「………………」
「………………」
僕と羽川は僕の部屋で押し黙っていた。
目の前には少し前に受けて今日届いた全国共通模擬試験の結果。
「…………B、だね」
「…………B、だな」
以下回想。
『阿良々木くん今度模擬受けるんでしょ?』
『ああ、前は志望校がD判定だったけど今回Cはいけると思う』
『だめだよそんな低い志じゃ。AやBを取るぜくらい言わないと』
『いや、それは無理だろ……実力ついてきてるのは自分でもわかるけどさ、まだまだだよ』
『……じゃあ……そうね』
『??』
『B以上とれたらご褒美に私のおっぱい好きにさせてあげる』
『……っ! マジで!?』
『うん、だから頑張ってね』
『よおし、やってやるぜ! 首を……じゃないな、胸を洗って待ってろよ!』
『うん、あはは』
もちろん本気で取れるとは思ってなかったし、それは羽川も一緒だろう。
ただそれ以降はやたら勉強が捗ったし、試験当日妙に頭が冴えていた。
結果を見る前からもしかしたらとか万が一とか思っていたのだが、いざ目の前にしてみるとちょっと信じられない。
ちら、と羽川を窺うと視線を感じてびくっと身体を硬直させた。
視線が促されているように感じたのか、羽川は溜め息をつく。
「約束……だしね」
そう言って自分の上着に手をかける。
そのままそれを捲りあげようとして僕は慌てて止めた。
「ストップストップ!」
「何?」
「何、じゃないって! 脱ぐなよ!」
「え、服の上からがいいの? あっ、ひょっとして自分で脱がせたいとか?」
にやにや笑いながらからかうように訊いてくる。
「いや、そうじゃなくて別にそんなことしなくても……」
「阿良々木くん、私はね」
羽川は急に真面目な顔付きになったかと思うと、諭すように話し始めた。
僕はちょっと気圧されながらも聞く。
「う、うん」
「約束事とかはあまりしないの、裏切られた時につらいから」
そう言う羽川の顔にほんの僅かな翳りが見えたのは気のせいではないだろう。
過去に彼女に何があったのか詳しいことを僕は知らない。
「だから一度約束したことは全力で守ってるんだ。破ったこと今までないんだよ」
へへー、と羽川は自慢気にはにかみ、眼鏡をくいっと上げた。
そう、今日は珍しくコンタクトではなく眼鏡なのである。
ちょっと前の羽川が戻ってきたみたいだ。
羽川は改めて眼鏡越しに上目遣いで見つめてくる。
「私を嘘吐きにしないで」
僕はごくりと生唾を飲んだ。
「いや、僕にはさ、戦場ヶ原という彼女がいるんだ。だから……」
僕はしどろもどろに言い訳を始めるが、すぐに中断された。
携帯の着信音が鳴ったからだ。
といっても電話ではなくメール着信音。
僕は羽川に詫びて携帯を確認する。
「…………」
「どうしたの?」
僕は羽川に応えず、周りを見渡した。
ドアの向こうや窓の外まで確認する。
「ひょっとして戦場ヶ原さん?」
「ん、まあそうなんだけど……」
メールには短くこう書かれてた。
『本番だけは禁止』
…………どんな意図でこれを送ったのだろうか。
「なあ……まさか戦場ヶ原に今回のこれのこと言ったのか?」
「え? 私からは言ってないよ」
「そっか、そりゃそう……」
「だってこれ戦場ヶ原さんから言い出したことだもの。『きっと猛勉強するわ』って」
その言葉を聞いて僕は無言で戦場ヶ原の携帯番号を検索してコールする。
意外なことに2コールくらいで出た。
『何よ、私だってそんなに暇じゃないのだから時間をとらせないで頂戴』
仮にも彼氏からの電話なのにひどいことを言う。
「……今どこで何してるんだよ」
『神原の家よ、阿良々木くんがいない寂しさを二人で慰め合ってるわ』
「…………」
いかんいかん、よからぬことを想像しそうになってしまった。
今はそんなことを考えている場合ではない。
「あのメールは何なんだよ」
『そのまんまよ、どうせ単純な阿良々木くんのことだからいい成績とれたんでしょう?』
信じられているのか馬鹿にされているのかわからない台詞を吐く。
いやまあ明らかに後者なんだろうけど。
『羽川さま……じゃない、羽川さんに約束以上のことをしたら殺すわよ、じゃあ』
「あ、おい」
切りやがった。
こちらの質問や突っ込みなどお構いなしだ。
「ったく……うわぁぁっ!」
携帯電話を置いて振り向いた僕は思わず後ずさった。
目の前に二つの巨大なものが見えたからだ。
一応両腕で覆っているとはいえ、その圧倒的なボリュームはとても隠しきれるものではない。
「はっ、はははははは羽川っ!」
「何よ」
「なんで脱いでるんだ! 服を着ろよ!」
「……ねえ阿良々木くん、私そんなに魅力ないかな?」
やめろ、そんなこと言わないでくれ!
ただでさえその胸から目が離せなくなってるのに!
すっと羽川が腕を下ろした。
ぶるんと二つの双丘が揺れる。
「…………っ!」
下着を着けてない状態や下着だけの格好を見たことはあるが、何も隠すものがない羽川の胸を見るのは初めてだ。
ギリギリ下品でないほどに大きく、形も美しく整っている。
僕の視線はそこに釘付けになった。
「触ってもいいんだよ」
その言葉に促されるように僕の両手は羽川の胸へと伸びていく。
「うわ……」
ものすごく柔らかい。
少し力を込めるだけでその通りに形が変わり、強めに揉むと弾力が指を押し返してくる。
僕はしばらく夢中になって羽川の胸を揉み続けた。
「ね、阿良々木くん」
「あ、な、何?」
「……挟んでみる?」
え?
羽川が顔を赤くしながら言った台詞を反芻する。
「は、挟むって何を?」
「…………それ」
羽川が指差した先にはズボンをテント状に押し上げている僕の股間があった。
意識していなかったが、ものすごい勃起状態である。
「男の人ってそういうの好きなんでしょう?」
「…………」
嫌いと言えば嘘になる。
やってみたいとは誰もが思うだろう。
が、さすがにここで『委員長は何でも知ってるな』とは言えなかった。
逡巡してると羽川は僕のベッドの上で横たわる。
あんなに柔らかくて大きいのに羽川の胸は形を崩さない。
まるでそこだけ重力から解放されているかのように整った形を保っている。
「いいよ」
「あ、うん」
僕はカチャカチャとベルトを外し、ズボンとトランクスを脱いだ。
びん、と固くなった肉棒がそそり立つ。
「…………!」
羽川が目を見開く。
通常状態のはちょっとした事故で見られたことがあるが、勃起状態のは初めてだろう。
少し恥じらいながらもじっと見つめてくる。
僕はその視線を受けながら羽川の身体を跨ぎ、お腹の上に座る態勢になった。
羽川は自分の胸を掴んで開き、僕はそこに性器を添える。
「じゃ、いくよ」
羽川が両脇から胸をぎゅっと押さえ込み、僕の肉棒は二つの柔肉に包まれる。
「うわ…………っ!」
なんだこれ!?
すごく気持ちいい!
正直なとこ口や膣に比べて劣るものだと思っていたけど、全然そんなことはない。
左右からむにゅむにゅと揉みほぐされ、声をあげてしまいそうになる。
「は、羽川っ、動いていい?」
「好きにしていいよ、今だけは阿良々木くんのおっぱいだもん」
その言葉を聞くやいなや僕は腰を動かし始めた。
何度も何度も羽川の胸に突き込んで擦りあげる。
もっとこの柔らかさをじっくりと味わいたい。
あまり早いペースだとあっという間に昇天しそうだとわかってはいるのだが、腰の動きが止まらない。
羽川も僕の気持ちいいところを熟知しているかのように的確に胸で攻めてくる。
もう限界が近付いてきていた。
「は、羽川……もう、出そう」
「いいよ、このまま出して」
「え、で、でも、顔にかかっちゃうよ?」
そうは言っても自分から離れられないのが僕の意志の弱いところである。
「いいよ、かけても……………………そ、そのかわり」
羽川は顔を真っ赤にして目をそらしながら言葉を紡ぐ。
なにやら言いにくそうだ。
「……つ」
つ?
「…………翼、って今だけ呼んでくれない?」
予想外の言葉に僕の動きが止まる。
「あ、ご、ごめん、今の忘れて!」
羽川がちょっと慌て気味に前言撤回した。
それでも僕が動かないのを見て少し狼狽え、自分の胸を掴んで動かし始める。
「ほ、ほら、私のおっぱい気持ちいいでしょ?」
僕は羽川の手に自分の手を添え、きゅっと握った。
そのまま二人の手で胸を自分の肉棒に押し付けながら腰の動きを再開する。
「気持ちいいよ、翼の胸」
「あ…………」
羽川は一瞬呆然としたが、すぐにはにかむ。
「うん、いっぱい気持ちよくなって」
「ああ、翼、翼、翼っ」
僕は羽川の名前を呼びながら激しく突き込む。
あっという間に射精感が押し寄せてきた。
「出すよ……翼の胸で、いっぱい」
「うん、いいよ! 阿良々木くんの、好きなだけ出して!」
「あ……あ……翼ぁ…っ!」
びくんと僕の肉棒が羽川の胸の中で大きく震え、大量の白濁液がびゅっびゅっと先端から放たれた。
羽川は頭を起こし、それらを顔で受け止める。
「んっ!」
びしゃびしゃと羽川の顔に精液が降り注ぎ、白く汚れていく。
が、今の僕に気遣う余裕はなく、暴れる肉棒を胸で押さえつけながら腰を揺する。
やがてすべて出し切り、僕は大きく息をついた。
「うー……」
羽川の呻き声で我に帰る。
改めて見るとものすごい量の精液が出ていた。
「うわっ、だ、大丈夫か?」
「うん……まあなんとか」
「ご、ごめん」
まさかこれほど出るとは。
今日羽川が眼鏡にしていたのは幸いだった。
もちろん眼鏡も粘液だらけになってはいるが、おかげで目に入ったりとかはしていないようだ。
「いいよ、それだけ気持ちよくなってくれたってことだもんね」
「あ、ああ、すごく気持ちよかった」
「……っ!」
僕の言葉にはにかみかけた羽川の顔が強張る。
視線を追うとそこに少女が立っていた。
「し、忍っ……!?」
僕は思わず叫んだが、忍は応答しない。
よく見ると目や身体の動きが怪しい。
まるで半分寝ているような……。
「んー……」
ふらふらとした動きで近付いてきて羽川の上に馬乗りになっていた僕を押しのける。
「え……?」
そのまま忍は羽川の顔や胸を舐め始めた。
正確にはそこに付いてる僕の精液をだ。
「ちょ、ちょっと?」
思わず羽川は抵抗するが、しっかりと押さえつけられて動けない。
眼鏡に付いてるのまですべて綺麗に舐め取られる。
次に忍は僕の股間に顔を寄せ、肉棒を口に含む。
そのまま尿道に残ったものをちゅううっと吸い出された。
「うっ、うあっ!」
その快感に思わず声が漏れる。
忍は口に含んだ精液をすべて飲み尽くすと、やはりふらふらとした動きで僕の影の中に消えていった。
「…………」
「…………」
「……今の何?」
沈黙のあと、羽川が聞いてくる。
いや、頭のいい羽川のことだからあれだけでほとんど理解したかもしれない。
なんと言おうか僕の頭が混乱する。
ふう、とため息をつきながら羽川は身体を起こした。
「ま、見なかったことにしといてあげる」
「……ごめん」
羽川はベッドから下りて下着をつけ始める。
「今日はもう帰るね」
「あ、うん」
もともと家庭教師は今日は休みなのだが、模擬試験の結果を確認するために羽川は来たのだ。
僕もトランクスとズボンを履いた。
「ちょっと洗面所借りていくから」
「ああ」
服を着終わった羽川がこちらを向く。
僕は改めて胸に視線をやった。
あんな巨大なものがよくこんな風に収まるものだ。
「だめだよー、ご褒美タイムはもう終わり」
視線に気付いたか羽川は胸を押さえながら身体をそらす。
「ああ、うん……その、ありがとうな」
「それこそだめだよ」
僕はお礼の言葉を口にしたが、羽川からダメ出しが入った。
「それを言うなら合格してから」
「……そうだな、頑張るよ、眼球舐めのためにも」
「大学に入るためでしょ!」
ぴしゃりと怒られる。
軽い冗談のつもりだったのに。
「明らかに目が超本気に見えたんだけど……」
気のせい気のせい。
そんな風に雑談しながら僕は羽川を送り出した。
「…………さて」
家庭教師がいないとはいえ勉強を疎かにしてはいけないな。
眼球舐め……じゃなかった、大学合格のためにも!