「なあ夜月、わっふるわっふるってどういう意味か知ってるか?」  
「お、お兄ちゃんパソコンで何を見てるのかな…?」  
「ブログのタイトルっぽく名前を編集した夜月のお気に入りBL掲示板はは今は見てないよ」  
「!? 勝手にお気に入りは見ないでって言ったのに! 馬鹿っ」  
「悪い悪い、夜月が昨日ネット見た時の履歴は消しておいたから」  
「ああっ! うううぅー…」  
「で、わっふるってケーキのことじゃあないよな。  
僕、掲示板ってあんまり使ったことないから分からない用語が多いんだよね」  
「えとえと、わっふるわっふるっていうのは「続きを期待する」みたいな意味のことばだよ。  
続きが気になる文章を書いて、「全てを読むにはワッフルワッフルと書き込んでください」ってするのが流行ったことがあるみたい」  
「ふうん、詳しいな。つまり今僕は続きを書くことを要請されてるわけだ。  
>>802なんか僕より会話の雰囲気作りがうまそうだから自分で書けばいいのに。」  
 というか、化物語は図書館で借りただけだから原作の雰囲気とか忘れかかってるんだよな、僕。  
手元に無い本のSSを気まぐれで投下なんてするんじゃなかったかな。  
正直クビシメロマンチストあたりのほうが好きだし。  
「お兄ちゃん、こんな時間からエロパロ板に書き込んでたんだ……」  
「いつ見たって僕の勝手だ。というか夜月エロパロ板知ってたんだな。  
ところで夜月、提案があるんだが、続きを書く参考にするために、服を脱いでくれないか?」  
 
「え?えとえと」  
 夜月が動揺している間に、すばやく背後に回って抱きしめ、座らせる。  
「もう、お兄ちゃっ、にゃ!」  
 そのまま体を撫でる。昔通りに後から抱きしめたのは、  
こっちのほうが体を密着させたままあちこちを触りやすいと思うからだ。  
 というのはもしかすると言い訳で、未だこういった行為に対する  
恥ずかしさが残っているというだけのことなのかもしれない。  
「んんー、あ、にゃう!お兄、やみゃ!」  
 夜月の反応のいい所は既に把握していた。耳たぶ、うなじ、あばらの下、脇腹、などなど。  
 座っているため脚の付け根の裏側を触れないのが残念だ。  
 ひとしきり服の上から弱点をチェックした後、肌を直接触ろうと、服の中に手を、  
「お兄ちゃん、やめ、お兄、お兄ちゃんってば!」  
 するりと、腕の中から夜月に逃げられてしまった。  
 そういえば今日は夜月の意思を確認していなかった。  
 普段は言葉責めがてら、確認してから行為に挑むのだが。  
「う、ううー」  
 唸りながらこちらを睨みつけてくる。少々機嫌を害してしまったらしい。  
「ごめんごめん、夜月が体触ってほしそうな顔してたから」  
「そんな顔してないもん!」  
「阿良々木くんと神原になりきって色々してみたそうな顔してたから」  
「そ、そんな具体的な顔してないよー」  
「したくない?」  
「も、もう……」  
「したくないなら仕方ない、僕は掲示板巡りに戻るかな」  
 ここら辺で一歩引いてみる。これで夜月のほうから来なかったら今日は諦めよう。  
 
「あ、えと、お兄ちゃん」  
「何?」  
「夜月の、体、さ、触ってほしいかなー」  
 やはり自分から言うのは恥ずかしいのだろう、顔を真っ赤にしている。  
「触るだけ?」  
「え、えとえと……さわるだけ!」  
 む、神原×阿良々木なりきりプレイはおあずけか。  
 そんなにやりたかったわけでもないけど。  
「よし、よく言えました」  
 僕は今度はゆっくり夜月に近づいて、そっと抱きしめてやる。  
 さきほどがっついてしまった分優しくしようと、まずは頭を撫でてみる。  
「えへへー。お兄ちゃんに頭撫でられるの、好き」  
 夜月は幸せそうにはにかんだ。もうすっかり機嫌は直ったらしい。  
 夜月が幸せなら僕も幸せだ。こんな時間がずっと続けばいいのにな、と思った。  
「こんな時間がずっと続けばいいのにな」  
 口に出して言ってみる。  
「? うん、夜月も嬉しいかなー」  
 夜月の同意も得られた。これは兄としてなるべく実現させねばならないだろう。  
 頭を撫でる。  
「えへへー」  
 頭を撫でる。撫でる。  
「……」  
 撫でる。撫でる。撫でる。撫でる。  
「え、えーと、お兄ちゃん」  
「何?夜月」  
「か、体も、触ってほしいかなー」  
 そういえばそういうお願いだった。忘れてなかったけど。  
「体の、どこを触ってほしい?」  
「え、うー、 ―――――!!」  
 どこをイメージしたのだろう、頭をぶんぶんと振り始めた。  
 夜月の髪が鼻をくすぐる。  
「どこ?」  
「あ、えと、えと、お兄ちゃんの好きなところ、触っていいよ」  
 さすがに、触ってくださいと言うのは抵抗があったのだろうか。  
 まあ、そこまで言わせないでもいいか。  
 僕は先ほどと同じところを、先ほどよりずっと優しく撫でた。  
「あ、うん、ん、……」  
 夜月はすっかり力を抜いてこちらにもたれかかっている。  
 やはり、こういった行為には思いやりが必要だ。  
 数分前の僕にはそれが欠けていた。  
 あんな奴は自慰行為だけしていればいいのだ。  
 そんなことを考えつつ、恐る恐る服に手を挿しこんでゆく。  
「んっ!」  
 夜月は一瞬身を強張らせたが、抵抗はしなかった。  
 そのまま手を上へと進め、ブラジャーに触れるところまで腕を挿し入れた。  
「お、お兄ちゃん」  
「僕の、好きなところを、触っていいんだよな?」  
 ゆっくりと確認の言葉を言う。  
「う、うん、お兄ちゃんが触りたいなら、いいよ」  
 僕はブラジャーのホックをはずし、隙間から手を入れた。  
 

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