……んふ…ぴちゃ…ゃ……ぅ…………ん……じゅるっ……うふふ……んっ…ふっ…。  
ぴちゃぴちゃと千石の唾液が僕の肉棒に絡まるいやらしい音が千石の部屋の中を支配する。  
…ぅん……ぅぁ……はぁ………じゅ………ぱっ……ぅふ………んっっ…………。  
千石が僕の股の間に顔を入れ、献身的な娼婦のように僕に吸い付いていた。  
僕の中から精を全て取り出すかのように搾り取る。  
舌を絡め、頬をすぼめ、僕の表情を見ながら口を動かし続けた。  
どうすれば気持ちが良いかを考えながら、動きや攻めるポイントを探しているようだ。  
上目遣いで僕の様子を窺い、媚びるような千石の表情がますます情欲をかき立てる。  
千石は小さな口で亀頭を包み、舌を這わせ、ぐちゅぐちゅ音を立てて吸い込んだ。  
休む暇など全くなく、頭を前後に動かすのが疲れて口の動きは止まっても舌は動き続け、継続して僕に快楽をもたらしてくれる。  
嫌がる素振りも一切なく、喜んで僕の股に顔を埋める千石は何かに取り憑かれたように一心不乱に僕を吸い続けた。  
 
……取り憑かれた……?  
 
またか!?  
またなのか!?  
また怪異に取り憑かれたのか!?  
どうしたんだよ、千石!  
何かあったんなら言ってくれ!  
僕は実の妹のようなお前のためなら何だって出来るんだ!  
 
……お前はお前できっと色んな問題を背負い込んでいるんだな。  
でも問題なんてのはみんながみんな持っているものなんだ。  
だから僕はお前に同情なんてしない。  
一緒に悩んでやる。  
悩んで苦しんで引き上げてやる。  
僕をもっと信用してくれ、千石っ!  
 
その場で僕の想いが千石に伝わることはなかった。  
 
不覚にも、気持ちが良いし今じゃなくても大丈夫か、と思ってしまったからだ。  
千石も大変そうだし後にしようかな、と。  
 
 
千石の額や頬には汗が滴り、官能的な香りが部屋中に広がっている。  
それが元々千石の持っている優しい香りと重なって、僕の煩悩を刺激した。  
その嬉しそうな表情を見ると、誰が見ても愛する人に悦んでもらうために行動する懸命な女性の姿、として映りそうだ。  
 
 
 
今日、千石の両親は仕事で家にいない。  
千石が家で一人になる時はこうして僕が千石の家へお邪魔して、口で処理をしてもらうという約束をした。  
約束させられた、というのが正しい言い方かもしれない。  
いつも通りの一択だったからなあ。  
口で処理をしてもらう選択肢を選んだ僕に千石は、「今度は下のお口もちゃんと使うから…」という宣言も恥ずかしそうにしていた。  
 
下の奥地ってどこのことだろう。  
わざわざ僕のために一階に特殊な部屋でも用意しているのか?  
そこまでしてもらうのはさすがに悪いな。  
これは流されずにちゃんと断るべきだ。  
この意思は固いぞ。  
 
千石の部屋に入ってからずっと続いていた攻めに我慢できずにとうとう射精してしまう。  
僕の出した精は千石が…ぅんっ………と小さな呻き声と共に全て飲み干し、尿道にも残らないよう綺麗に吸い取ってくれる。  
その顔は淫らで、とても満足そうだった。  
 
初めて口でしてくれる時に僕の為にそこまでしなくてもいいよ、と言ったけど千石は、  
「ダメだよっ! あなたにはどうしても必要なことなの!」と強く否定した。  
 
僕のことをとても大切に思ってくれているようだ。  
家族にもそんなに深く心配してもらったことはない、と思う。  
こんな絆が出来るなんて思ってもみなかった。  
嬉しい限りだ。  
お前と出会えてよかったよ、千石。  
 
時間が余ったときには、その後一緒にお風呂に入る約束をしているけど、さすがにそれはまだ実行に移していない。  
理由はもちろん恥ずかしいから。  
実はもう二度も千石とはお風呂に入っているわけだけど、一度目は成り行き、二度目は介抱するためだ。  
決して約束していたわけじゃない。  
 
八九寺と待ち合わせが出来ないのと同様に、約束してお風呂に入るなんて恥ずかしすぎで出来るかどうか……。  
まあ実行できるかどうかは、時期と気持ち次第だろう。  
 
 * * * * *  
 
千石が二度目の怪異に襲われてから数日が経過した。  
僕はあの日、部屋で何があって風呂場でどんなことがあったか、どんな風に感じたかを千石に教えた。  
千石はしょっちゅう痙攣していたせいか、あまり覚えていないらしく、  
「…ぁ……あなた、くわしく…ぉ…おしえてくれない…かな?」と目を伏せて遠慮がちに頼まれたからだ。  
 
話をしている間、千石はなんでか恥ずかしそうにしてたんだよな。  
僕は在ったことをそのまま伝えただけなのになあ。  
 
一通り僕から話を聞いた千石は神妙な顔をして口を開いた。  
 
 
『な、撫子が怪異から解放された後っ、お風呂に入った時に取り憑いてきた怪異があなたの身体に乗り移ったままかもしれないよっ!』と。  
 
 
千石は自分のせいで僕の身体に何か支障が出るといけない、と主張した。  
僕の身体に何か不具合が生じることを阻止するために千石は色々と書物を調べ、研究してくれるという。  
 
……その不具合には僕の股間のことも含まれているのか…?  
是が非でも協力してもらおう!!  
 
怪異の研究はするけど、書物だけの情報では実際の出来事と差異があるかもしれない。  
だから実践しながら解決していくということになった。  
 
『口を使った性欲の処理』  
千石が調べて来てくれた中の解決策の一つがこれだった。  
千石が言うには、僕の精子を週二〜三回、他人の手によって出すことが必要らしい。  
 
自分のせいで僕がそんな身体になったと思って責任を感じている千石は、  
「…ぁ……あなた。今日も撫子があなたを守るからね!」  
と恥ずかしそうな表情を浮かべながら気合いを入れ、千石は僕の股間に顔を埋めた。  
 
今日で何度目だっただろうか。  
まだ片手で数えられる回数だけだけど、千石は約束を守ってくれている。  
僕の股間に千石が顔を沈め、今も僕のモノを丁寧に清めてくれている。  
これだけを聞くと誤解されるかもしれないが、これはあくまで神聖な行為らしい。  
だから千石は『清める』という言葉を使ったんだろう。  
たまにイヤラシイ目で千石を見てしまう自分が情けない。  
 
僕だって千石の調べた解決方法を聞いて心底驚いたんだ。  
でも僕のことを心から心配してくれている千石の想いを無駄には出来ない。  
繰り返すけど、これは『神聖な』行為だから。  
こんなことを考えている間にも、ピチャピチャと千石の唾液が絡みつく音が僕の耳から離れない。  
僕に吸い付く千石の温もりも感触も、前後に動く千石の姿も僕の記憶の中に焼きついてしまっているだろう。  
 
 * * * * *  
 
最近、千石は妙に女らしくなった。  
カチューシャで髪を上げ、瞳を見せるだけで以前より数倍も魅力が上がったのは言うまでもないけど、  
そんな外見だけでなく、中身も自身に纏う雰囲気さえも一歩大人に近づいた、という感じだ。  
家にいるときは楽な格好が当たり前らしく、キャミソール一枚なんてこともある。  
それに千石の胸の先っぽがポツンと強調するように盛り上がっていることが多い。  
 
そのせいか千石を女性として見てしまいそうな僕がいる。  
どうしようもなく愛しく感じ、間にある距離を全て埋めてしまいたくなる。  
 
 
……なんて冗談だけどね。  
何度も言ってるけど、いくら僕でもやっちゃいけないこととやっても良いことの区別くらいつくんだ。  
妹のような存在には何があっても手を出すわけはない。  
 
 
なんで僕の為にここまでやってくれるのか千石に聞いたことがある。  
そうしたら「…ぁ……あなたは大切な人だからっ!」って語尾を強めながら頬を桃色に染め、千石にしては珍しくハッキリと口を動かした。  
言い切った。  
開き直った?  
 
そうか、お前は僕と同じ想いだったんだな、千石。  
「僕もお前が大切だぞ」と言ったらそこまで弛緩するのかってくらい、顔がたるんたるんに弛んでいた。  
それがまた子供のように無邪気なんだけど、瞳の奥には大人の魅力が潜んでいるように感じる。  
僕の目には酷く魅惑的な千石が映った。  
 
可愛いなあ、千石は。  
 

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