するすると八九寺は上着、スカート、シャツと服を脱がされていく。
下着に手をかけた時はさすがに身体が強張ったが、抵抗はせずされるがままになっている。
しばらくのち、僕の目の前に生まれたままの姿になった八九寺が横たわっていた。
いつもの饒舌は見受けられず、黙ったまま両手で胸と股間を恥ずかしそうに隠している。ちょっとどかそうとしてみたけど頑なに動かそうとはしなかった。
僕はそれを諦め、再び八九寺に覆い被さる。
「これなら見えないから恥ずかしくないだろ」
「た、確かに見えませんが」
恥ずかしいのには変わりません。
そう呟きつつも僕の背中に手を回してくる。
僕は八九寺の頬にちゅ、とキスをした。
「ん…………」
くすぐったそうに声をもらす。
頬から移動して額や瞼、鼻や顎、もちろん唇にも、ついばむような優しくて甘いキスの雨を降らせる。
頭を撫で、髪の毛を鋤いてやると気持ちいいようなこそばゆいような、そんな表情をした。
少し顎を上げさせ、晒された首筋に吸い付く。
時折舌で舐めながら丹念に唇で首回りを愛撫する。
びくびくと身体を震わせながらも必死に声を抑えているのが見てとれた。
僕はそのまま肩口や鎖骨に唇をずらしていく。
年相応に膨らみかけた胸の回りに舌を這わせると、八九寺はまた慌てて隠そうとした。
僕はその手を掴み、ぺろりと掌を嘗める。
「あっ……」
小さな悲鳴とともに力が緩む。
指先を一本一本丁寧にしゃぶり、手首から肘、二の腕から再び身体の中心へと唇を這わす。
そこから反対の腕へ移行し、同じことをしてやった。
またもや胸回りに戻ってきたが、今度は隠そうとはしない。
つうっと円を描くように膨らみかけの辺りに舌を這わせ、少しずつ中央へと近付いていく。
もう少しでピンク色の突起に到達するところで舌を離し、反対側の胸へと向かう。
今度は円の動きを逆にしたが、やはり中心部に辿り着く前に舌を離した。
そのまま腹や臍に向かっていく。
「あ…………」
八九寺が不満そうな声を出した。
小さいながらもその乳首はぴんぴんに尖っており、刺激してほしそうに自己主張している。
だけど僕は気付かない素振りで「ん?」という表情を向けた。
八九寺はちょっと拗ねたようにぷいと目を反らす。
と、そこで。
僕は片方の乳首を唇で挟み込み、思いっきり吸った。
もう片方は指できゅっと摘まむ。
「ひっ! ひぃああああああっ!」
びくびくびくっ!
八九寺が激しく震えた。
歯で甘噛みし、舌で舐め上げる。
左右を交互に口と指で愛撫すると、八九寺が悲鳴を上げながらじたばたと暴れた。
僕の髪の毛を掴んだのは引き剥がすためかもっと押し付けるためか、いずれにしても上手く力が入らないようで意味はなかったが。
しばらくして離れると、よっぽど気持ちよかったのか八九寺の目が少し虚ろになっている。
僕はもう一度キスをして舌での全身愛撫を再開した。
へそ回りや脇腹を舐めると八九寺はくすぐったそうに身を捩る。
そのまま下腹部へと向かい、閉じられた脚を開こうとすると、ぐっと力を込めて抵抗された。
顔を上げて八九寺を窺うと、唇をぎゅっと噛みながら泣きそうな顔でふるふると首を振る。
僕は閉じられた太ももに舌を這わせ、唇を付けて吸った。
幾度も八九寺の身体が跳ねた後、僕は言う。
「八九寺、脚開いて」
「…………」
「八九寺のを見せてほしいな」
もちろん力づくですることもできた。
だけど八九寺にそんなことをしたくはない。
だからもしここでも嫌がったらやめるつもりだ。
果たして八九寺はしばらく逡巡したあと、呟くように言う。
「あ、あの……笑ったり怒ったりしないでくれますか阿良々木さん?」
???
何だかよくわからないけど八九寺を安心させるために僕は笑顔で頷いた。
八九寺はゆっくりと脚を開いていく。
「…………!」
僕は息を呑んだ。
そこはすでにぐしょ濡れになっていたからだ。
「うわ……」
思わず声が出る。
それを聞いて八九寺は両手で顔を覆ってしまった。
「ご、ごめんなさい阿良々木さん! 気持ちよくっていつの間にか漏らしちゃったみたいで…………」
ちょっと声に泣きが入ってる。
しかし漏らしたって…………ああ、そうか。
ませてるとは言ってもまだ小五だもんな。
正しい性知識なんかなくても無理ないか。
なんで濡れてるのか理解できないんだろう。
ここは正しい知識を教えて安心させてやらないと。
僕は身体を起こして八九寺の頭を撫でながら言う。
「大丈夫だよ、こんなふうになるのは全然変なことじゃないんだ」
「え……そうなんですか?」
八九寺が驚いて手をどかし、僕を見る。
「ああ。そういえばお前さっき『本番』とかいう言葉使ってたな、それの意味って理解してるのか?」
「あ、はい。その……男の人のアレを女の人の穴に突っ込むことですよね?」
「…………」
間違ってないが随分直接的な説明だった。
こっちが赤面してしまう。
「古事記においてもイザナギとイザナミが行なった行為ですね。そこから様々な神様が生まれましたから」
「…………」
そ、そうなのか?
それは知らなかった。
ていうかこいつの知識はどうなってんだ?
知ってることと知らないことの差が激しすぎるぞ。
「まあとにかく」
わざとらしい咳払いをして僕は続ける。
「突っ込む、というか入れるんだけどその際に濡れていると入れやすいだろ? だから入れる前に身体を触り合ったりして入れる準備するんだ。女性は性的興奮をすると濡れてくるから」
八九寺は感心してへええ、といった表情をする。
「阿良々木さんは物知りですね。ところでそういった知識はどこから得てるんですか?」
………………。
そういえばどこでだろう?
AVとかエロ本、かなぁ?
ていうかそんなことはどうでもいい。
僕は説明を続ける。
「特に好きな人が相手だったりもしくは本人が凄いエッチだったりすると濡れやすいらしいよ」
そう言って僕は八九寺の股間に指を這わせた。
ぐちゅり、と音を立てて指に愛液が絡み付くのがわかる。
びくんと身体を震わせた八九寺の眼前にその指を持っていって見せつけた。
「こんなに濡らしてる八九寺はどっちなのかな?」
もはや雫が滴り落ちそうなほどの指を見て八九寺は目を逸らしながら叫ぶ。
「わ、私はエッチなんです! 日本一エッチな小学生ですから!」
「………………」
そんなに僕を好きだって言いたくないのかなぁ。
さっきはあんな笑顔で好きだって言ってくれたのに。
まあいいさ、エッチな八九寺さんにはいっぱい気持ちよくなってもらおう。
僕はぐいっと八九寺の脚を大きく開き、その間に顔を埋めた。
愛液溢れる源泉に唇をつけ、ちゅうっと吸う。
「あっ! ああああぁぁっ!」
びくんと八九寺の身体が跳ねる。
両足が僕の頭に絡み付けられた。
僕はそれに構わず次々と噴き出す愛液を口に含み、飲み込んでいく。
少し上に目をやると小さくぷっくりと膨らんだ豆が目に入る。
いったん源泉から口を離し、舌先でその豆をちょんと突っつく。
「んはあっ!」
八九寺が可愛い声で呻いた。
僕はチロチロと舌で舐め上げ、指を秘口に差し込む。
きゅうきゅうと指が締め付けられ、肉襞が絡み付く。
くいくいと軽くかき回すと八九寺は悲鳴のように叫んだ。
「や、やめてください阿良々木さんっ! 私ヘンです! おかしくなりそうで怖いですっ!」
じたばたと激しく暴れる。
僕は顔を上げて身体を移動し、八九寺と唇を合わせた。
八九寺の動きが止まったのを確認して離れ、安心させるように笑いかける。
「大丈夫、怖くないよ、僕に掴まって」
八九寺は僕の首に腕を回してしがみつく。
ぎゅうっと力一杯抱き締められて二人の上半身が密着する。
その隙間を縫って僕はもう片手を先程まで舌で刺激していた陰核に触れた。
今度はギリギリのところで声を堪えたらしく、身体が跳ねるだけに留まる。
それを見て僕は八九寺の耳元で囁く。
「八九寺、我慢しないで。僕の指を感じて。八九寺の可愛い声を聴かせてよ」
そう言って両手の指を動かす。
秘口をかき回し、陰核を指の腹で擦る。
「ふあっ! あっ、あっ、阿良々木さんっ! 阿良々木さんっ!」
「八九寺、八九寺、僕の可愛い八九寺」
互いに相手の名前を連呼し、八九寺はどんどん高みへと登っていく。
脚も僕の身体に絡め、だんだん声が上ずっていった。
「あっ、阿良々木さんっ、なにか、きますっ! もう、駄目です! おかしくなりますっ!」
「大丈夫、我慢しないでそれを受け入れるんだ。僕を信じて!」
「は、はいっ」
僕は指の動きを激しくした。
そして八九寺の耳に舌を這わせる。
「あっ、阿良々木さんっ、あら……らぎ、さんっ、あ、あっ…………〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
今までより一層激しく身体が反り返り、びくんびくんと大きく身体が痙攣する。
ぎゅぎゅっと秘口に差し込まれた指が締め付けられ、どぷっと愛液が溢れ出した。
もう声も出ないのか口をぱくぱくさせながら八九寺はイっていた。
しばらくしてしがみつく力がふっと弱まり、絡み付く足が離れて四肢が投げ出される。
痙攣がほぼ収まったのを確認して僕は両指を離し、八九寺をぎゅっと抱き締めた。
ここで何か気の利いた一言でも出ればかっこいいんだろうけど。
僕は何も言わずにただ八九寺を抱き締めるだけだった。
やがて、すぅ、すぅ、と規則正しい寝息が聞こえてくる。
どうやら疲れきって眠ってしまったらしい。
僕は八九寺を起こさないようにそっと離れる。
「ん…………」
机に向かっていると後ろで声がする。
どうやら八九寺が目を覚ましたらしい。
僕は参考書を閉じて振り向く。
「おはよう八九寺、よく眠れたか?」
「あれ…………私は」
しばらく考えていたが、すぐにはっとしてかあぁぁと顔を赤くした。
「あ、あの、阿良々木さん、私」
テンパる八九寺にそっと近寄って囁く。
「可愛かったよ、八九寺」
ぽんぽんと頭を軽く叩くと膨れっ面で唇を尖らす。
ぷいと横を向いて立ち上がり、リュックを背負った。
ちなみに服は僕がすでに着せている。
「私、今日は帰ります」
「ん、いつでも訪ねてきな」
また可愛がってあげるから。
僕がそう言うと八九寺は僕を突き飛ばして足早に部屋を出て行ってしまった。
ちょっとからかいすぎたかな?
とりあえずまた一歩八九寺との仲が縮まったし、今日はいい日だったな。
そんなことを考えているとドタドタと階段をかけ上がる足音が響く。
まだ家に誰もいないからいいものの。
案の定足音の主は八九寺だった。
「阿良々木さんっ! なんで私パンツ履いてないんですかっ!?」
それは僕が家宝としてしまい込んだから。
だけど当然知らぬ振りをする。
そして。
しばらくの間八九寺のパンツの行方について押し問答したのだった。