阿良々木火憐。  
 僕の実の妹でファイヤーシスターズの実戦担当。  
 ちっちゃい方の妹月火ちゃんと、火と火が重なり『炎』。  
 因みに僕は、不吉な奴に『水』と言われた事がある。  
 『水』と『炎』合わせて『淡』。英語読みならPaleぺール。  
 人間そっくりな僕と、偽物な妹達との仮初めの、儚い淡い物語。  
 
 
 阿良々木火憐は洗面所の姿見と向き合っていた。  
 じっと自身の顔を眺め、落ち込み。溜め息吐いている。  
 「どうしたの火憐ちゃん?」  
 私の声にビクッと反応する火憐ちゃん。ちっともらしくない。  
 
 「あっ、月火ちゃん。いや、さあ…っ。兄ち…っ、…男の子ってさ…っ、  
色白の子の方が好きかなって…思って…」  
 日に焼けた肌を指先でなでる火憐ちゃんに、私はギュッと抱きついた。  
 「あっ!?月火ちゃん」  
 身長に差があるので私の顔は火憐ちゃん胸の中にうずまってしまった。  
 最近の火憐ちゃんはお兄ちゃんの話をする時、いつも満面の笑みを浮かべる。  
 お兄ちゃんが近くにいてくれるのが嬉しくて嬉しくてたまらない、  
そんな顔で。  
 その朗らかな笑顔の裏で、火憐ちゃんはどれほど切ない想いを胸に  
秘めているのか…  
 万が一にも叶わない火憐ちゃんの想い…。  
 他人の為にしか働かない私の感情が脈打つ。ズキンズキンと胸が痛む。  
 唇を噛むと同時に目頭が熱くなる。  
 「…火憐ちゃん。可愛いから…誰も…そんなの…気にしない…よ…っ、  
瑞鳥くんも…っ、…お兄ちゃん…も…っ、可愛いよ…、火憐ちゃん…」  
 「…うん…っ、ありがと…月火ちゃん…」  
 
 
 「どうしたんじゃ。鬼畜の妹喰いの我があるじ様よ。今出ていって  
優しい言葉の一つもささやけば、二人のはぁとはがっちりキャッチ。  
若い肢体を夜な夜なしたい放題ではないか?」  
 金髪金眼の――幼き風貌の少女。吸血無能が現れた。  
 「それとも、もう抱いてやらんのか。気を持たすだけ持たせて  
お前様は本当の鬼畜じゃのう」  
 言うだけ言うと忍はさっさと僕の影に沈みこんだ。  
 「…まったくどうしろってんだ…っ。」  
 僕は廊下で天井を仰いでいた。  
 
 
 偽物語 アニメ化祈願 ウソOP  
 
 『強いぞ怖いぞファイヤーシスターズ!』  
 
 作詞:???  
 唄:同士諸君  
 
 あたし達は栂の木二中のファイヤーシスターズ!  
 ごっこじゃなくて正義の味方だよ、兄ちゃん  
 正義の味方じゃなくて正義そのものだよ、お兄ちゃん  
 ファイヤーシスターズの実戦担当、阿良々木火憐!  
 今日も今日とて世の為人の為。正義の為に闘うぜ。  
 目には鉄拳、歯にも鉄拳!  
 (知ってるか火憐ちゃん。人の為と書いて、偽りて読むんだぜ…)  
 
 ファイヤーシスターズの参謀担当、阿良々木月火だよ〜。  
 今日も今日とて世の為人の為。趣味の為に闘います〜。  
 (おまえらのはただのごっこ遊びだろう…)  
 
 猛る叫びが 胸を焦がす炎が 正義のみなもとさ  
 あたしのジャージは戦士の鎧  
 折れない強さを教えくれたのは 兄ちゃんだ!  
 
 こんな偽物だらけの世界 滅んじゃっていいと思ってだけど  
 お兄ちゃんの為に思いとどまったんだよ〜。  
 
 (二人パート)  
 いつまでも今のじゃいられないけど  
 夢中になれば 時を忘れられるから  
 大人になって 愛することに 戸惑って 傷ついても  
 正義の心を 忘れなければ  
 きっと見つかる あなたの進む道が  
 
 先日、スキンシップの果て、僕と火憐ちゃんは一つになった。  
 言葉のあやではなく、弁解の余地なく、僕は火憐ちゃんの孔と言う穴で繋がった。  
 体力で勝る火憐ちゃんを自慰行為で十回イカせてから、両腕を後ろ手に緊縛して  
焦らすようにキスと愛撫を重ね、火憐ちゃんの求めるままに僕のモノをしゃぶらせ、  
生臭い精液を飲ませた。さらに体力と精神を消耗した火憐ちゃんに、浣腸を施し  
お尻を振動玩具で揉みほぐし、火憐ちゃんの直腸粘膜に射精した。  
 前ですることに頑なな抵抗を示した僕だったが、火照った身体を制御しきれず  
悶え狂う火憐ちゃんの求める声に、抗うことはできなかった。  
 僕は、火憐ちゃん犯した。欲望に身を任せて、かけがいのない大切な妹の子宮に直接―――  
 火憐ちゃんから求められたとはいえ。火憐ちゃんのせいにはしない。  
 僕は僕の意思で火憐ちゃんを抱いた。大切な、かけがいのない妹の処女を、僕は奪った。  
 その後も僕は火憐ちゃんと情事を重ねた。  
 一度目はゲームの続きだった。  
 二度目は勝負だった。  
 結果。変態百合姉妹は姓に目覚めてしまった。  
 (あろうことか、浮気防止と称して、兄の寝起きを襲おうとは…)  
 そして僕は百合姉妹の変態性欲について相談しようと、エロ先生。神原駿河を訪ねるべく家を後にした。  
 
 
 「阿良々木先輩。私とて怒るときは怒るのだぞ!!」  
 神原後輩は怒ってらっしゃった。  
 無印ペールの時に着信拒否したことを、まだ根にもっていた。  
 分かりやすく、両手を組み胡座をかいて僕に背中を向けている。  
 まあ、家に上げて部屋に入れてくれるぐらいだから、怒り浸透ってわけではないらしい。  
 ようはけじめの問題か、怒った以上、引っ込みがつかないらしい。  
 だから僕も土下座して詫びを入れているというのに。  
 「あの…。神原さん…」  
 「ふん!」  
 ぷいっ。っと、そっぽ向きやがった。  
 実際、僕もこんな事してる暇ないんだよな。  
 あんまり気が進まないが仕方ない。どっちみちそっち方面の話だし。  
 サクッと伝えてしまおう。  
 「だいたい携帯のアドレス機能も満足に使えない私がだな、わざわざ電話をだな…」  
 「実は電話に出られなかったのはエロ方面の話で、今日はその事で相談が…」  
 瞬間。  
 土下座する僕の肩に神原が手を置いていた。  
 「阿良々木先輩!いつまでそんな格好をしているのだ。顔を上げてくれ。  
そのエロ話…。いや、相談。じっくりと聞こうじゃないか」  
 神原駿河は実にイイ笑顔で両目を爛々と輝かせていた。  
 変わり身はやっ!?  
 いや。実際わかりやす過ぎだぞ神原後輩…。  
 「…ところで、あの時の用件って一体なんだったんだ」  
 「あっ、いやな。お気に入りのBLのカップリングについて阿良々木先輩の  
忌憚なき意見をだな…」  
 こうして、僕は神原後輩のBL談義を延々と聞かされるはめになった。  
 「それで、相談とはなんなのだ。戦場ヶ原先輩との事なのか?初めて同士ではそりゃ緊張もするだろうが…」  
 「いや、彼女の事ではなく…。家族の事で…」  
 「家族関係か?それなら私では力になれるかわからないぞ阿良々木先輩。兄妹関係の悩みを聞いて欲しい  
と言うことなのだろうか?」  
 そうなんだよな兄妹の問題って、どこまで喋っていいものなんだろうか。  
 でも僕の性知識なんて知れたものだし、正直に話すしかないんだよな。  
 「実は…、妹と…、火憐と、してしまいまして…」  
 「し、してしまった!?とは…。何をだろうか?阿良々木先輩」  
 「いや、その…性行為を…」  
 「ほ、ほう。それで」  
 ゴクリ。  
 生唾を飲むな。かぶりよるな。  
 それから、僕は火憐との情事の様子を一通り話し。  
 現状の問題点、性に目覚めてしまった百合姉妹の変態性欲について解決案はないか、意見を求めた。  
 
 「一つ確認しておくが阿良々木先輩と火憐ちゃんは実の兄妹なのだな?」  
 「そうだけど。実際僕と火憐の顔ってそっくりじゃん。奇跡が10個並んでも兄妹だろうな」  
 「それともうひとつ?避妊はどうなのだ」  
 「ヒニン?ナニソレ?オイシイ」  
 「うーん…、なるほどな。やはり火憐ちゃんからも話しを聞いた方がいいな、それは」  
 「やっぱり、その方がいいか?」  
 「ああ。前にも言ったが女の子もエッチな事に興味があるのだ。無理に押さえ込んでも、あらぬ方向に  
暴走してまうだろうし、聞いてみたところ火憐ちゃんにはMの素養があるみたいだし、性欲を押さえ込む  
より、阿良々木先輩がコントロールする方向にもっていった方がいいだろう」  
 ゴクッ。  
 「…ソレって、つまり…」  
 「阿良々木先輩が火憐ちゃんの性欲をコントロールするのだ。つまり阿良々木先輩が火憐ちゃんを調きょ…、  
躾るのだ。」  
 今、調教って言いかけませんでしたか、神原さん。  
 「…躾…、ねぇ…」  
 それってオオスズメバチに芸を仕込むのに等しい行為だぞ。  
 「阿良々木先輩!上から無理やり抑えつけるんじゃ駄目だぞ。逆効果だ。そんな上からの力じゃ届かないぞ、  
もっと親身に考えてやってくれまずは抱きしめて、正直に問題を告げて、それからだぞ。火憐ちゃんの話を  
きちんと聞いて、ちょっとずつ齟齬を解消するしかないのだ」  
 ずばりと、神原は僕を見つめて断言した。  
 「家族は、いちばん近くにいる他人なのだ。遠くからじゃ届かない。近づいて、抱きしめて、言葉を  
交わさなければ。それはいちばん傷つきやすい距離だが、自分も痛みを背負う覚悟がなければ――  
もう家族じゃない」  
 そこまで辛辣な言葉を吐くと、神原はとびっきりの笑顔で微笑んだ。  
 「傷つくのも痛いのも距離が近い証拠なのだ。いちばん寂しいのは、喧嘩もできないことなのだ。  
抱きしめると言う会話、頑張ってくれ阿良々木先輩!」  
 うーん。羽川でなく、神原にここまで諭されるとは思っても見なかった。  
 実に意外だ。  
 「できれば早い方がいいな阿良々木先輩」  
 「…そ、そうか…」  
 「それにな。都合の良いことに火憐ちゃんもこれからここに来るのだ何かお兄ちゃんの事で相談があるらしいぞ」  
 満面の笑みを浮かべる神原の手の中の携帯のメール欄には火憐からのメールが届いていた。  
 
 
 「しかし実の妹を緊縛して、何も知らぬ間にすべての行為を受け入れる稀有な存在に仕込むとは、  
いやいや、恐れ入ったぞ阿良々木先輩。無理にでも縄や首輪を押し付けておいて正解だったな。本当は戦場ヶ原先輩との  
まぐわいのアクセントに使ってほしかったのだが、これこそ怪我の功名と言うべきものだ。うん、  
どうしたのだ阿良々木先輩?」  
 「いや、引かずによく話を聞いてくれて、世話を焼いてくれると思って」  
 「ははは。私と阿良々木先輩の仲ではないか、水くさい。それに近親相姦はそれほど珍しい話ではないぞ  
阿良々木先輩。神話の時代からその手の話は多く語り継がれている、現代においても見ろ阿良々木先輩」  
 僕の目の前に兄×妹や姉×弟の告白本や創作本が瞬く間に積み置かれた。  
 そして最も恐ろしいのは、神原駿河の満面の笑顔。  
 にひっ♪  
 神原って二次ならBL。三次なら同性が趣味の変態だと思ってたけど。  
 筋金入りの変態だったんだな。神原に兄弟がいたらと思うだけで恐ろしい。  
 ……西○宗・画・駿河……  
 ……長谷川○子・画・暦……  
 
 「しかし、火憐ちゃんには先を越されてしまったな、私も早く戦場ヶ原先輩に奪ってほしいものだ」  
 「………」  
 「ああ、私がどのような方法で戦場ヶ原先輩に処女を捧げるのか疑問なのか」  
 神原は立ち上がって戸袋を開き、黒塗りの玉手箱みたいなものを取り出した。  
 「コレだ!これは骨董としても相当な値打ちものだ。江戸時代の作で銘もある」  
 と、自慢気に赤い紐を解いて蓋を開け、中に入った男根を模した双頭の張型を取り出して見せた。  
 紅く光る淫靡な器具は実際かなりの太さだ。  
 「見てくれ!この太さ見事な反り。昔、名のある大奥のお局さんが使っていたに違いない!」  
 「振り回すな、こっちに筒先を向けるな。頬を擦り寄せるな!!」  
 「うんっ。これの使い方か?中は空洞になっていてだな、綿を詰めてぬるま湯を入れる事により人肌の  
温もりをだな」  
 「やめろ!やめろ!!そんな事は聞いてない!?」  
 「その折には阿良々木先輩も交えてさしつさされつだな」  
 3Pですか、神原さん。もちろん遠慮します。  
 こいつ実は相談にかこつけて、自身の性欲を満たしたいだけじゃないのか?  
 神原…っ。恐ろしい子。  
 ……美内み○ず・画・暦……  
 
「………」「………」  
 「どうした、二人とも黙ってしまって」  
 ……う〜む。  
 なんというか、再び成立してしまった三角無関係に、どう動いていいかわからない状態なのだがな。  
 「火憐ちゃ…っ。いや、火憐お前何しに来たんだよ」  
 「兄ちゃんこそ…」  
 「だいたい何かしらの相談なら、羽川にするんじゃないのかお前ら」  
 「だって翼さんに話を持っていくと兄ちゃん怒るだろ。それに…っこんな話を、  
翼さんにできるわけねえじゃん…」  
 「はぁん?」  
 まあ、どんな話しか知らんけど、羽川を巻き込むなら怒るわな普通。  
 「まあまあ阿良々木先輩、ここは火憐ちゃんの話しを聞かないと何も始まらないぞ」  
 すげえにこやかに笑う神原、逆に怖いわ。  
 「神原先生…」  
 キラキラした目で神原を見つめる火憐ちゃん。騙されるなエロい目にあうぞ。  
 神原は正座する火憐の横にススッと移動し、肩に腕を回しその手を握る。  
 「あっ…」  
 「心配するな恋の悩み事は人に話せば半分は解決したみたいなものだ。全て私に任せておけ」  
 「かっ、神原先生…」  
 こらっ!!僕を置いて見詰め合うな頬を染め合うな。  
 「では阿良々木先輩。しばらくここで待っていてくれ。準備をしてくる」  
 神原は火憐の手を引いて立ち上がった。  
 「ちょっと待て。火憐も連れて行くのか」  
 「ああっ。火憐ちゃんをおめかしするからな、きっとびっくりするぞ」  
 神原はとびっきりの笑顔で微笑んだ。  
 おめかしって。イヤな予感てっか、実際エロい予感しかしねえ…  
 それからしばらく僕は神原の部屋を片付けていた。それはそれはたっぷり二時間ほど。  
 いい加減待ちくたびれところで。  
 「阿良々木先輩待たせたな」  
 と。  
 襖が少し開き神原の包帯に包まれた手が、手招きしている。  
 「はぁん?なんの趣向だ」 「別室で火憐ちゃんを待たせている。付いて来てくれ」  
 「ふうん。まあいいけど…」  
 僕が廊下に出ると神原の姿は見えず。廊下の端に神原の手が手招きしている  
のが見える。  
 「…鬼さんこちら手の鳴る方へ…」  
 神原は姿を見せず。手拍子と手招きで僕を誘導しはじめた。  
 まあ、僕は実際鬼だけど、こういった昔話って、何かあったよな。  
 若い男が桃源郷だか何処かに迷い込んで、何かしらされちゃうおとぎ話。  
 「ふふっ。桃源郷か。言い得て妙だぞ、阿良々木先輩」  
 神原は姿を見せず。巧みに僕を誘導する。   
 
 「はぁん?でも神原。鬼さんこちらは、鬼役のお客が目隠されて芸者さんが囃し立てる御座敷遊びのはずだぞ?」  
 「相変わらずの博識だな阿良々木先輩は、ではこれではどうだろう」  
 
 かぁごめ♪かぁごめ♪。籠のなかの鳥は。何時何時、出遣る?  
 夜明けの晩に。鶴と亀が滑った。  
後ろの正面、だぁれ?  
 
 「かごめかごめ?」  
 「そう。鬼の歌だ」  
 「鬼の…」  
 「そう籠のなかに鬼を追いこみ、逃げないように取囲み、鶴と亀を滑らせる。  
縁起の良い長命といわれている動物が滑る、つまりそれは『殺す』の隠喩、  
最後は首を切られた鬼の生首がグルリと反転して後ろの正面を見る」  
 ずいぶんと物騒な歌なんだな。  
 そういや昔話の鬼ってコミカルな役が多いよな。  
 嫁取りに来て、この豆の芽が出たら娘を嫁にやるって炒った豆を渡されて  
芽が出るまで待ってたりしてるんだもんな。  
 そういや僕も神原に引き回されてるんだよな。鬼の役だよ。  
 「神原どこまで行くんだ?なんかぐるぐる廻ってないか」  
 「ふふふ、あわてないあわてない。あっと、トイレはソコだ。よく覚えておいてくれウォシュレットも付いている」  
 かぁごめ♪かぁごめ♪。籠のなかの鳥は。何時何時、出遣る?  
 夜明けの晩に。鶴と亀が滑った。  
後ろの正面、だぁれ?  
後ろの正面、だぁれ?  
 
 神原は囃し立てる。楽しそうに嬉しそうに。  
 薄暗い廊下をどれだけ歩いたろうか、僕は本当に迷い家に紛れ込んだような…  
…さっ…か…く…に…と、ら…われ…はじ…め…た…  
 ふわふわと漂う浮游感。僕は現実のなかに居るのか?本当に何処かに迷い…込んだ…  
 「おい…神原…どこだよ…」  
 いつの間にか、神原の手招きを見失っていた。  
 そして、僕の正面にあった襖がスッと開き神原の包帯に包まれた手が見えた。  
 僕を手招いている。  
 襖の奥から蝋燭の揺らめく灯りがこぼれている。  
 「阿良々木先輩。ここだ、ここだ。火憐ちゃんもここにいる」  
 「…ああっ。わかった…」  
 
 そして僕は迷い込んだ…。  
 
 エロい予感はしていたが、ソコには想像を絶する光景が広がっていた。  
 「か、火憐ちゃん…っ。か、神原…っ」  
 室内に敷かれた夜具の四隅には燭台が置かれ。揺らめく灯りが幻想的な  
光景を際立たせている。  
 ゴクリッと、思わず唾を飲み込む。  
 夜具の上では神原が後ろから火憐ちゃんに絡みついていた。  
 神原は露出の多い悪の女幹部のような黒い革製の派手な衣装をまとい、顔をいかがわしい蝶のアイマスクで隠し、  
首には獣の毛をあしらった首輪を巻いている。  
 とても悪そうな見た目だ。禍々しく後ろ向きな姿である。  
 神原の腕に抱かれている火憐ちゃんは紅い縄に後ろ手に緊縛されていた。  
 ただ緊縛されているのではない。  
 「…それ…っ、ウチの、中江津高校の夏服か…っ」  
 「ふふっ♪私のを貸したのだ。とても良く似合っているぞ火憐ちゃん」  
 そう。火憐ちゃんは服を着ている。しかしそれは火憐ちゃんの羞恥心を煽る役にしか立ってはいない。  
 首には真っ赤な首輪が巻かれ。上半身の夏服は腹部から首元まで捲り上げられ、胸の上下に食い込む縄と  
肩口から伸びる縄が胸の谷間で横縄とV字に絡まり編み込まれ、おっぱいを強調するように緊縛された結果、  
ずり落ちないように固定されている。  
 汗をにじませた柔肌が蝋燭の灯りに照らしだされて、紅い縄が火線のように密着し菱形に編み込まれて  
いる様が見てとれる。  
 
 背中に高々とくくり上げられた両手、縄にくびられてはち切れんばかりに飛びだした乳首のツンと  
上向いた、生意気な手のひらに少し余るくらいのおっぱい。  
 絞り出されている乳房の可憐な感じの薄桃色の乳頭は、何ともいえない感情をそそり立てられる。  
 スカートは履かされておらず、第二次性徴期における、大人と子どものちょうど中間の腰の曲線が  
僕の視線に羞じらい悶え腰をよじる。  
 スラリとした脚を締めつけて脚線美を強調する濃紺色のオーバー二ーソックス。  
 ショーツは脱がされ右足首に丸まって絡まり、両膝は大きく割り開かれ、左右の膝上を縛った縄尻が  
背中で結ばれているためかM字に固定され、脚を閉じ合わせることも出来ないようだ。  
 薄暗い室内に灯る蝋燭の灯りが乳房から太腿を、白黒のコントラストで一層際立たせて露出させている。  
 白々と輝く瑞々しくなだらかに起伏する下腹部に、滑らかな腹部の縦に割れた可愛い臍の窪みを中心にして、  
腰に強く結びつけた縄を菱形にガッチリと縛られ、絹のように柔らかい繊毛でほんのわずかに覆われた  
恥丘に紅白によられた縄が縦にグッと食い込んでいる。  
 股縄は真っ赤に充血し腫れ上がった幼い肉畝や尻房に喰い込み肉の割れ目を割っているだけではなかった。  
 大小の縄の結び目の瘤が作ってあり、肉芽を的確に押し潰し、幼い肉の割れ目のなかに喰い込んで  
縄繊維がチクチクと膣内粘膜を刺激し、肛門にも大きめの瘤が当てられ肛門に埋め込まれた黒光り  
する器具を押し込む形になっている。  
 火照り上気したあどけない頬、いつも攻撃的な吊り目は涙を留め淡く潤み、ゆらゆらと光を帯びている。  
 何より僕の眼を惹きつけてやまないのは、薄明かりのなか恥じらう吐息をこぼすぷっくりした唇の朱。  
 「神原…、おま…っ、火憐ちゃんに…何を…っ。化粧まで!?」  
 神原って、百合でBLでネコで受けでロリでマゾで責め属性はなかったはすだぞ!  
 でも、僕も襲われた事あるしな、それも僕のせいだから。この事態もやはり僕のせいなのか!  
 あまりにも淫靡で耽美な光景に、言葉が出ない。  
 「ふふっ♪口紅だけな。まっ、化粧と言うなら縄化粧だな。阿良々木先輩のマニアックな好みに合わせた  
つもりだが」  
 「合わせるな!!」  
 「相変わらず。好みなのは否定しないのだな」  
 「制服」は火憐ちゃんの恥部を効果的に露出し、羞恥心をこれでもかと刺激している。  
 全裸を緊縛されるよりも恥ずかしい卑猥さを強調され、火憐ちゃんの羞恥心を煽っている。  
 って言うか。まんま悪の組織に捕まったヒロインを弄ぶ、悪の女幹部の図がソコにはあった。  
 「あ、あたしが…っ、神原先生に頼んだの…っ、神原先生は悪くないの」  
 「なんで。そんな真似を」  
 「…だ、だって」  
 「まあまあ。阿良々木先輩、その事をこれから話そうというのだ。まずは中に入ってくれ。  
ルールの方も阿良々木先輩と火憐ちゃんにならっている。  
 一つ目は、火憐ちゃんが言うことに、少しでも逆らったらそこで終了。  
 二つ目は、火憐ちゃんが一言でも『イヤ』って言えばこれも終了。だったな」  
 言いながら神原は妖しい笑みを浮かべ、耳たぶを唇で甘噛みしながら慣れた手つきで縄に絞り出された  
火憐ちゃんのおっぱいを掌に載せ、重さを測るように上下に揺さぶった。  
 ひと握りに少しあまる程の可憐な乳房を揺するように愛撫されると、火憐ちゃんの全身は電流に触れた  
ようにブルッと痙攣を示した。  
 「ふ!?く、ふうぅぅっ!?」  
 「ふふっ♪張ってずっしりしてきたな汗に濡れてしっとりと掌に吸いついてくる、感度の良い敏感な  
おっぱいだ」  
 神原あんまり軽々しく、そのおっぱいに触るな僕のだぞ、そのおっぱいわ。  
 しかし、神原の言う通りだとすれば、この状況は火憐ちゃんが望んだって事なのか?一体何故。  
 そして僕は室内に一歩足を踏み入れた。  
 
 「「ああっっ!!」」  
 神原と火憐。異口同音で二人が叫んだ。  
 「うえっ!?な、なに…」  
 思わず、退いてしまった。  
 「阿良々木先輩!それはいただけないな。女の子二人がこんなに恥ずかしい  
格好をしているのにそのまま入るつもりなのか」  
 「え、いや、だって…っ」  
 「そうだぞ…っ。兄ちゃんも、ぬ、脱いでよ…っ」  
 火憐ちゃんと神原のうらみがましい目と、非難の声が浴びせられる。  
 なんで僕責められてるの?って言うか。実際勃っちゃてるんだよ。  
 僕の視線を浴びる事により凛々しい火憐ちゃんの顔が、羞恥に火照って  
みるみる真っ赤に染まっていく様が堪らない。  
 神原に芸術的に緊縛された鍛えられた半裸を、ふるふると悶えさせる様子は見蕩れんばかりの美しさだ。  
 
 
 「ほらよ、これでいいか」  
 服を全て脱ぎ僕は室内に入り襖を閉じた。  
 よく干された夜具から発する、いわゆるお日様の香りの満ちた室内に汗臭い雄の匂いが割って入る。  
 神原はすでに怒張し臍まで反り返った僕の肉棒に眼をやり、「ふふっ♪火憐ちゃんを見てもうあんなに  
しているぞ」と、囁き火憐ちゃんの両脚に自らの脚を絡ませ膝裏を掬い、M字に割り開かれた両脚をさらに  
左右に割り拡げさせても火憐ちゃんは抗おうとはしなかった。  
 
 
 「…兄ちゃん…、あたしで、おっきくしてくれてるの…っ、うれしい…っ」  
   
 

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