「と、言う訳なんだ…。どう思う?」
「論外ですねアスパラさん」
「もうすでに脊髄反射でなんでもござれ!って感じだな…」
「失礼。噛みました」
一文字あってりゃなんでもいいのかよ
「で…何の話だっけ?」
「阿良々木さんの生死の話です」
………………突き詰めると、マジな話なのが笑えない
「そして阿良々木さん。内容の論外以前に相談する人間の前提がさらに論外な話ですよ、これは」
「親友に相談するのはおかしいか?」
「そう言って頂けるのは恐悦至極な事ですが、相談事はその相談事のレベルに見合った相談相手を探してください。私こう見えても小学生です」
「八九寺、僕はお前と対等な存在だと思ってるんだぜ」
「何かっこいい事言って、してやったりのニヤリ顔になってるんですか…」
ん…?あれ…?いつもより仕草がしおらしいな…。俯き気味の照れた八九寺なんてかなりのレア度じゃないか?やっべ…。かわいいぞ。キメ台詞がそれほど決ったか?
「あの…阿々木さん。私の名誉の為に言っておきますがキメ台詞にときめいてるのではなく、セクハラ的な論題に恥らっているのです」
!!…しまった!コイツ小学生だった!
「遅いです。エロスギさん」
「ッぐ!」
「ま…まぁ私にはその辺りの経験はないですから、…一般的な視点から助言をさせて頂きます」
今日カメラを持ち歩かなかった事を僕は一生後悔する自信があるな。仕方ないので心のフィルムに恥じらいの八九寺を焼きつけておく事にする。
「私に言わせてもらえば阿良々木さんの彼女、戦場ヶ原さんの前でそれを言えれば浮気じゃないですね」
「……………………つまり?」
「?、つまり?とは?」
「…つまり、『それ』とは?」
「…………………………………………」
「…………………………………………」
と、八九寺は十数分間の無言状態の後、(その間、硬直状態で顔色は青→黄→赤→橙→黄→青を三周していた)完熟りんご張りの赤さを誇りながら、震えて唇を動かした。
「つ…つまり、…それ、…とは、阿良々木さんが、忍さんにしてもらった、…フ…フ…フェラと、…やった、あ、あ、あ、愛撫を!戦場ヶ原さんに言えるなら!浮気ではないです!」
そういい切ると、肩で大きく息をしている。最後の方は早口にするつもりだったのだろうが逆にその分大声になっていた
「…ッハ…ッハ……ちょ、あ…あの、阿良々木さん。泣きたいのはこっちなんですが…」
気がつくと僕の頬には感極まった雫がポロポロ滴り落ちていた。力が自然とぬけて、その場に膝をついてしまった。
「………死んでもいい」
「っは?」
「今の言葉で僕の人生は完成されたよ…八九寺。ありがとう。本当にありがとう。僕にはもう思い残す事はないよ。戦場ヶ原にカミングアウトして、僕が死んだら一緒に暮らそう」
思いっきりぎゅっと、八九寺をハグする
「い、いい、いいい、意味が分かりません!」
「要するに八九寺はムッツリさんだったて事が…」
「がう゛ぅ゛!」
食い千切られた
「で?戦場ヶ原さんとは何処まで行ったんですか。キモスギさん」
「開き直るとは、これいかに」
「開き直れば、ムッツリではないです」
「そんな事より聞いてくれ八九寺よ。これ、すげぇ痛いんだけど、ちゃんとくっ付くのか?」
天に咆哮したいほどの熱さだ。ジンジンする。
「大丈夫です。皮一枚でギリギリ切れませんでした。阿良々木さんの変体能力があれば切れた所をくっつけて置くだけで明日には元通りです。血ももう止まっています」
「生えた事はあるけど、くっ付くなんて見た事無いが…」
悲しい事に僕も八九寺の案しか思い付かず、鉛筆とハンカチでぐるぐるに小指をを固定しといた。帰ったら即刻、忍に吸ってもらわないと
「痛がってる所話を戻して申し訳ないですが、戦場ヶ原さんと何処までSEXしたんですか?」
「直球すぎる!!」
さっきの恥じらいは何処に!?そして大声出すと指が痛い!
「阿良々木さん貴方は何か勘違いをされてますが、私は精神年齢では既に酒もタバコも女もできるんですよ」
女?
「あ…そっか。生年月日で数えるとお前の方が年上なのか」
「えぇ。ですから男と女が交尾する事ぐらい既に知ってます。私は既に大人の女、いわゆるアダルトウーマンなので、そんな話題を出しても全然恥ずかしくないです。たまに誰かの家に勝手にお泊りして色々目撃した事もあります」
「どう見ても覗きです!!本当にありがとうございました!!」
そして精神年齢はどう改めて見てもそのまま!ウブぃ!
「…分かった八九寺。お前がそこまで言うなら教えてやるから、ちこうよれ」
そう言うと八九寺は一瞬「ッえ!?」という様な表情をした後、挙動不審に頬を赤くしながら近づいてきた。
あー、自分もあんな時期があったあった。初めて拾ってきたエロ本をドキドキしながらあんな感じでめくってた気がする。
なんだかんだ言って覗きも嘘だろうな。あっても子供が両親のわっふるを間違えて覗いてしまった感じだったんだろう。
そうして側まで近づいてきた八九寺の体を僕の方にそっと寄せて、戦場ヶ原直伝のセクハラ技(改)を八九寺の耳元で吐息が当たる様に囁く
「最初は×と×を――××な××―――――。」
「………!」
「――そのままで――に××を――しながら―――優しく――続ける」
「……………!!」
「そうしてると、戦場ヶ原が――ながら――――して手で――とも――ともとれる手つきで僕の――をやさしく×―――くれるんだ」
「…………………………!!!!!!!!???」
「僕の方の×で、戦場ヶ原は嫌がってるように見えるけど、実はやめるともっと――って――欲しそうに僕を――――んだ」
「…………!!?…………………!!…………!!!!!!!111」
「あくまで―――はいつでも自分だとあいつは思ってるから緩急をつけて、優しく――ながら××とか――×を攻撃するとアイツ――――しながら、それでも強がって『――――――――』って言いながら―――をするんだぜ?」
「…………………………!!…!!!!!……!!…!!………!!!!!!!!!???……!!!?゛?゛?゛?゛」
「で、ここまでくると僕も戦場ヶ原も我慢できなくて、でもアイツはあくまで、最後まで強がるんだよ。ツンの比率に対してデレが圧倒的に少なすぎるよアイツ。
だから僕は一線を越える前に僕の気持ちをアイツに直接伝えたんだ。ストレートに。あ、どんな言葉かはお前にも秘密。
で、僕に先手を取られた戦場ヶ原が生涯初めて不覚を取ったあの表情は、僕の人生アルバムランキングで現在トップだ。ちなみに、お前の恥じらいショットは二番目な。
僕の気持ちを聞いたアイツはお返しとばかりに、自分の気持ちを教えてくれたよ。それはそれは恥ずかしい台詞の10倍返しのオンパレードだったぜ。
それでお互いの気持ちを確認したら、僕の―――と戦場ヶ原の―――を焦らす様に××ながらゆっくり×××んだんだ。そうして×――瞬間に戦場ヶ原ひたぎの暖かさだけを感じるんだ。
最初はゆっくりだったけどしばらくしたらもう僕が我慢できなくて、――がどちらか分からなくなってしまってるんだ。
それは、もう言葉じゃ説明できない感覚だった。ただ、最後は心ん中で『うわああぁ』って情けなく叫んでるだけだったよ。
全部終って時計を見たら体内時計では15分ぐらいかと思ってたけど全部終った時には1時間近くたってたのが驚いたな」
「……………………………………………………………………………………………………」
戦場ヶ原の妄想セクハラテクを実体験セクハラテクに改造して説明してみたが破壊力が数段向上した気がするのは気のせいだろうか。
しかしこの構図は変質者が子供にセクハラを永遠としてるような物だな。八九寺が一般人に見えてたら間違いなく通報されてる。
話が大きく逸れてるな。当初の議題は「忍のフェラと忍への愛撫は浮気に該当するか?」だったはずだが……って
「八九寺…お前大丈夫か?」
聞き始めた時と変わらぬ姿勢だが真っ白に燃え尽きている。視線は地面に固定されピクリともしない。ただの屍のようだ。
「………八九寺?死んだのか?」
とりあえず、頬をつついてみた。うむ、柔らかい。そして無反応である。
「………それじゃあペラリ、と。」
「き゛に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!゛!゛!゛?゛」
爆音の咆哮が轟くと、屈みこんだ僕の顔面に八九寺のグーパンチが繰り出された。
拳が僕の顔面にめり込んだと錯覚したが、錯覚でもなんでもなく鼻が折れた。
「い゛っでぇ!」
「何普通にスカートめくるってるんでするか!!?」
「あ゛……いや…ちょっと確認を」
「何の!!?」
「ちょっとくまパンツが滲んでたぞ。このムッツリさんめ」
そう言った瞬間、っぎょとした顔で瞬間湯沸し器よろしく八九寺がほてあがり、ッババ!とスカートの前面を両手で押さえた。
「りゃりゃりりゃん!?りゃりりっれりゅんれるら!?!?」
「落ち着け八九寺。そして安心してくれ。八九寺が僕の【ピ―――】を想像して欲情した事は、僕達だけの秘密だ」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
八九寺が涙目になった瞬間、全身に快感がゾクゾク駆け抜けた。
うほわぁ…不覚にも戦場ヶ原の気持ちが分かってしまう。あいつはいつもこんな高揚感で僕を罵ってるのか……。
とと、…いかんいかん。いつまでもこの八九寺を眺めていたいが、やりすぎも良くない良くない。
「八九寺、泣くな。くまパンツが濡れ濡れというのはジョークだから安心しろ」
八九寺はビクリ、と俯き加減で震えてしばらくフリーズした。
その後しばらくして一歩距離をとったと思ったら、僕から反転して背を向ける。何をしているのかと思えば、どうやらスカートの中を確認してるらしい。
そしてまさぐり終わったかと思うと、今度は八九寺の膝が折れて四つんばいに崩れ落ちた。
「く…屈辱です…。私とした事が…自分自身の手で陵辱されたのは…死んでから初めてです……」
生前はあるのかよ。本気でショックを受けているようである。腕の一本は食い千切られる覚悟で身構えていたが…拍子抜けした。
しばらく八九寺は、後ろ向きの四つん這い姿勢のままだったが(何かブツブツ言ってる)、ゆらゆらり、と陽炎オーラを漂わせながら後ろ向きのまま起き上がった。こ…怖!?
「あれれ木さん」
「…ッバ…バーロォ。阿良々木だ…」
「…失礼。噛みました」
ゆっくりとこちらを振り向いた八九寺は思いっきりニヤついていた。どれくらいかというと、ゆっくりぐらい。
「…私は悟りましたよ。阿良々木さん。貴方に物理的報復は、まったくの無意味だという事に…」
「…っへ、へぇー。だったらどうすんだ?」
「………目には目を歯には歯を、エロには…エロです!」
………っはは!こやつめ。何を言い出すのかと思えば…。まだまだガキだな!
「っぅふ……ふふふ……ふははははは!…八九寺!その策には決定的な穴がある事を見逃してるぞ!お前のエロ話?僕以上の経験を語れるのか?それともおまえ自身を使ったお色気か?笑止!そんなものはロリコンにしか通じん!」
当然僕はロリコンではない!!!
「…阿良々木さん。無様に許しを請うなら今ですよ。許しませんが。ひょっとしたら、報復を軽くする気になるかもしれません」
「ッハ!僕の優位は揺るがない!これからも阿良々木暦のエロ話を聞いて、羞恥心をふんだんに感じながらモジモジする姿を晒すがいい!ヒャハハハハ!」
それにしてもこの阿良々木、ノリノリである。
「そうですか…残念です。こんな物を使うのは今まで躊躇していたのですが、今宵これを解放すれば貴方は地べたを這いつくばって許してくださいと泣いて謝る事請け合いです」
そう宣言すると、八九寺は自分のリュックを目の前に下ろし中をまさぐり出す。そして中からある物を取り出し、見せつけた。
「なんでそんなもん持ってんの!?」
「見て分かりませんか?」
分かんねぇよ!
「総画素数566万画素 、光学ズーム12倍… 」
「か…家庭用…ビデオ…カメラ……!!」
「ちなみにフルハイビジョン、夜間撮影機能対応型です」
「どんだけ最先端!?」
く…くそ!幽体が一番持ってはいけない物を!まさに鬼に金棒…!猫に小判!
「それで僕のプライベートを剥奪する気か…」
「阿良々木さんの?フフ…失笑ですね。阿良々木さんの自慰行為を録るぐらいでは私の怒りは収まりません」
すげぇな…堂々と吹っ切れすぎだろ…。…録るには録るんだ。
「戦場ヶ原ひたぎ…といいましたか?阿良々木さんの彼女は…」
こ…こいつ!なんつー事を考えるんだ!?
「苦しいですか?阿良々木さん。自分だけの女性が他人に視姦されるのは。…安心してください。もちろんそれ以上の事をしようと考えています」
「な…何を…!?」
「阿良々木さんと戦場ヶ原さん、2人とも撮影してあげますよ」
お前は僕の後輩か!?開き直りすぎだろ!どんだけエロいんだよ!
「幸い、家の位置も把握している事ですし…戦場ヶ原さんの家の前を張って、阿良々木さんが入った十分後ぐらいにでも音も立てず物陰から撮影してあげます」
「どう見ても盗撮です!!本当にセクハラしてごめんなさい!!」
小学生に地べたを這いつくばって(土下座)泣きながら許しを請う図が完成した。
「ふぅ…もう降伏ですか?阿良々木さん。これからが本番だったんですが…」
「これ以上恐ろしい報復があるんですか!八九寺さん!」
「え?あぁ。録ったビデオを友達と一緒に見ようかと…」
「シャレにならんわぁ!!!?」
しかも八九寺の友達の心当たりは一人しかいない!
「あとは、録画したディスクに『阿良々木×戦場ヶ原』と書いて神原って人の家のポストに放り込むとかですかね?」
慈悲も情けもない、この世の者とは思えない恐ろしい報復内容に戦慄する。
「は…八九寺…」
「はい。何ですか?阿良々木さん」
にっこぉーーーーっと、飛びきりの笑顔である
「よ…要求を、述べよ」
「いやですね、阿良々木さん。要求なんてものはありませんよ。目的は達成しました。ホラホラ、さっきから両鼻から出てる血をコレで吹いてください。私たち…友達でしょう?」
ちなみに鼻の骨は既に修復されているようである。指のほうも心なしか痛みが引いていてホントにくっ付き始めている。
八九寺から渡されたポケットティッシュでゴシゴシと鼻を拭く。
「は…八九寺…。すまない…。お前の心の広さに感謝感動だ。僕達2人が揃えばできない事はないよな…!…………ちなみに目的って何だ?」
「これから戦場ヶ原さんとエッチする時は常に私を考えて周りに注意してください。気配を感じたらそれは私です」
「俺を裏切ったなぁーーー!!!!??」
閑話休題。
「もう突っ込みすぎて酸欠だよ…つ…疲れた…」
「この漫才は何処まで続くんですか?」
「漫才ゆーな!」
それを言ったらお仕舞いだ!
「所で阿良々木さん。私の設定で思いついた事がいくつかあるんですが」
「…お前、自分で自分の設定作ってるのかよ…」
「私が成仏できない理由って、初体験を済ましてない未練からだと思うんですよ」
「どんな設定だよ!!どっかのエロ漫画か!?しかも、さっきそのシチュエーションに最適な流れだったのは気のせいか!?お前が書けよ!」
「無理です。最初の方は伏字で誤魔化しましたが。理由は作者の都合です」
何言ってんの!?
「次の設定ですが…。実は私、生きてるんです」
「それは初耳な設定だな!オイ!」
「まぁよくある事なんですが、交通事故で植物状態なんです」
よくないよ!?つーか、微妙に初耳じゃない!?
「おい…ちょっと待て…。お前そのリュックに木彫りの星が入ってたら本気で殴るぞ」
「失敬な!私をあんな頭の発育が遅れた高校生と一緒にしないでください!」
確信犯!?
「最悪です!」
おまっ!
「プチ最悪です!」
「お前!人の声を洗脳する気なのか!?アニメ前なんだからやめろよな!声が脳内補完されちまうだろうが!」
「そんな事知りません。キャラが被ってる方が悪いんです。岡崎さんもアニメが放送されるまで、この声で苦しんでください」
「阿良々木だ!馬鹿野郎!俺…じゃなかった!僕まで声が変わるだろうが!それに容姿が全然違うじゃねーか!」
「ところがどすこいですね、私達がこのアニメの台本を読むと違和感がなくなる現象が起こるんです」
そう言うと八九寺はリュックから台本二冊を取り出した。お前のリュックは四次元ポケットか何かか?
「じゃあ阿良々木さんはグラハムお願いします」
「岡崎だ!馬鹿野郎!?」
げぇ!?しまった!!!
「いい感じに仕上がりましたね。では……アクション!」
「不器用じゃないです!阿良々木さんよりはるかに器用で、機敏だと思います!」
「ほぅ、言ったな?じゃあ早口言葉で勝負してみるか?」
「受けて立ちます」
お互いが正面に向かい合う(台本指示)
「東京特許許可局!東京特許許可局!東京特許許可局!」
「最後の方名古屋になってました」
「んな噛み方するかよ!」
「…カットです!どうですか?私の声は?」
「どうも、こうも、糞も、あるか!完璧固定されちまったよ!」
「阿良々木さん、よく噛みませんでしたね。あえて難しい所をチョイスしたんですが」
そう思ったよ!ギリギリでした!つーか、僕は一人称が違うからなんとかなるが…
「お前のその声は…その…、もう絶望的にしっくりきてるな…」
「アニメ化まで皆で苦しみましょう」
それが狙いかよ!!