後から聞いた話によるとぼくが意識を失ってから半日が過ぎていたらしい。  
でも今のぼくにはそんなことがわかるはずもなく、ただ部屋の中で横になっている。  
見覚えのある天井に見覚えのある部屋。  
大きな屋敷の中で一番小さく、いつだったか首なしの死体が置かれていた部屋の中。  
その部屋に見合わない、高級感のあるフカフカの布団は起きたばかりのぼくをまた眠りに誘っていた。  
ぼくを眠りに誘う原因はそれだけではなかった。  
ぼくの体は柔らかくスベスベで弾力のある温かいモノに密着されている。  
心地良くいつの間にか夢の中の世界へ連れて行かれそうになるが、さっきからちょっと締め付けが強くなっている気がする。  
ぼくが動こうとしても強く絡み付いていて離そうとはしない。  
もぞもぞして今の状況から抜け出そうとしているのがバレたのか、ぼくの耳に息を吹きかけながら囁かれる。  
 
「おはよう、いっきー」  
「……おはようございます。春日井さん」  
 
ぼくの隣にいる春日井さんは裸で僕に抱きついていた。  
ぼくもなぜか裸だった。  
 
「意識も戻ったことだから続きを――」  
「続きってなんですか!」  
 
 

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