「ああ、阿良々木…読子さんですか」  
「そのネタはもう原作で使っただろ!」  
「はい、ですが阿良々木さん。でも私の身にもなって下さい。毎回噛むのって中々難しいんですよ」  
「……お前がそういうこと言ってもいいのか?」  
「しょうがありません。ただでさえ噛むのが難しい『阿良々木』なんて苗字をしてる上に、ネットでは噛み方を出し尽くされているんですから。  
 きっと原作者が困ってますよ。最新刊では私との掛け合いが変則的になってましたよね? ちゃんと反省してください」  
「それは僕が謝れば良いのか? ……すみません」  
「素直に頭を下げるなんて、アニメ化したから好感度アップを狙ってるんですか?   
 ニヒルな阿良々木さんや初めて会った私に何度も白目を剥かせた阿良々木さんは何処へ行ってしまったんでしょう」  
「悪かったよ!! でも謝るのは悪いことなのか!?」  
「いえ、そうではありません。ですが場を見て、空気を読んでください」  
「わかったよ! 突っ込めばいいんだろ」  
「さすがは阿良々木さん。何を何処に突っ込むんだか」  
「お前、いつのまにエロくなったんだ!?」  
「エロくなんかありませんよ。私は前回のアニメで何のいやらしさもなく股を開いてパンツ丸見えで白目を剥いたんですよ?   
 戦場ヶ原さんとの扱いに差がありすぎじゃありませんか」  
「ああ、拗ねてんのか」  
「ここは素直に、はい、と言っておきましょう」  
「認めるのか!?」  
「拗ねているのは確かですから。私が主役の話なのにエンディングは戦場ヶ原さんの絵ですよ。ここはやはり私を描くべきではないでしょうか」  
「ああ、僕もそれは思ったよ」  
「エンドロールでは阿良々木さんの次に私の名前がありましたから、一応はヒロイン扱いしてくれているようです」  
「まあ、おまえが主役の話だからな」  
「今度のオープニングはホッチキスの代わりに私の歯型でしょうか?」  
「そんな気持ちの悪そうなオープニングは認められないだろ!」  
「ですが私を象徴する物はありませんから」  
「あるだろ? ツインテールとか、リュックとか、ウサギとか……」  
「そんなのがオープニングに使われるんですか? 動きも全くありませんね」  
「じゃあ、日本語だ。タイピングでひたすら漢字が生産されるとか」  
「日本語が私を象徴する物ですか。嬉しいですね」  
「お前は色んな言葉で色々な言い回しをするからな」  
「素直に褒めてくれるんですね。喜んでおきましょう。  
 そういえばアニメの二話で戦場ヶ原さんの姿をあんなに長い時間、ダイレクトな映像化をされるとは思いませんでしたね。  
 この分だと千石さんの『ベッドの上でブルマだけの姿』もしっかり描かれそうですね」  
「高校三年生と中学二年生じゃ結構な差があるんじゃないか?」  
「ですが最近のアニメはそんな倫理を持っていないように感じます。一部の制作会社だけなのかもしれませんが」  
「色々なアニメがあるもんな」  
「あんなアニメを放映するのは、法律を強化する例を作るためなんじゃないかと勘繰ってしまうくらい酷いものもあります。  
 もちろんこのアニメを作っている会社のことではありませんよ」  
「テレビで放送するには行き過ぎてるアニメもあるかもしれないな」  
「化物語の最終回には阿良々木さんのヌードがエンディングで放送されますしね」  
「誰もそんな僕の姿を期待しないぞ! それに戦場ヶ原はちゃんと制服着てただろ! なんで僕は裸なんだよ!」  
「主役ですから」  
「そんな主人公補正はねえよ!」  
 
「でも阿良々木さんはアニメになって随分と格好良くなりましたよね?」  
「うっ」  
「アニメ化することで鬼太郎に十歩近づきました」  
「十歩もか!? でも僕の外見と鬼太郎は関係ないだろ!」  
「おい、暦」  
「だから文字だけだと似てるかどうかわかんねえって前も言っただろ!」  
「ですがとても名誉あることですよ。怪異が出てくる物語で主人公が鬼太郎に似てるなんて」  
「それはパクリだって言いたいのか?」  
「いえいえ、アホ毛が妖怪アンテナになってるなんて言うはずはないじゃないですか」  
「言ってんじゃねえか!」  
「確かに私に反応して、しっかりと立ってましたからね」  
「お前に思いっきり掴まれてた上に、肘で頭を強打したぞ」  
「それくらい強く反応したってことでしょう」  
「それなら初めからお前が怪異だってわかるはずだ!」  
「阿良々木さんは鈍感ですから」  
「僕は敏感だ!」  
「身体のどの部分がですか? 油断したらすぐエロに走るんですね」  
「受け取る方が勝手に誤解するだけだろ」  
「ここはエロパロ版ですから。ここに来ている人はみんなそっちの方に勘違いしますよ。  
 アニメといえば、忍野さんも格好良かったですね。私は太った中年男性だと思っていました」  
「原作にどれくらい描写があったか覚えてないけど、あれは僕の中のイメージとも違ったな」  
「私は忍野さんと会ったことはありませんが、原作を読んだほとんどの視聴者がそう思ったはずです」  
「勝手に決め付けてんじゃねえよ! まあ僕はHPで忍野をみた時、新キャラが出るのかと思ったよ」  
「……この分だと話がエロの方向には向かいませんね」  
「しょうがないだろ。お前はエロくないんだから」  
「なっ、失礼な!? ……ああ、これがツンデレというヤツですね」  
「僕がツンデレなはずはないだろ! ツンデレは戦場ヶ原だけだ!!」  
「私の胸を揉みしだいたのは、今だかつて阿良々木さんだけです」  
「そんなわけあるか!」  
「私が色んな人に胸を揉まれているような突っ込みは入れないでください!!」  
「そういやお前の胸は大きくなってるのか? 前触ったときより大きかった気がするんだけど」  
「そんなこと言えるはずはありません!」  
「こないだの黒のスケスケパンツと一緒で事実を否定するつもりだな」  
「わ、私はそんなパンツ穿いてません!」  
「パンツ穿いてないのか!? スケスケでもいいから穿いとけよ!!」  
「穿いてます!! 今日もうさぎさんのパンツです!!」  
「ははあ、またか。もう認めちゃえ」  
「認めませんよ!」  
「じゃあ捲くって見せてくれよ」  
「こうですか?」  
「うーん、よく見えないな。ここじゃ人が通るかもしれないし、場所を移動しよう」  
「な、何をするつもりですか!?」  
「お前の言うことを信じるために行動してるんだよ」  
「……わかりました。冤罪を証明してみせます。では行きましょうか」  
 

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