えた。  
「や、やめいっ」  
さっきされたように僕は忍の言葉を無視して指を動かす。  
陰核を指先で優しくいじると、びくんびくんと忍の身体が跳ねる。  
「だ、駄目じゃと言うておろうに」  
言葉とは裏腹に忍は膝を立てて触れさせやすい態勢を取る。  
なんていうか『へっへっへっ、そうは言っても身体は正直だぜ』みたいなシチュエーションだ。そんなことを言ったら間違いなく僕は無事でいられないだろうけど。  
「ん……んっ」  
目を瞑って真一文字に口を閉じて声を抑えている姿を見るともっと色々してみたくなる。  
「いつも忍にしてもらってるから、今日は僕が口でしてあげようか?」  
僕の言葉に忍は目を見開く。  
「ち、調子にのるでな……あっ」  
つぷ、と秘口に中指を差し込むとセリフが中断された。  
しとどに濡れているためあっさり入ったけど、指一本なのにすごくきつい。抜けなくなるのではないかと思うほどにぎゅうぎゅうと締め付けてくる。  
枕にしていた腕でそのまま忍の頭を抱えて引き寄せ、額にちゅっとキスをする。  
「あ……」  
僕はそのまま忍の顔にキスの雨を降らした。  
額に。瞼に。頬に。顎に。  
心地良さそうにしていたが、耳朶をれろりと舐めると顔をしかめる。  
「ど、どこを舐めてるのじゃ!」  
が、構わずに僕は続けた。  
唇で挟み、舌を形に沿って這わせる。  
 
「ん……あ……あ」  
妖艶な声がその小さな口から洩れ出る。  
その声にあてられて、僕は動きを激しくした。  
中指を奥まで入れてくいくいと回転させるように動かし、親指で敏感な豆を擦る。  
さらに舌で忍の耳の穴を攻めた。ぐちゅぐちゅとわざと音を立ててかき回す。  
「あ! あ! ああっ!」  
忍の膝やつま先がぴんと伸び、背中がぐうっと反り返る。  
「も、もう駄目じゃっ!」  
「いっていいよ忍、見ていてあげるから」  
僕が囁くと忍が顔を真っ赤にした。  
「な、何をっ……んっ」  
僕は手の動きを早める。  
「ほら、いって」  
「み、見るな! たわけが!」  
忍は両手で僕の顔をぐいっと引き寄せ、唇に吸い付いてきた。  
そのまま舌を絡めてきて僕の口内を蹂躙していく。  
僕はそれを受け入れながら左手で忍を攻め続け、右手で頭を撫でる。  
忍は僕の唾液を啜り、首に手を回して抱きついてきた。  
そういえば体液ならば血液の代わりになるとか言ってたけど唾液もそうなんだろうか?  
そんなことを考えながら舌を絡めて唾液を送り込んでいると、ついに忍が達した。  
「んっ! んうっ! んんんんんううううっ!」  
くぐもった悲鳴を上げながらびくんびくんと身体を跳ねさせ、僕にしがみつく。  
僕はいき終わるまで舌と指で攻め続ける。  
やがて軽く痙攣しながらもふっと力が抜け、僕に身体を預けるように脱力した。  
僕は唇を離し、左手を背中に回して抱きしめる。  
時折ふるふると身体が震えていたが、ようやく落ち着いたようで、またきゅっと抱きついてきた。  
「忍、気持ち良かった?」  
「……おぬし、随分と上手じゃのう」  
「んー、どっちかというと忍の感度が良すぎる気が」  
「そんなことはないと思うが……ところで、じゃ」  
ちなみにさっきから忍は僕の胸に顔を埋めたまま会話をしている。恥ずかしいのかどうかは知らないけど。  
「おぬしはまだ満足しておらんじゃろう。その……よければ儂のこっちを使ってみるか?」  
忍はそう言って僕の太ももに濡れた股間を擦り付けてきた。  
「え、えーと」  
どうしよう?  
 
「いや、その身体じゃ忍がつらいだろ、やめておくよ」  
「むう」  
忍は顔を上げてじーっと僕の目を覗き込むように見てくる。  
「やせ我慢ではなく、本当に儂の身を案じておるようじゃな。あるじ様は優しいのう」  
くっくっと笑う。  
「からかうなよ……でも僕のが欲しいってことは忍も満足してないのか?」  
「な、何を!? 人を淫魔みたいに言うでない!」  
「ふーん」  
僕は言葉を返さず、左手をまた愛液でぬるぬるになってる忍の股間に持っていった。  
「あっ、や、やめっ、んっ」  
「僕のを入れるのはつらいだろうけど、指一本くらいならちょうどいいかな?」  
つぷっと再び中指を入れると待ち焦がれていたようにきゅうきゅうと締め付けてくる。  
「あ、あ、駄目じゃ、まだいったばっかりで、やめ、あっ!」  
特に動かしたりはしていないのに、指を入れてるだけでびくんびくんと忍の身体が跳ねる。  
あまりに感じているようなので一旦指を抜いた。  
忍が大きく肩で息をする。  
「わ、儂が儂でなくなるかと思ったわ」  
……そんな忍も見てみたいかも。  
よし。確かに最近あまり構ってやれてなかったし、今日は忍が心行くまで相手をしてあげよう。  
僕は忍を仰向けに寝かせ、覆い被さる。  
「な、何じゃ? ……んっ」  
ちゅ、と唇を合わせて愛撫し始めた。  
両手で背中や脇腹を撫で、うなじや鎖骨に口をつけて軽く吸う。  
肩から二の腕にかけて甘噛みしていき、肘から手のひらに舌を這わせ、指を一本一本口に含んで丹念にしゃぶる。  
それを終えると反対側の腕を今度は指からしていく。  
「ん……」  
忍は気持ちよさそうな声を上げた。  
そのまま舌をほとんど膨らみのない胸に這わせ、脇腹やへそを刺激しながら忍の身体を下っていく。  
ただし、ピンと張っている胸の突起には触れなかったのでちょっと不満そうな顔をされた。  
脚の付け根に辿り着いてぐいっと開かせると、毛も生えていない一本筋の性器が眼前に露わになる。  
が、僕はそれに触れず、腕と同じように片足ずつの愛撫を始めた。  
舌を這わせて時折甘噛みをし、指をじっくりとしゃぶる。  
「ん……う……」  
忍は切なそうな声をあげ、シーツをぎゅっと掴んだ。  
 
やがて僕は反対側の脚を経て、また付け根に戻ってくる。  
そのまま脇腹に移ってへその周りを舐めると、忍は何かを懇願するような目で僕を見た。  
「どうしたの忍?」  
「……っ!」  
何かを言おうとして口を閉じ、切なそうな表情をする。  
……なんか戦場ヶ原の気持ちが少しだけわかった気がする。  
僕は右手の人差し指を忍の口元に持っていく。  
「忍、指入れてあげるから濡らして」  
言うが早いか忍は僕の指をしゃぶり始めた。唾液をぐちゅぐちゅと絡めて舌を這わす。  
「ん……」  
僕は充分に濡れた指を口から抜くと忍の下半身に持っていき、お尻の穴に押し当てる。  
「なっ! そ、そっちは違っ……」  
少し力を込めるだけで、垂れてくる愛液とふやけるほどにしゃぶられた指によって小さな穴にあっさり挿入された。  
「や、やぁっ! 汚いじゃろっ!」  
「汚くなんかないよ、忍のだもん」  
吸血鬼は摂取したものは全てエネルギーとして吸収するため、排泄行為は一切ない。  
排泄器官は人間だったころの名残のようなものなので、本当に汚いなんてことはないのだ。  
それでも恥ずかしいのか僕の手を必死にどかそうとしてくるが、力がほとんど入らないようで無駄な抵抗にしかならない。  
軽く出し入れするだけでびくんびくんと身体を震わす。  
「んっ、んっ、んっ」  
忍は両腕で顔を隠し、口をぎゅっと閉じて声を抑える。  
くいくいと円を描くようにかき回し、出し入れするのを速めるとびくびくと脚が震えた。  
「や、やぁっ! 後ろで、後ろなんかでっ!」  
僕は小さいながらも立派に自己主張している胸の突起に吸い付いた。軽く甘噛みして、舌で舐め上げる。  
空いている手でもう一方の乳首をつまんでくりくりと刺激すると、押さえつけるのが大変なほど忍の身体が暴れる。  
「や、やっ、こんなの! こんなのぉっ! ひ、ひいいいぃぃぃっ!」  
びくんっ、とひときわ大きく身体を震わせて忍はまた達した。  
後ろの穴では堪えていたが、散々焦らされて攻められた乳首で耐えきれなくなったようだ。  
しばらくじっとして様子を窺っていると、しゃくりあげるような声が聞こえてくる。  
「嘘じゃ……お尻で……お尻なんかで……」  
ちょっとやりすぎたかもしれない。  
僕はまた忍とキスをして抱きしめる。  
「ごめん、忍が可愛かったからつい」  
「むー……」  
「お詫びに今度はちゃんとこっちでいかせてあげるよ」  
「え、ちょ、ちょっと待つのじゃ!」  
僕は忍の脚の間に顔を埋めた。  
 
筋を指で開くと、とろとろと愛液の溢れる性器があらわになり、僕はその源泉に吸い付く。  
「あひっ、だ、駄目じゃ、また、儂、あっ」  
忍は文章にならない言葉を発し、僕をはねのけようと頭を押す。  
僕はその手をつかみ、忍の胸に添えさせて自分の指で乳首をいじらせる。  
最初はちょっと抵抗していたけどしばらくすると自発的にいじりはじめた。  
それを確認して手を離し、すすっていた蜜を両手の指に絡める。  
そして前後の穴両方に両手の指を一本ずつ押し当て、ずぷっと埋めた。  
同時にくるんである包皮を剥き、最も敏感でむき出しになった豆を舌先でチロチロと刺激する。  
「ぐ、がぁっ! ぎひぃっ!」  
獣みたいな悲鳴をあげ、忍はばたばたと暴れた。  
僕は指をかき回し、陰核を唇で挟み込んで吸う。  
「お、おおおおぉぉぉぉっ!!」  
動物の雄叫びのような声をあげ、忍はあっという間に絶頂に達した。腰や背中が浮き上がるほどに身体が反り返り、両の指が潰れそうなくらい二つの穴の締め付けが強くなる。  
「あっ…あっ…あ……っ」  
びくんっ、びくんっ、と身体を痙攣させ、やがて忍がいき終わると僕は指を抜いて顔を上げた。  
「うわ……」  
忍が白目をむいている。  
以前八九寺のも見たけど、やっぱり引く。  
そろそろ僕もしてもらおうかと思ったけどちょっと萎えてきた。  
まあきっと忍も満足してくれたろうし、当初の目的通り少し横になるとしよう。  
僕は反応のない忍を抱き枕のようにして寝る。  
意外と疲れていたのかすぐに眠りについてしまった。  
 
 
 
 

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