「忍、どういう事だよ?」  
羽川とちょっとした付き合いのあった日の夜、僕は自分の影に向かって呼びかけた。  
「ん、何のことじゃ?」  
姿を見せずに声だけ返ってくる。  
もう起きているようだ。  
「昼のことだよ」  
「昼……?」  
どうやら本気でわからないらしい。  
いや、僕もあの時の様子からある程度予想はしていた。  
多分寝ぼけていたのだとは思っている。  
「………………あっ」  
しばらく待っていると何かに思い当たったようだ。  
おそるおそるといった感じで聞いてくる。  
「元委員長とのあれは…………夢ではなかったのか?」  
「はあ……」  
僕はため息をついた。  
忍はそれで察したようだ。  
「すまんすまん、悪気はなかったのじゃ」  
「あったら二度とミスタードーナツ食わせてやらねえ!……まあ羽川も軽く流してくれたからいいけどさ」  
「悪かった……しかしお前様は幼児体型が好きなのだと思っていたがそういうわけでもないのじゃな」  
「人をロリコンみたいに言うな!」  
僕は至って健全な男子高校生だ!  
巨乳だって好きだし眼球だって舐めたい。  
「ふむ、それでは」  
なにやら忍がごそごそとやり始めた。  
いや、影の中にいるのだからわからないがそんな気配がぷんぷんする。  
またろくでもない事を考えついたのか、悪い予感がした。  
が、僕が何か言う前に忍は姿を現し、僕を見下ろす。  
ドレス姿で、僕よりも上からの目線で。  
「え…………?」  
目の前にいるのはかつて僕を吸血鬼にし、そして殺し合いを演じた伝説級の怪異。  
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード!  
「し、忍……?」  
「ん、ああ、これは別に力を取り戻したとかそういうことではない。ただの変身能力で化けた姿じゃ」  
忍はそう言ってまだ茫然としてる僕を引き寄せる。  
そのまま勢い良く忍の身体に倒れ込んでしまい、顔がばふっとその豊満な胸に埋まった。  
慌てて離れようとしたけどそのまま忍に手を回されて固定される。  
「ほれほれ、儂の胸もあの元委員長に負けておらんじゃろう?」  
ぐりぐりと押し付けられ、顔の左右で忍の胸が柔らかく暴れた。  
思わず抵抗をやめた僕に忍が囁く。  
「儂もこの胸でお前様を気持ちよくしてやろうか?」  
「…………」  
僕は忍の胸に顔を埋めたまま頷いた。  
 
「今日は素直じゃな」  
くくっと忍は笑い、僕をひょいと抱えてそのままベッドに放り投げた。  
僕のベルトに手をかけ、手際良くズボンとトランクスを脱がしていく。  
びぃん、と屹立した肉棒を見てぺろりと舌なめずりをした。  
「こんなに苦しそうにしおって……もうすぐ楽にしてやるぞ」  
言うなり忍はばさりと自分のドレスを剥ぎ取った。  
ぶるんと両の胸が揺れ、僕はその巨大さにごくりと唾を飲む。  
忍は僕の脚の間に身体を割って入れ、肉棒を掴んだ。  
そのまま胸にあてがったかと思うと、あっという間に二つの柔肉の中に包まれる。  
「ほれほれ、気持ちいいか?」  
「あ……うああ……っ」  
その柔らかい感触に僕は声を漏らす。  
左右からむにゅむにゅと擦り上げられて思わず腰が浮いてしまい、先っぽが忍の胸の中から突き出た。  
その瞬間、局部から脳髄に快感の電流が走る。  
「ああっ!」  
僕は悲鳴のような声をあげた。  
先端に忍の舌が這ったのだ。  
腰を引くと忍の柔らかい胸に包まれ、突き上げると忍の突き出された舌に先っぽを舐められる。  
やばい、すごく気持ちいい!  
僕は夢中になって腰を振った。  
「ああ……忍、もう……もういきそう」  
「ん、よいぞ」  
忍は頭をもたげ、先端をぱくっとくわえる。  
唇が締め付けられ、割れ目に舌が這った。  
胸で思う存分しごかれて僕はあっという間に限界を迎えてしまう。  
「あ、出るっ……忍の、口と胸で……出るよ……っ」  
僕は忍の頭を掴み、腰を振って激しく突き込んだ。  
唇と胸がぎゅうっと締め付けてくる。  
「あ……出るっ……あ……あ……あ……あああっ!」  
とうとう限界を超え、びゅるびゅるっと鈴口から精液が噴射された。  
僕の頭の中は真っ白になり、思考が停止する。  
「あっ……あっ……ああ……っ」  
だらしない声を漏らす僕はただ快感を求めて腰を振り、幾度も忍の口内に射精し続けた。  
「あ…………はあ……はあ」  
やがてすべて出し切り、僕はぱたりと四肢を投げ出す。  
忍は挟んでいた胸を離して少し奥まで肉棒をくわえ、ちゅううっと尿道に残った精液を吸い出す。  
「う……っ」  
びくんと僕の身体が跳ねる。  
ちゅぽん、と口を離した忍はむぐむぐと口内で僕の出した精液を舌で弄ぶ。  
それを見ていた僕に気付き、忍はひょいと僕の手を掴んで自分の喉に触れさせる。  
こくんと飲み込んだ精液が喉を通って行くのがわかった。  
「あ……」  
二度、三度と喉が鳴らされ、すべて飲み干されていく。  
 
最後にあーと口を開け、全部飲んでやったぞと言わんばかりに見せつけてくる。  
「し……」  
僕が何か言う前に忍はばふっと覆い被さってきた。  
しかもちょうど顔が胸に挟まれる位置で。  
「ん? 儂の胸はどうじゃった?」  
ぐりぐりと大きな胸を押し付けながら忍は聞いてきた。  
僕は答える代わりにれろりと忍の胸に舌を這わす。  
「ん……」  
ぐいっと忍の身体をベッドに寝かし、今度は僕が上になった。  
そのまま巨大な両胸を揉みしだき、ぴんと尖った先端を舐め上げる。  
左右とも均等に舐め、時々くわえてちゅうっと吸う。  
「ん……はぁ」  
忍の甘い声が漏れ出る。  
もっともっと忍を気持ちよくしてやりたい。  
そう考えた瞬間だった。  
「あ、い、いかん!」  
忍が叫ぶ。  
何事かと思った僕の目の前で忍の身体に異変が起きた。  
まるで映画のCGでも見ているかのように忍の身体が縮んでいったのだ。  
茫然とする間もなくあっという間にいつも通りの忍の身体になる。  
「……忍?」  
「むう……今の儂ではこのくらいの時間が限界のようじゃな」  
どうやら変身能力は時間制限があるらしい。  
忍は名残惜しそうに自分の胸をぺたぺたと触る。  
「すまんな……せっかくお前様を楽しませれるかと思ったが」  
忍はちょっとすまなそうに言う。  
僕は黙って再び忍の胸に吸い付いた。  
「あっ……な、な」  
さっきとは違ってその胸は凹凸もなく肉付きも乏しいものだったが、構わずピンク色の乳首に舌を這わす。  
左右ともひとしきり舐めたあと、僕は身体を起こした。  
「僕はさ」  
両方の突起を指でいじりながら忍に話しかける。  
「そりゃ大きい胸も好きだけど、それじゃなけりゃいけないってわけじゃないんだよ」  
きゅっと指で軽くつまむ。  
「忍のこの小さくて可愛い胸だって大好きだ」  
忍ははっと顔を上げて何かを言おうとしたが、結局何も口に出さず僕にされるがままだ。  
ぎゅっと眉根を寄せて胸から与えられる快感に必死に堪えている。  
僕は一旦胸から手を離して忍の両手を掴み、それを忍の脚の間の付け根に持っていった。  
案の定濡れているそこに忍の指を這わせる。  
「え? なっ…………んむっ」  
忍が何か言う前に僕は自分の唇で忍の唇を塞いだ。  
そのまま忍に自分のをいじらせる。  
片手で最も敏感な陰核を、もう片手で秘口を。  
僕が手を離しても動きをやめないのを確認し、唇を離して指での胸への刺激を再開する。  
「あっ! あっ! ああっ!」  
ぐちゅぐちゅと水音が響く。  
 
忍の指が激しく小刻みに秘口を出入りしていた。  
「すごいよ忍、気持ちいいんだね?」  
僕の視線に気付いて忍はいやいやするように首を振る。  
「み、見るな、見るなぁっ!」  
そうは言っても指の動きは止まらない。  
いや、止まれないと言うべきか。  
その自慰行為をする忍の痴態に、僕のものはいつの間にか完全に勃起状態になっていた。  
忍の口元にそれを寄せると、気付いた忍は躊躇わず僕の肉棒を口に含んだ。  
いっそこのまま激しく突き込んでやろうかとも思ったが、今の忍の口の大きさでは喉の奥を突いてしまいかねない。  
先程と同じように先っぽだけくわえさせ、竿を自分でしごく。  
僕も自分でしているようなものなので、忍の恥ずかしさも少しは薄れるだろう。  
僕は空いたもう片方の手で忍の胸をいじりながらしごき続ける。  
だけど忍の方が早くも限界を迎えた。  
「んっ……んむっ……ん……んん……んんんんんんんんっ!」  
びくんびくんと忍の身体が痙攣し、ぎゅううっと唇が締め付けられる。  
歯を立てられないか少しひやひやしたけど杞憂だったようだ。  
やがてイき終わった忍が息を荒くしながらこちらを見つめる。  
その潤んだ瞳に僕はそそられた。  
下半身が反応し、さらにビキビキと固くなる。  
忍はカリ首のところでぎゅむぎゅむと唇を締め、亀頭に舌を這い回させた。  
「あっ! それ、気持ちいいっ!」  
僕のしごくスピードが速くなる。  
忍が手を僕の脚の付け根に差し入れ、袋をやわやわと揉む。  
「あ、あ……いく………いくよ……いくよ!」  
僕達はお互いの空いた手を伸ばし、指を絡めてぎゅっと握り合う。  
ぐりっと忍の舌が割れ目をほじった瞬間。  
「あ、あ、ああああっ!」  
僕は射精した。  
びゅっびゅっと忍の口の中に大量の精液を注ぎ込む。  
無意識に僕は繋いでいた手を離し、忍の喉に当てて飲み込む様を感じていた。  
やがて最後まで出し切り、僕は忍の口から抜いて横たわる。  
目の前で忍がくふふと笑う。  
「さっきのことは悪かった、訂正しよう」  
?  
何のことだ?  
「お前様は幼児体型『が』好きなのではなく幼児体型『も』好きなのじゃな」  
「だから人を変態みたいに言うな!」  
「もしくは女ならば誰でもいいという」  
「もう黙れよお前!」  
僕はぐいっと忍を抱き寄せ、そのままシーツを被った。  
「僕はもう寝るからな!」  
くっくっと声を出さずに忍は笑い、抱き返してくる。  
「ああ、お休みじゃ」  
 
 
 
「ん……」  
夜中何とはなしに目が覚めた。  
傍らに忍がいる。  
僕に抱きつくような態勢で寝ているがそれはいい。  
問題なのはその右手が僕の股間に伸びてることなのだ。  
つまり僕の肉棒に触れているのである。  
手の平の温かさに反応して大きくなっており、忍はそれをしっかりと握りしめていた。  
道理で何か気持ちいい……じゃなかった、違和感を覚えていたわけだ。  
とりあえず引き剥がそうとしてみるが、一向に離れない。  
少しこすられてちょっと気持ちよくなってしまう。  
ていうか。  
「忍、起きてるだろ」  
その言葉で忍は目を開け、にぃっと笑う。  
掴む指の力に強弱を付け、軽くしごき始めた。  
「ん……よ、よせ……っ」  
僕は抗議の声を上げるが忍は無視して手を動かし続ける。  
力ずくで止めさせないあたり実に僕も意志が弱い。  
しばらくすると忍が態勢を変え始めた。  
僕の腹に頭を乗せて仰向けになる。  
何をするのかと思ってると、僕のそそり立った肉棒をぎゅっと腋の間に挟み込んだ。  
「あ……っ」  
むにゅっと柔らかい二の腕と膨らみのない胸の脇に挟まれる。  
ぐりぐりと刺激されて僕のものはさらに硬さを増していった。  
「あ……あ……」  
「気持ち良いか? 儂の胸は」  
いや、これは胸というより腕では?  
「以前お前様も言うたであろう? 胸と二の腕の柔らかさは同じだと。ならばこれは儂の胸でしてやってるも同然じゃ」  
確かにそういう説はあるが、羽川に言わせればそうでもないらしい。  
が、なんであろうと今この状況が気持ちいいことに変わりはなかった。  
僕は忍の肩に手を添えて腰を揺する。  
と、忍がひょいと腕を離して起き上がった。  
「あ…………」  
「そう残念そうな顔をするな、これでは動きにくかろうと思っただけじゃ」  
くっくっと忍は笑い、ベッドから降りる。  
僕に背を向けたまま床の上で膝立ちになり、脇を開いて振り向く。  
 
「ほれ、こっちに来い」  
甘い水に誘われるホタルのように僕は立ち上がってふらふらと向かう。  
忍の両肩を掴み、開かれた腋に肉棒を差し入れる。  
すぐにぎゅうっと締め付けられ、快感が全身を襲った。  
「あ、あ、忍……忍っ」  
僕は我慢できずに腰を振り始め、忍の腋でしごく。  
忍は口を開けて舌先から唾液を垂らし、僕の肉棒に絡める。  
それが潤滑油となって滑りを良くし、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てた。  
「ん……く、う……忍……っ」  
「気持ち良いのか?」  
「いいっ……気持ち……いい……よっ」  
僕の動きが一段と早くなる。  
もう限界がそこまで近付いてきていた。  
「出る……もう、出るよ……っ」  
「よいぞ、好きなだけ出せ」  
忍は空いた方の手の平を突き出た肉棒の先端に押し付けた。  
小さくてしっとりとした柔らかい肉感に射精感が一気に押し寄せる。  
「忍っ、忍っ、忍っ、忍っ」  
僕は忍の名前を呼びながら腰をグラインドさせた。  
忍も腋を締める力に強弱を付け、僕の快感を促進する。  
「忍……忍……う……うあっ!」  
忍の腋の下で僕の肉棒が大きく震え、先端から粘液が噴射された。  
びゅくびゅくと放たれる精液が忍の手の平に降り注がれる。  
量が多くて受け止めきれなかったのがぽたぽたと忍の身体に垂れていくが、気にする余裕もなく僕は射精を続けた。  
やがてすべてを出し切った僕は忍の腋の下から肉棒を抜き、ぺたんとベッドに座り込む。  
心地よい射精後の余韻が全身を包んでいた。  
忍は手の平に溜められた精液を啜り、身体に飛び散ったものも指で掬っては口に含んでいく。  
それらを飲み干したあと僕の脚の間に割って入り、僕のものに舌を這わせてこびりついたのを舐めとる。  
「ん……っ」  
最後に鈴口に唇をあて、ちゅうっと尿道に残ったものをすべて吸い出してくれた。  
お礼の意味も込めて頭を撫でてやると忍は目を細めて嬉しそうな表情をする。  
いや、発情したそもそもの原因は忍なんだけどさ。  
ひとしきり撫でたあと僕はひょいと忍を抱え上げ、再びベッドに潜り込む。  
「もう変なことすんなよ」  
「さて、な」  
撫でてやった時とは全然違う邪悪な笑みを忍は浮かべた。  
僕はぐいっと忍を抱き寄せる。  
「いいからじっとしてろ」  
忍は何も言わずに僕に抱きつく。  
僕は忍の体温を感じながら再び眠りについた。  
 
 
 
 
 

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