・するがローズE
すべては夢だと思いたい。
いやそれは夢でないからそう思えるのであるのだから本来夢であるなら夢を夢と
して意識してみることなどできるはずもなくてそれを前提として現と夢は区別さ
れるべきであって断じてそれが実現されるべきでは―
そこには、上の口をかわいい後輩に汚され、18年間育ててきた男のピストルを彼
女に咥えられる童貞力満載の男子高校生の姿があった。
ていうか、僕だった。
「上から神原が刺激して、下の私が受け止める、まさにコンビネーションプレイ
だと言えるわね」
「またプレイにつけてうまいこと言おうとしてる!」
「阿良々木くん、ひたぎさんに座布団一枚」
「この状態でどうやって持ってくるんだよ!」
ていうか自分で座布団頼むなよ!
状況を整理しよう。
今、僕は神原の部屋で手足を蔓で縛られズボンを下げられ屹立した中華キャノン
を剥き出しにし上から神原に大人のキスをされ、下から戦場ヶ原にシャッツオを
咥えられている。
「ちなみにカベシャッツオというのも存在するぞ阿良々木先輩」
「…もう何読まれても驚けねぇよ…」
僕にも欲しい、テレパシー。
「ではそんなところで、神原、上から始めなさい。私は様子を見て下から加勢す
るから」
「承知!阿良々木先輩のバベルの塔が建造できるよう精一杯努力させていただくぞ
戦場ヶ原先輩!」
「僕の家はよろず屋じゃない!」
いや、妹二人なら、そういうことをしてなくもないが…。
というかあいつら、本職は何なんだよ。
「―では、始めるぞ―」
刹那、二人の唇が重なり合う。
神原は口の中でも僕を激しく求めてくる。
僕も出来る限りそれに答えようと、舌を神原に絡ませる。
「んんっ…んっ…!」
神原の舌が口腔の中を縦横無尽に駆け巡る。
それを拙いながらも必死で追いかける僕。
まさに協奏曲、追いかけるフーガ。
二人の口内にオーケストラの音色が響き渡る―
いつしか、口腔内では僕と神原のコンサートが始まって―
「見れば見るほどイライラとしてくるものね、人に自分の所有物を目の前でいい
ようにされるというのは」
僕は所有物扱いかよ!
―と言いたかったが、口は神原にふさがれていた。
「私もこのイライラと性欲を解消したいから、そろそろ始めます」
イライラと性欲を同列に並べちゃった!
「いや違うわね、始めさせて…くれませんか…始めてあげても…いいのよ…始め
て…みましょう」
また語尾で悩んでる!
「―ではいくわよ、阿良々木くん」
既に神原の上での攻勢によって屹立していた僕のソレ、その先端に戦場ヶ原が舌
を這わす。
その舌づかいと刺激は何とも繊細で、彼女らしさに満ち溢れていた。
こんな所でも戦場ヶ原らしさを感じるなんて――ああ、これがよく言う『感じる
』ってヤツなのか。
だとしたら、それはとても的を射た表現だと僕は感じる。
ここまで性を突き詰めてしまえば、火憐ちゃんが歯磨きで絶頂に達した理由がわ
かる気が―。
―じゅるっ、ぺるっ、ろじゅっ―
そんなことを考えている間にも、上でも下でも僕を快楽の海にに沈める工程はつ
つがなく行われていた。
沈むは快楽、浮かぶも快楽。
同じ楽なら沈まにゃ損。
「結構時間がたった気がするけど―まだ本格的には来ないわね阿良々木くん」
―いや、実は結構限界近いです、はい。
理性のジークフリート線が力強い粘りを見せてくれているだけで、各所で前線に
綻びが出ています、はい。
「上は大丈夫そうだから―そうね、下をもっと過激にしましょう」
と言って戦場ヶ原が僕のモノをその口に咥える。
―ヤバい、超過激。過激派襲来。
僕の股間の安田講堂がお祭り状態にっ!
嗚呼っ!学生運動!
―じゅる、ずずっ、れろっ―
戦場ヶ原が僕の先にちろちろと舌を這わす。
先だけでは我慢出来なくなったようで、あの手この手を使い僕の発射を早めよう
とする。
いつだったか言ってた、加速装置を使うかのように。
「たしか…ココを刺激すれば早くなるのよね?神原」
「ひゃい?らりかり、ろろをしへきるれりゃ…」
「いいのよ神原。わざわざ阿良々木くんと気持ち良くなる過程を止めてまで私の
言葉に答えなくとも」
「…ひゃい」
再び黙り込み、口に専念する神原。
上のコンサートホールは、再び演奏を始めると―
―とかゆっくりモノローグ語ってる場合じゃねえ!
もう!もう下が気持ち良くて気持ち良くて!
理性が!理性がフライングダッチマンで!
我慢しろ僕!我慢だ我慢だガマン汁!
こんなところで出すわけには―
「阿良々木くん、もしかして『出す』ことを恥ずかしく思ってない?」
「!」
僕の表情が歪んだのを知ってか知らずか、さらに言葉を続ける戦場ヶ原。
「私も神原も、『阿良々木くんの貞操を奪う』という行為に及んでいるこの時点
に至るまでに沢山の羞恥心の壁を越えてきたのよ。それに対して、自分を少しも
さらけ出さずにひたすら自己防衛に走るような弱虫な人を相手にしていたらどう
思うかしら?」
それは―確かに、至極筋の通った話かもしれない。
「第一、私はヘタレな阿良々木くんを好きになったのであって、卑怯でズルい阿
良々木くんなんて告白しようとも思わないわ。いや、むしろ視界に入れたくもな
いくらい」
そこまで差があるのかよ!
ていうかその藤木くん状態はヘタレと何か差があるのか!?
もういい!我慢の限界だ!それならお前の口腔内に溢れるくらい出して―
「それを待ってたのよ、私は。神原!」
「ひょうひ!」
その刹那、神原の蔓が僕の下半身(主にザ・タワー)に絡みつく!
「うあっ!」
神原の蔓がそのグリップ力を最大限に活用し、僕のモノを上下に振動させる!
棘の有効活用法を見出だしてる!
「そうよ神原、もっと激しくしていいわ。あとそろそろ唇を離してもいいのよ」
「ひゃい…戦場ヶ原先輩」
やっとまともな呼吸が出来たからか、それともこのシチュに興奮しているからか
、神原は全身を火照らせ、肩で息をしていた。
その間にも、僕の股間は激しく揺さぶられ、秒読み段階に突入。
「やめろお前ら!このままだと―」
「 出 る ん で し ょ う ? 」
「えっ…まあ…そうだけ…はうあっ!?」
神原の蔓が僕の棒を突然締め付ける。
「いいのよ阿良々木くん、出そうになったら、こうやって、焦らして焦らして爆
発直前まで貯めさせてあげるわ」
「ちょっと!そんな事―痛っ!」
「おや、少し締め付けが強すぎたようだな。しかし、出させないためにはこれく
らいの力が」
「やめろ!千切れる!18年間絶えず苦楽を共にしてきた相棒が悲鳴をあげてる!」
由緒ある阿良々木家の家名断絶が秒読み段階に!
「『棒』つながりなんて、阿良々木くんもうまいことを言うのね、神原、発射1回
。」
「座布団じゃないっ!?」
「承知したが戦場ヶ原先輩、流石に仮にも男の子であるらぎ子ちゃんに空射ちさ
せるのはなんというか…」
「心配しなくていいのよ、神原。全て口で受け止めるから」
―衝撃の発言。
あの生コンのような貞操観念はどこへ消えた。
お父さん、あなたの娘ひたぎは今まさに彼氏に無理矢理フェラして出させて飲み
干すという下手な性行為よりもよっぽどエロティシズムに溢れる行為をしようと
しています―。
「私は!私の分の阿良々木先輩は!?」
「突っ込むのはソコかよ!」
「え、阿良々木くんがアソコに突っ込みたいって?」
「大いに聞き違いだよ!」
てか、そもそもこの全身捕縛状態じゃ無理だから!
「それはまだ駄目ね。私の心の準備ができていないから」
生コン貞操観念、復活。
お父さん、あなたの娘ひたぎは『ある程度』立派に育ちました―。
「もし今そんなことをしたら――私が、阿良々木くんを嫌いになってしまうかもし
れない。それは私が一番恐れていることだから、まだ駄目としか言えない―」
その通りだ。
戦場ヶ原にとって、母親に関する出来事は未だ心の多くを占める。
それこそ、体重の9割を奪われる程に。
そんな彼女の心に、僕は干渉することはできないし、する資格もない。
もし無理にでも干渉しようとするなら、それはより一層彼女を傷つける事になる
し、それは傲慢というものだ。
だから、これは彼女の中での自己解決を待つしかない、それが何年かかろうとも
待ち続けて―。
それが、「人を愛する」ことの業なのだと僕は思う。
「―それに、『おあずけ』を受けている阿良々木くんの顔、とても虐め潰し甲斐
があるから」
「なんかしみじみモノローグ語って損した!」
そもそも何なんだよ、「虐め潰す」って。
「じゃあ行くわよ、阿良々木くん、それと神原」
「…わかった」
「承知した」
再び、神原の蔓が激しく上下に動き出した。
そのテクニックはまさに甘言褒舌、動きだけで神原を感じられるほどだった。
揺さぶるような激しさと、相反する快楽の融合。
それでいて寸分のスキもない、快楽に満ち溢れた動作。
気を抜いたら、それだけでイッてしまいそうで―
「あむっ」
戦場ヶ原が再び先端を咥える。
器用に舌で刺激され、僕のアソコはギンギンにそそり立っている。
こちらは普段の暴言毒舌とは反対、甘く繊細な動きが伝わってくる。
どこまでも甘い旋律と、どこまでも激しい伴奏。調べはまさに協奏曲のよう。
そんなWコンボの中で、童貞である僕が長く堪えれるわけがない。
頭は沸騰、欲望は迷走、股間は暴走の三拍子。
まさに、僕の青春のリビドーを具現化したものが発射されようとしていた。
「―戦場ヶ原っ!そろ―そろっ!」
もうっ―溢れ出して―しまうっ―
「はーいいらっしゃい阿良々木くん。私 の 中 に 。」
「あっ―あっ――アアッ―――――――――っ!」
射精した。
戦場ヶ原の口内に射精した。
自分でも一回にしては信じられない位の量に驚く。
本で読んだ「一升の精液」というのも、あながち嘘ではないのかもしれない。
僕の白濁の液体は、戦場ヶ原の口から溢れ出しただけでは飽き足らず、顔や鎖骨
、服に畳まで汚していって―
「げふっ―!がふっ!ごふっ――」
「せっ…戦場ヶ原ッ…大丈夫か?」
大量の液体を一度に浴び、狼狽の表情を隠せない戦場ヶ原。
口元からは、白い液体が溢れ出していた。
「んっ…んんっ…」
僕から離れ、口に精液を含んだままおもむろに立ち上がる戦場ヶ原。
呼吸に合わせ、精液が泡を作る。
「おい戦場ヶ原、そろそろ飲むか吐くかしないと息が―」
続かない。
言おうと思ったが、その必要はなかった。
それは僕の視野が狭くなっていたのかもしれない。
だが、ここにいる人物が僕と戦場ヶ原だけでないことを考えれば、その行動にも
誰しも納得がいっただろう。
それほどまでに、この時の僕の脳内は沸騰していたのだろうか。
「―かん…ばるっ……あららぎ…くんのっ…!!」
「はいっ…!」
戦場ヶ原と神原は、キスをした。