「―――――――だにゃ」  
「猫の怪異が語尾に『にゃ』をつけるなんてわかりやすいことをするわけがない!」  
「じゃあいつものご主人様の喋り方がいいのかにゃ?  
 『阿良々木くん、私を抱いて』」  
「な、なに言ってんだよ! いきなり雰囲気変わりすぎだ!」  
「それがご主人様の本心だにゃ。  
 『私を見て。  
  私のことをいつも見てほしい。  
  春休み、あんな出会い方だったけれど私は運命を感じた。  
  私は阿良々木くんのことが好き。  
  ずっと一緒にいたい。  
  だから私をもっと見て、これからもずっと隣にいてほしい』」  
「羽川がそんなことを思っているはずはないだろ!?」  
「どこまで鈍感なヤツにゃんだ?  
 吊り橋効果じゃにゃいけれど、ご主人様とお前は恐怖を、吸血鬼と対峙する恐怖を共有したにゃ。  
 普通なら死んでもおかしくはない状況、それだけで十分だにゃ。  
 人生に大きな影響を与えるほどの出来事だったんだにゃ」  
「じゃ、お願いします」  
「にゃ、にゃにを言ってるんだにゃ?」  
「いや…だから…ずっと一緒にいてください。お願いします」  
「お前バカだにゃ? お前には彼女がいるにゃ?」  
「う〜ん、じゃあ三人で仲良く?」  
「そんなことできるわけにゃい………にゃ?……ご主人様は喜んでるみたいだにゃ……」  
 
 

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