「そうですか難しいですかぁ」  
「どうした、八九寺」  
「あら、ラギさん」  
「どこかで例のニックネームを聞き及んだのか、それとも単に読点挟まった  
 だけなのかは知らないが、僕の名前は阿良々木だ」  
「失礼、噛みました」  
「違う。わざとだ」  
「いあいあはすたぁ」  
「呼ぶなっ! 危険すぎるっ!」  
 お約束ボケの発展で、旧支配者を呼び出されたら世界は何度滅びればいい?  
「それはさておき、難しいですかね」  
「難しいだろう。なんせこの掛け合い、法則が無いからな」  
「冒頭以外は、確かに感性の赴くまま、ですよねぇ」  
「だよな」  
「主に阿良々木さんが」  
 僕がかよっ! ……とツッコミを入れる直前に思いとどまれる程度には、  
僕は自分自身を客観視できているつもりだ。確かにまあ、八九寺と会うと、  
楽しくて色々と暴走してしまいがちではある。  
「そうだな、確かに八九寺の言う通りかもしれない」  
「あ、すいません、さっき誤字がありましたので、訂正します」  
 誤字? どこにそんなものが……。  
「性感の赴くままですよね、絶対的に阿良々木さんが」  
「主にですらなくなった!」  
「ですが、まあ、そんな阿良々木さんの性感の暴走が、わたしという  
 防波堤によってせき止められていると考えれば、汚されたこの身にも  
 意味があろうというもの。涙を飲んで受け止めますよ。さあ、どうぞ!」  
「そこで本当に何かしたら、完全に僕が変態確定だろうが!」  
 まったく、この小学生は時々とんでもない誘い受けを試みやがる。  
そんなもので僕が乗ると思っているのだろうか。ロリコンじゃないという  
評価がようやく定まりつつあるこの僕が。思わず両手が八九寺に抱きつく  
ような形に広がった時点で止まっているのは、目の錯覚だ。  
「頭では非ロリコンぶっていても、体は正直ですねマキマキさん。流石は  
 魂はロリコン、表向きおっぱい星人、迷主人公ラギ!」  
「僕の境遇がある意味そんな掛け声と共に相手を金縛りにしたりする  
 悪魔超人に似た不遇さであるかどうかについては議論の余地があるが、  
 そんな議論をする余地もなく、僕の名前は阿良々木だ」  
 ……こいつ、神原が僕につけたあの無駄にカッコいいニックネームの事を  
どこで知りやがった? 脚本か? アニメの脚本なのか?  
「失礼。噛みました」  
「違う。わざとだ」  
「ダダンダンダダン……ターミネーター」  
「アイルビーバック!?」  
「しかもサラコナークロニクルです」  
「見たことねえよ!」  
 タイトルくらいしかわからない。テレビドラマとしてやってたらしいが、見た  
事無いんだよなぁ……。  
 
「という流れで、テレビつながりでアニメの話に移るわけですが」  
「強引だな」  
「もしも化物語がエロアニメになったら、と考えてみます」  
「考えるなよ」  
 っていうかなんでそんな事考えてるんだよ小学生。そういう事を考えるのは、  
むしろ僕とか、僕とか……僕くらいのものだろう。  
「意外と千石さんとか考えておられるのではないかと」  
「千石がそんな事考えるわけないだろう……あいつ、凄い真面目なんだぜ?」  
 あれ? 千石と八九寺って面識あったっけ?(注:書いてる人が確認していません)  
まあいっか、きっとアニメの脚本とかで知ってるんだろうし。  
「まあ、阿良々木さんには所詮その程度の認識ですよねぇ」  
「その程度の認識ってなんだよ。あいつは見たまんまだろ?」  
「はぁ……まったく。これだからロリコンだとかアナコンダとか言われるんですよ」  
「後者は言われたことないぞ」  
「主に股間が」  
「僕はどんだけ素晴らしい物持ってんだよっ!?」  
 だからお前がそういう発言をするな。設定上は小学生なんだからさ。  
「大丈夫です。エロアニメ化すれば、私も十八歳になりますので」  
「ああ、確かにまあ……小学生相手に乳尻太ももは、エロアニメだと  
 逆にできないよな」  
「ていうか、不思議ですよねぇ。私は十八歳です!って言い張ったらOKに  
 なっちゃうんだったら、最初からOKでいいと思いませんか?」  
「危ない発言をするなって……」  
「で、何の話でしたっけ、らき☆すたさん?」  
「☆が入ってる辺り誤用の確信犯で間違いないと思うが一応訂正しておく。  
 僕の名前は阿良々木だ」  
「失礼。噛みました」  
「違う。わざとだ」  
「べ、別にわざとじゃなくて、たまたま、そうたまたまなんだからねっ!」  
「声優ネタっ!?」  
 恐ろしい。完璧なまでの柊かがみだ。まあ、当然なんだが。  
「阿良々木さんも、突然『絶望したっ!』とか叫びだすんですかねぇ」  
「ありそうで嫌だな」  
「で、結局何の話でしたっけ、阿良々木さん?」  
「エロアニメ化がどうこうとか……」  
「エロアニメ化物語とか言うつもりですか。センスが欠片も感じられませんよ」  
「言わねえよ……」  
 言ってたのはお前だ、八九寺。考えそうなのは僕だというのは自認するが。  
「最初は、この掛け合いが難しいってお話だったかと。実際にやってみてどうでしたか?」  
「確かに、かなり難しいな。だいたいこれ、やってみたって言えるレベルか?  
 僕にしろお前にしろ、二次創作になってなくないか?」  
「その辺りはまあ……挑戦する事に異議がある、という事で!」  
「駄目だろ、その誤字は……」  
 実際に異議がガンガン来る気がするし、しゃれになっていない。  
「そして阿良々木さんは、異議異議さんと呼ばれる事に」  
「ならねえよっ!」  
 ああ、もうグダグダだ。終わろう、もう。  
 
 終わり  
 

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