・するがローズA  
 
 
―ラビアンローズ―  
これが神原を襲った怪異の名前だろう。  
コンビニの本棚に並んでいた「水木し○るの妖怪100選」と言う本に書いてあるに  
は  
・処刑場にある植物が罪人の血を吸い、妖怪と化した  
・近寄る者の命を喰らいエネルギーとする  
・植物であるが、命を取り込んでいるので、樹液は血のように赤い  
 
…この程度であった。  
まあ、500円程度で買える本にそこまで求めるのは苦しいと言えるかもしれない。  
「おや、こんな所で立ち読みですかデュララ木さん」  
「僕を最近アニメ化が決まった池袋が舞台のアニメのタイトルみたいに呼ぶな!」  
「荒ぶる鷹のポーズ」  
「描いてる人同じだ!」  
「ちなみにクロサギさんの性格はツンヘコです」  
「僕は龍じゃなくて鬼だ!あと詐欺師は違うキャラだ!」  
そこには、コンビニでいつのまにか成人雑誌を手に取りながら、小学生と大声で  
口論する高校生がいた。  
ていうか、僕だった。  
 
毎度の社交辞令も終わったところで、また話しかける八九寺。  
「ところでアッシマー木さん」  
「僕を連邦軍の地上用可変MSみたいな名前で呼ぶな!」  
「失礼、カニが来た。」  
「…つい周りを確認しちゃったじゃないか!」  
とりあえず、僕はコンビニで本を読んでいた理由を話した。  
「…またあの私を轢きそうになった人ですか」  
「タイヤも無いのに人間を轢くのは困難だと思うぞ、八九寺。」  
「とりあえず、阿良々木さんは今とてもお困りなんですね?」  
「ああ、正直、猫の手も借りたいくらいだ」  
「では羽川さんに連絡を」  
「ちょっと待ったぁー!今回はダメだ!連絡しちゃいけない!」  
「どうしてですか?」  
「どうしてってそりゃ…あれ?なんで僕はそんな事を言ったんだろう…」  
「これは…うp主の陰謀ですね」  
「待て!それ以上言うと僕らも同じように消される!」  
 
という訳で、八九寺も着いてくる事になった。  
ちなみに八九寺だが、最近どうやら怪異に詳しい幽霊に出会ったらしく、その人  
が後から来てくれるらしい。頼もしいヤツならいいんだが―。  
 
「―という訳で神原、こいつが八九寺だ。」  
「超幼女っ!」  
「ほら八九寺、お前も挨拶―うぇえっ!」  
言うが速いか、八九寺はあっと言う間に神原の触手に絡みつかれていた。  
というか、縛り上げられていた。  
「助けて下さいカワハギさん!」  
「僕を肝臓の美味しい魚みたいな名前で呼ぶなっ!」  
「ああっ…愛しき幼女…この未成熟な肉体、それでいて一人前の大人の様に振る  
舞うそのギャップ…あぁ…蕩れだ…蕩れ死んでしまうぞ真宵ちゃん!」  
「みぎゃー!ふしゃー!もぎゃー!」  
「待ってろ八九寺!今助けてやる…うぉっ!」  
「私の至福の時は誰にも邪魔させない…それが阿良々木先輩であろうとっ!」  
息をつく間もなく、僕の体も絡みつかれ、自由を失った。  
縄抜けの達人でも、この状態から抜け出すのは至難の技だろう。  
なんせ、蔓に生えた棘がスパイクとなり、容易に離れはしない。  
そのうえ、何だかローションのような…ローション!?  
ちょっと待て!なぜ薔薇の表皮にローションが分泌されている!  
「さて、どちらからイカせてもらおうか……どーちーらーにしーよーうーかーな  
ー…」  
悪魔の指先が僕と八九寺を交互に示す。  
なんだろう、この緊張感。  
小学校で誰かが学級委員に推薦される時のような緊張感。  
まさに―  
「決めたっ!」  
「「さっきのヤツの意味は!?」」  
「メインディッシュは、最後に取っておくものだ、というわけで、よろしく頼む  
ぞ、真宵ちゃん」  
「みぎゃぁぁぁぁぁっ!」  
触手は一斉に動き出し、八九寺の未成熟な肉体を舐めまわして敏感な箇所を探す。 
 
服や下着などこの触手の前では無意味、どんどんあられもない姿にされていく。  
「やめて下さい!離して下さい!そんなことされたら私、悶え死んじゃいます!処女  
を奪われてしまいます!」  
「そうだ神原!流石にこの国の法律が…って聞いちゃいねぇ!」  
「ここか?それともこっちかな?」  
かんばる は おおいに しぎゃく の ひょうじょう を している !  
やべー、僕空気。  
ていうかこの際、空気でもいいや。  
「みぎぃぃぃ……ひうっ!」  
「おっ、ここみたいだな…ここが欲しいのだな?ほーらほら…気持ちよくなって  
きただろう?」  
「ひみぅ…あうっ……えふぉっ!?」  
駄目だ、どうしても直視しかできない。  
人としては見ないよう努力する場面の筈だが、僕の背徳心がその選択肢を意識か  
ら消しさっていく―  
「時に阿良々木先輩、淑女が乱れに乱れて恥態を晒し、絶頂に達するのをまじま  
じと見つめるのは、かなり高いレベルの変態だと思うぞ」  
「しまった!自分の欲求に負けてしまった!てか敗北万歳!脱北万歳!ようこそ変態!  
」  
「見ないで下さいアカギさん!」  
「イヤだ!見させろ…っ!八九寺の全てを僕に『も』さらけ出せ!あと僕は13歳で麻  
雀を始める雨男ほど黒くない!」  
「助けて下さい!葛城さんまで視姦してきます!」  
「神原はいいのか!そして僕は八九寺や神原を『逃げちゃダメだ…逃げちゃダメだ!  
』と言わせるほど出来た人間じゃない!」  
「失礼、変態として過大評価しすぎました」  
「そんなに評価されてたのかよ僕は!」  
「ええ、モロチン」  
「製作所ネタで遊ぶなっ!」  
「とにかく見ないで下さい!」  
「僕は拒否権を発動するっ!」  
「―どうやら、デリケートな乙女心がわからない阿良々木先輩にはお仕置きが必  
要なようだな」  
「お仕置きって神原!?何もそれくらいで…ぐあぅ!」  
さっきまでの十数倍もの力で絞め上げられ、僕の体は激痛に見舞われた。  
ヤバい。  
痛いのになぜか気持ちいい。  
もしかしたらこの体液…いや、ローションのせいか?  
まさか眠れるドMの血が覚せ―  
「そして性戯中は『お口はチャック』が鉄則だぞ?阿良々木先輩。」  
「あぐがっ!ぐごー!ががげがんがる!」  
今度は口を塞がれた。  
というか神原。その標語、お前は幼稚園の先生か。  
まあ今している事とは最も遠い職業といえるのだが。  
僕としては、その他にも口の中に溜まった反論の有象無象を吐き出したかったの  
だが、それはもはや何の意味もないと悟り、沈黙を選んだ。  
 
「…では、阿良々木先輩も大人しくなったところで、そろそろ始めようか、真宵  
ちゃん。」  
「まだ始まってなかったんですかー!ひうっ!」  
「はっはっは、私立直江津高校2年、『歩く有害図書』こと神原駿河。この程度の  
人間と見くびってもらっては困るな」  
「有害図書ならチリ紙屋さんに出されちゃって下さい!迅速に再資源化されて下さ  
い!」  
「はっはっは、いいぞ、その強気な姿勢。だがそれがいつまで続くかな…そーれ  
それ…」  
神原はその蔓…いや、もはや触手と言っていいだろう、その触手で八九寺の未発  
達な乳房を愛撫し、鋭敏な先端に刺激を与えている。  
強すぎず、かつ弱すぎず。  
表面の棘がその快楽をさらに助長する。  
「そ…そこは駄目ですっ!気持ちよくなってしまいま…えぅ!」  
「おっ?やはりココは気持ちいいか。年齢に関わらず、人間の性感部位は同じな  
のだな。ということは、経験からきっとココも…そぅれ!」  
神原の触手は、八九寺の未成熟な乳房の先端を愛撫しつづける。  
その動きは蝶が遊ぶのように、かつ小犬が舐めまわすかのように―  
「あうぇ…うまぅ…うみっ!?」  
「そう、そのまま快楽に身を任せるのだ、そうして意識は悦楽の底深くへと…」  
「うぁう…んんっ…えへぇ…」  
八九寺の口元が、快楽に汚され歪んでいく―  
ダメだ、直視している自分に罪悪感を感じれない。  
もし今僕が凶悪性犯罪者の弁護に回ったら、陪審員を満場一致で「無罪」判決に  
引き込む事さえ朝飯前だろう。  
よく見れば、八九寺の秘部は触手に弄られ、既に愛の蜜が滴っている。  
そんな事を延々とされて、よほど気持ちいいのを我慢してるのだろうか、必死に  
食い縛っている口の端からは唾液が垂れ、目には涙が浮かんでいる。  
「そーれ、少し早いががそろそろ仕上げだっ!」  
触手の魔の手はとうとう八九寺の締まった秘部へと迫る―  
そういえば八九寺、全く生えてないな。  
「ひみぃ!いっ!いぅあ―――――っあ !」  
八九寺がその幼い身体を身悶えさせ、必死に逃げようとする。  
しかし神原選手、余裕の表情!  
むしろ笑みすら浮かべている!  
「愛の泉は…ここかなぁ?」  
と言って、より深い所に触手を這わせていく!  
「もがっ!もぎゅ!もめぇ―――!」  
そして  
 
「―――――――――――――――っ!!」  
 
八九寺が、絶頂に達した。  
秘める所から愛液をほとばしらせる。  
もう理性など何の意味も持たない。  
神原の思いのままに、弄られ、愛撫され、弄ばれ。  
そして、八九寺は神原の「玩具」と化した―  
 
 
しばらくして、神原も少し疲れたのか、触手が動きを弱めた。  
「―神原、もうそろそろ離してやれよ」  
「―うむ、そうとも思ったのだが、私はまだ欲求不満なのだ」  
「あれだけやっておいて!?お前の性欲はブラックホールか!」  
「いや違うぞ阿良々木先輩。あれだけ幼女の身悶える姿を見れば当分性的欲求不  
満になる事はない。」  
「当分か―で、どのくらいの期間だ?」  
「3―4時間だ」  
「短かっ!どこが『当分』だよ!」  
「まあ待て阿良々木先輩。今私が満たした、と言ったのは『性欲』だけだぞ?」  
「―まさかお前、八九寺を―」  
―食べる―そんな言葉が脳裏に浮かんだ。  
たしかにコンビニの本にはそんな事が書いてあった、しかし、『人の命を奪う』  
ということが簡単にできるものだろうか?  
体力面では、神原なら不可能ではない。まして怪異の力をつかえばなおさらだ。  
問題は  
―精神力―  
今の神原は仮にも正気を保っている(と思われる)。  
そんなただの人間の心の神原が、人の命を奪うならまだしも、それを糧とするな  
んて―  
第一、八九寺―彼女は幽霊だから、既に死んでいる。  
命無き者から命を奪うことなんてできるのか?あまつさえ、生きる糧とするなん  
て―  
「性的な意味で『食べる』つもりだ。」  
「そっちの『食欲』かよっ!ていうか、性欲とどう違う!」  
「うむ、誤解を避ける為には、『吸う』『戴く』と言った方がいいのだろうか、  
阿良々木先輩。」  
「吸うって―まさか!」  
「そう、その言葉通りだ」  
 
八九寺を捕えていた触手が動き出し、小さな身体を神原の前に運ぶ。  
そして、秘部を口に近づける為に少し前のめりになる。  
「高校生もいいが、やはり幼女も捨てがたいな―では、いただきますっ!」  
「―――へうっ!」  
神原が、その舌先で八九寺の秘部を刺激する。  
意識が朦朧としていた八九寺だったが、新たな快楽にその身をよじらせる。  
「一滴も残さず舐めとるから、安心していいぞ。ほら、力を抜いて」  
―ぬちゅっ、れちゃっ、じゅるっ―  
神原は秘部の奥深くまで刺激し、流れでる愛液を受け止めていく。  
「あうぅ…」  
トロリ、トロリ。  
八九寺の愛液は、留まる気配を一向に見せない。  
「おっと、後ろにまで垂れているじゃないか、危うく見落とす所だったぞ」  
「らめっ!うひろ…ひいぃん」  
その舌は八九寺の割れ目に沿って、ゆっくりと―しかし一滴も漏らさず愛液を包  
み込んでゆく。  
―れろっ、べろっ、じゅるっ―  
神原が愛液を取り入れる度に、八九寺の声はは弱々しく―弱々しく?  
あれ――どうして八九寺は弱っているのか?  
よく見れば顔が真っ青に―  
 
「あか…まつさん……まよいは……くはっ」  
「―おい八九寺?どうした八九寺!?聞こえてるか?あと僕は富樫病には罹患してないっ!」  
へんじがない、まるでしかばねのようだ。  
「八九寺!しっかりしろ八九寺!まさか神原!お前―」  
「―大丈夫、気を失っているだけだ」  
「本当か!?なら八九寺は無事なんだな?」  
「ああ、その通りだ。何も心配することはないぞ、阿良々木先輩」  
「―良かった―」  
八九寺が無事なら、当面心配することは無い。  
僕はほっとして胸を撫で下ろす。  
「時にロリコンの阿良々木先輩、真宵ちゃんの事を心配するのはわかるが、私の  
事は心配してくれないのか?」  
すみません、歯牙にもかけていませんでした。  
「…その顔は図星のようだな、阿良々木先輩」  
「全然そんな事ありませんそれどころか寧ろ一番心配していました本当です信じ  
て下さいお願いします」  
「本当か!その事は本当なのだな阿良々木先輩!」  
僕も罪な人間だ―そう思ってしまっても仕方がないだろう―  
「ああお前の心配を1番に考えてたさ」  
「ありがとう!ありがとうだ阿良々木先輩!私は今阿良々木の私に対する深い愛に  
猛烈に感動している!この感動をそのまま肉体で伝えさせてくれ!」  
「なんでそうなる!」  
「―と思ったのだが、既にお腹一杯だ。またお腹が空いた時に疼くこの思いを伝  
えよう」  
「って事は何だ!僕は神原の腹が減るまでこのままか!?おい教えろ神原!って寝る  
なぁぁぁぁぁ!」  
おそらく、三大欲求のうち、3つ目の「睡眠欲」でも満たそうとしてるのだろう。  
それにしても、幸せそうな寝顔をして眠るんだな、神原。  
今まで見た中で、最も好きになれる表情かもしれない。  
やべぇ、神原可愛い。  
「阿良々木先輩…早く…挿れて…むにゃむにゃ」  
寝言で何かか言ってるけど、それも含めてこの上ないくらいに―  
「―やれやれ、やはり遅すぎましたか―」  
 
部屋の縁側に、人が立っていた。  
 
 

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