・するがローズD  
 
 
「二期もアルよ」  
「嘘だっ!第一どこでそんな噂を仕入れてきた!」  
「過保護者会ダヨ」  
「また作品が違う!ていうか神原!どうして片言で喋る!」  
「前巻までのあらすじ―」  
「やめろ戦場ヶ原!これ以上は読者の混乱を招く!」  
「「えーつまんなーい」」  
「声を揃えて言ってもダメだ!」  
さすがヴァルハラコンビ、アポ無しでも息ぴったり、歪みねぇほどズレがない。  
「でも、ブラの位置はズレてたりして」  
「身体にあったものを選べよ!」  
羽川ほどでもない限り、身体のサイズに合った物が見つかるはずだが。  
いや、それにしてもやはり羽川のおっぱいおっぱいおっぱいぱい―  
「阿良々木くん、阿良々木くん、頭の中が羽川さんのエロいおっぱい姿で一杯の  
変態紳士マララギくん」  
「なぜわかる!またテレパシーか!?第一そんな奇妙な名前で僕を呼ぶな!」  
「あら、本当に羽川さんのおっぱいのことを考えていたのね、正直に言うなんて  
、びっくりしちゃうわ」  
「しまった!鎌かけられた!」  
「阿良々木先輩、今まさに女性と行為に及ぼうとしているのに他の女のことを思  
うのは流石に失礼極まりないと思うぞ」  
「いいのよ神原、阿良々木くんは『男の子』だから―」  
「そうだな、確かに阿良々木先輩は『男の子』だからな―」  
「ちょちょちょっと待てお前ら!納得したのならどうして僕にホチキスを向けたり  
左手に指サックを握ったりする!」  
なんだか、ホラー映画でいう独りはぐれたキャラの末路がだんだん被ってきた気  
が―  
「「ちっ」」  
「なんか舌打ちされた!」  
「まあいいわ、とりあえす、阿良々木くんは私の下着のずれを透視してむしゃぶ  
りつきたくなるようなエロい姿をうぇっへっへっと妄想していたのね」  
「流石は阿良々木先輩、女子の下着姿を透視し妄想にふけることなど造作もない  
のだな、いやあ恐れ多い、私にもその術を伝授してくれ。なあにタダでとは言わ  
ない、よければこの身体で」  
「僕はそんな特殊技能は持ち合わせていない!そして神原はどさくさに紛れて僕に  
痴態を働こうとするな!」  
そしてまだあったのか、「うぇっへっへっ」の笑い声。  
確かあの時は腰の話だった気が―  
「あらいやだ、阿良々木くんが懲りずにまた視姦を」  
「ああ…もっといやらしい視線で舐め回してくれ阿良々木先輩。どんどん気持ち  
よくなってしまうではないか―」  
「してねえよ!もう帰れお前ら!」  
 
以上、雑談終わり。  
「へえ…意外なものね」  
「確かに…期待を裏切るとはこのことのようだな」  
「なんだか悪い方向にしか聞こえねぇ!」  
それもそのはず、戦場ヶ原と神原は、ズボンを下げられその姿をあらわにした僕  
の股間のピストルを見てそんなことを言うのだから、男としての機能を否定され  
た気にしかならない―  
「まあ、ここまでしたわけだし、気持ち良く体積を測ってあげましょう。神原、  
準備はいい?」  
「もちろんだ戦場ヶ原先輩。して、どのようなマニアックなプレイをご所望なの  
だ?」  
「それは……そうね、阿良々木くんに聞いてみましょう。ねえ阿良々木くん」  
「そこで話を振るなよ!てかなんで僕が答えなきゃいけないんだ!」  
「 縊 殺 と 刺 殺 、 ど ち ら が 嫌 い か し ら ? 」  
「また嫌いなほうしか選べないのかよ!」  
有無を言わさぬ表情(ハサミ&ホチキス、通称:双剣『キールハサメール』装備済)  
。  
しかもその後ろから神原の双眼が毒々しく光る!  
蟲く触手!迫るホチキスの刃!  
さて絶体絶命劫殺の危機!どうする阿良々木暦!  
「……せい…ふく」  
「「えーなーに聞こえなーい」」  
「僕のなけなしのプライドを潰して捻り出した言葉が棒読みで否定されたっ!?」  
「大声じゃないと、聞こえないわよね、ねえ神原?」  
「うむその通りだ戦場ヶ原先輩。私も最近阿良々木先輩を見ると急に耳が遠く」  
「わかりました!制服がいいです!制服姿で僕を気持ちよくして下さい!」  
「あら、ちゃんと言えるじゃない。でも、誠意が足りないわね」  
「じゃあ何て言えばいいんだよ!」  
「恐れ多くも戦場ヶ原ひたぎ様この下僕犬である私をその麗しき制服姿で見下し  
、嫐り、弄び下さいお願いします」  
「私は!私のターンは!?」  
「うるせぇよ神原!あーもー!  
恐れ多くも戦場ヶ原ひたぎ様!この下僕犬である私阿良々木暦をその麗しき制服姿  
で見下し嫐りちゃっちゃっと弄んじゃって下さいお願いします!」  
「よく言えたわねらぎ子ちゃん、ひたぎお姉さんが褒めてつかわしてあげる」  
「なんだかうれしくねぇ!そして何でそのあだ名をお前が知っている!」  
「それはもう、神原から根掘り葉掘り」  
「全内容筒抜けだった!」  
「いやだなあ阿良々木先輩、昼間から掘るとわざわざ連呼しなくともいつだって  
」  
「僕は一度も言ってねえしやってねえよ!第一そっちの方向に持ってくんじゃない!  
」  
 
「じゃあ神原にもご褒美をあげないといけないかしら。神原、今から三分間、阿  
良々木くんに好きな台詞を言わせていいわ」  
「ご褒美って何のだよ!」  
「わーい!戦場ヶ原先輩のご褒美ー!」  
喜びのバーストストリーム状態の神原。  
感情の起伏に合わせて蔓の触手も動くようだ―  
「おい神原!どさくさに紛れて僕の身体に一層触手を巻き付け―もごっ!?」  
神原の触手が僕の口に猿轡を噛ませる。  
「さてどんなことを言ってもらおうか阿良々木先輩、BL小説の暗唱にらぎ子ち  
ゃん妄想の具現化に…」  
「もがー!ぐがー!」  
意訳:方向性がいささか間違ってる!  
なんだか台詞だけでは済まない気が―  
「決めたっ!」  
「あら、素晴らしい台詞じゃない。流石私の後輩なだけのことはあるわね」  
「ぐももまー!」  
意訳A:何で言う前からわかるんだよお前ら!  
「いやあそれほどでも、ではいくぞ阿良々木先輩」  
と言って、僕の口の猿轡が外され、神原の目の前に引き出された。  
「ではモミアゲをさすりながらこう答えてくれ。『神原、お前の全てを盗ませろ  
』」  
「心だけじゃないっ!?ていうか自慢できるほどモミアゲはないっ!」  
あと別にV世でもない。  
「はーい阿良々木くん、残り1分で復唱要求。神原の為に頑張れー」  
「ここは六軒島かよ!?そして何を頑張るんだよ僕は!」  
「神原なだけに」  
「どこもウマくねぇよ!」  
なんだか神原の口元に不敵な笑みが浮かんだ気がするが、もう気にしていたら時  
間がない。  
「神原、僕にお前の全てを―」  
 
「 ― 承 知 し た ― 」  
 
神原の唇が、僕のそれと重なる。  
 
「んんっ!?」  
しかも舌入れ。  
何だこの状況はまるで僕がギャルゲー原作アニメの第2〜3話あたりの主人公みた  
いじゃないかいやそもそも神原のようなキャラは本来キスより先に交差点でぶつ  
かってラッキースケベからルート入り可能となるわけで断じてこのような爛れた  
エンドを辿るべきでは――  
 
ダメだ、考えれない。  
こんなことを思っている間にも、神原は手慣れた舌つきで僕の口腔内を舐め回し  
、絡ませてくる。  
僕はこういうことは勝手がわからない、為すがまま、されるがままだ。  
ああ、僕の口腔がどんどん神原に犯され、毒され、汚染されて―  
「神原!ねえ神原!?何をしているの神原!」  
「ひゃい!?」  
いきなり声を荒げる戦場ヶ原、その顔には、焦燥と怒りのの色が見てとれる。  
僕とキスの最中に呼ばれた神原も、慌てて身体を離したからか、舌が全然回って  
いない。  
「神原、誰が唇まで奪っていいと言ったかしら」  
「しょ…しょれは…」  
しどろもどろに言葉を濁す神原。  
やべぇ、真っ赤にした顔がかわいすぎる。  
「 そ れ は ? 」  
かたや射殺せんばかりの目で神原を睨み付ける戦場ヶ原。  
なんだかこのまま「目からビーム!」とか出されても納得してしまいそう…。  
「…阿良々木先輩が欲しかったから…」  
なんだか神原らしくない純粋な理由。  
「 そ れ と ? 」  
その理由に違和感を感じたのか、さらに問い詰める戦場ヶ原。  
確かに、いつもの神原なら「阿良々木先輩のスウィートスポットを探していた」  
のような紳士も裸足で逃げ出すような理由が飛んでくる筈―  
 
そう思ったのは、僕だけでなく、戦場ヶ原もだった。  
いや、世界中の誰もがそう思ったかもしれない。  
人間、予想外のことが起きると何の行動もとれないのが本来の姿だという。  
だからこそ、その神原の言葉に僕も戦場ヶ原ひたぎも対応出来なかったのかもし  
れない―  
 
「―戦場ヶ原先輩が、うらやましかったのだ―」  
 
場を支配する沈黙、色を失う空気。  
夏の風鈴の音だけが聞こえる、そんな三人だけの壊れた世界―  
 
「―ふふっ、ふふふっ、うふははははははあはははあははあはははははははは―  
」  
 
関を切ったかのように笑いだす戦場ヶ原。  
その笑いはまるで悪魔が堕落して美味そうな人間を見つけた時のような―  
「あ゛ーっはっはっはっは、あ゛あっばっばあ゛ばば――あ゛れ?おがしいわ゛  
ね、どこがに舌でも゛」  
「作品が違う!どうして直江津まで来て魔法少女にならないといけないんだ!」  
第一、僕は小5にして世の中を達観視できる人間にはなりたくない。  
それに真っ赤な服、お前にはあまり似合わなそうだしな…。  
「私にやらしくしてくれないのが、阿良々木くんなの」  
「わかりにくい倒置法を使うなっ!」  
ていうか、やらしくしないといけないのかよ!  
「時は2004年、まだ原作者が『京都の20才(永遠の)』と呼ばれていた時代―」  
「『(永遠の)』の所に言い知れない悪意の塊を感じる!」  
「あら、こんなので『感じちゃう』なんて、阿良々木くんはどれだけ早漏敏感サ  
ラリーマンなのかしら」  
「またその作品かよ!」  
だから魔法の呪文で蘇生は出来な(以下ry)  
 
「―それにしても神原、私が『うらやましい』なんて、大層気持ちのいいことを  
言ってくれるじゃない」  
「いやあ…それほどでも」  
「確かに目の前で阿良々木くんが羽川さんのおっぱいを揉みしだいていたら、私  
でなくとも恨めしく思っちゃうわ」  
「勝手に恨めしく思うな!」  
「まあ、阿良々木くんが超弩級のヘタレであるかぎりこんなのは杞憂と言えるん  
だけど」  
「なんだか凄く低く見られてる!」  
第一、お前が僕の彼女である限り、そんなことはしたくても出来そうにない。  
「ねえ阿良々木くん、今私と『したい』って思ったでしょ」  
「何をだよ!」  
再びテレパシー能力発動!  
「大外刈り」  
「投げ技かよ!」  
ちなみに、僕は柔道はやったことはないが、でっかい妹に何度かかけられ気絶し  
た事があるので少しは把握している。  
目覚めた時火憐ちゃんが顔を真っ赤にしていただけで、命に別状はなかった。  
けど、あの時のことを聞こうとするとなぜいつも顔を真っ赤にしてM.50で駆け抜  
けるのか不思議で不思議で―  
「それはそうと、いくらこの状況を打開したいからといって、話を逸らしすぎよ  
阿良々木くん」  
「いつの間に僕のせいにされてる!」  
確かに脳内では大いに脱線していたが。  
 
「本題に戻るわよ。神原、私に対してそんなことを思った罰を与えます」  
「やった!戦場ヶ原先輩の罰!」  
「やっぱり喜んだ!」  
「いや、この場合、『悦んだ』という表現の方が適切ではないかしら阿良々木く  
ん」  
「なんか方向性が間違ってる!」  
というか、罰って何なんだよ。  
「罰として、神原には阿良々木くんの口腔を与えます。持てる限りのテクニック  
で阿良々木くんを快楽の奥底へと引きずりこんであげなさい」  
「なんか罰じゃねえ!」  
さっきと状況が全く変わらないという悲しい現実。  
「了解したぞ戦場ヶ原先輩。だがしかし、それでは戦場ヶ原先輩はどうするのだ  
?私に先に口を与えて後からというわけにもいかないであろうし…」  
確かに神原の言う通りだ。  
これでは、戦場ヶ原が一方的に僕を神原にプレゼントしているだけに過ぎない。  
何かウラでもない限り――ウラ?  
僕を神原に与えることで生まれる利益?そんなもの―  
「私は大丈夫よ。むしろ神原が可哀相なくらいだわ」  
「…どういう意味だ、それは。」  
言い知れようの無い不安。  
「今にわかるから」  
何かを企んでいるとしか思えないその言葉。  
そして戦場ヶ原は身体を僕の腰の高さにし―  
 
「―代わりに、阿良々木くんのモノは私だけ―」  
 
と言って、ズボンを下げられ剥き出しになった僕のモノに舌を這わせ――。  
 
 

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