~神原駿河ちゃんに競泳水着を着せてみたよ~  
ということで、スレンダーなスポーツ少女に競泳水着を着せてみたいという、突如として沸き起こった激しい欲求に  
居ても立ってもいられなくなった僕は、おもむろに携帯を開くと、キーを操作するのももどかしく、アドレス帳から  
エロくて可愛い後輩の番号を選択して、通話ボタンを押した。  
「神原駿河だ」  
「…」  
「神原駿河。得意技はヴァルハララブラブ天驚拳だ」  
「…は?」  
「ちなみにこの必殺技は、わたしと戦場ヶ原先輩、通称ヴァルハラコンビのお互いを想う気持ちが、ゲージ振り切り  
マックス状態の超バカップルモードにならないと発動しない」  
「見たくねぇよそんなもん! つーか、勝手に僕の彼女を必殺技の発動条件に巻き込んでんじゃねぇよ!」  
「おや、その声と突っ込みは阿良々木先輩か」  
「とりあえず、その『アニメ至上最も恥ずかしい必殺技』みたいな技の名前は置いといて… 相手が誰か確認しないままで、  
脳汁全開のあやしい妄想を延々と垂れ流してんじゃねぇ!」  
「む、そうか。…では、シャイニングスパッツカーニバルという名前ならどうだろう?」  
「いやだからそうじゃなくて… その、スパッツ穿いたジャック・ニコルソンが扉の向こうから『オコンニチハ』って  
言ってきそうな技の名前もこの際置いといてだな… ちょっといいか神原?」  
「阿良々木先輩の呼びかけとあらば、この神原駿河、たとえ地球の反対側にいようとも、いざキャバクラ、すぐにでも  
駆けつける所存だ」  
「キャバクラに駆けつけんのかよ… お前はどこのサラリーマンだ」  
「いい国作ろうキャバクラ幕府」  
「なぜキャバクラ…」  
「阿良々木先輩はキャバクラは嫌いか?」  
「…なんの話してたんだっけ?」  
「だから、阿良々木先輩がキャバクラを好きなのか嫌いなのか、という話だ」  
「全然そんな話してねぇよ! エロトークの相手はお前ひとりでじゅうぶんだよ! わざわざキャバクラ行く必要ねぇよ!」  
 
「じゃあ、セクキャバ」  
「さらに過激になったーッ」  
「いつでもおさわりOK」  
「なんと」  
「キスするのもおっぱい揉むのも舐めまくるのもOK」  
「ハァハァ…」  
「下あり、挿入は指一本まで」  
「ハァハァハァハァ…」  
「ところで阿良々木先輩、わたしに何か用なのか? わたしとしては、このまま先輩と延々とエロトークを続けていても  
一向に構わないのだが」  
なんの用事で電話したのか、すっかり忘れていた。  
「…ふぅ、頭ン中がピンク一色になって、危うく昇天しちまうところだったぜ…。なぁ神原、ちょいっとばかし、わけありな  
相談なんだが、かまわないだろうか」  
「『LO』の最新刊、買ってこいとか?」  
「自分で買うのが恥ずかしいからって、後輩の女子に成年コミック買ってこさせたりしねぇよ! そっちのほうがもっと  
恥ずかしいよ!」  
「ラブプラス買ってこいとか?」  
「あーそれ今欲しいんだけど、でも、店頭にないしな…」  
「じゃあ、脱げばいいのか?」  
「なぜそうなる… つーかまぁ、似たようなモンか…」  
「自慢するわけじゃないが、わたし実は、脱いでもすごいんです」  
「いやお前、マジでいいカラダしてるって… そばにいると辛抱堪らねえっつーか、ボディライン、服の上から丸わかりじゃん」  
「やっぱりそうだったか…」  
「なにが?」  
「阿良々木先輩といっしょにいると、いつもその、見られてるというかなんというか… みだらな視線を常に感じていた」  
「あ~、うん、ごめん、ガン見してた」  
「射るような目つきで、わたしの胸のあたりや股のあたりを執拗に舐め回すように」  
「ごめん…」  
「視線で犯すように」  
「そこまでは見てなかったと思いますよ!」  
 
「阿良々木先輩は、わたしの肉体をどうしたいんだ?」  
「えーと…」  
「いたいけな後輩の肢体を視姦したあげく、夜のおかずにしていたのだろうか?」  
「すみませんでしたーッ!」  
「阿良々木先輩は想像力が豊かなんだな。…ではお礼に、アレでアレをアレしてさしあげよう」  
「えっ?」  
「アレをアレでアレするといえば、アレのことに決まってるじゃないか」  
「なんの隠語だそれはーッ!」  
「ご想像にお任せしよう」  
「くっ、頭の中で想像ばかりが膨らんでゆく…」  
「阿良々木先輩の頭の中には、セックスのことしかないのか?」  
「たった今、お前がそうさせたんだけどな!」  
「色と欲の阿良々木先輩どの」  
「僕はロリコン伯爵かよ!」  
「まるで発情期のメス猫のようだ」  
「…その比喩は、僕の同級生の前ではぜひとも使わないでいただきたいな…」  
 
エロトークをいいかげんに切り上げて、僕は本題に入った。  
「神原を写真に撮りたいんだ」  
「写真?」  
「うん。写真撮らせて」  
「先輩に盗撮の趣味があるとは知らなかった」  
「だから盗撮じゃねぇよ! どこの世界に相手に『撮らせて』って正面から頼み込む盗撮魔がいるんだよ!」  
「いつでも好きなだけ、どんなアングルから接写してくれても、わたしは全然かまわないが」  
「そう言うと思いましたよ神原先生!」  
「ちなみにスパッツの下はノーパンだから、パンティラインを探しても見えないぞ?」  
「嬉しくて涙が出そうだ!」  
「先輩が歓喜の涙を流しながら女子高生のパンチラを盗撮するような、そこまで筋金入りの変態盗撮魔だとは  
知らなかった」  
「僕だって知らなかったよ!」  
「さすがは私立直江津高校の歩く秘宝館だ」  
「僕は温泉街の怪しい性の博物館かよ!」  
…落ち着け、僕。  
「つーか、お前みたいなスレンダー美少女を被写体にすれば、僕みたいな初心者でも、いい写真が撮れそうな気が  
するんだ」  
「わかった、ヌードモデルか」  
「飛躍し過ぎ!」  
「違うのか……」  
「残念そうに言うな… だからその、神原に競泳水着を着てもらって、写真に撮りたいんだ」  
「競泳水着?」  
「うん、ほら、神原ってキレイなカラダしてるじゃん。競泳水着がスッゲー似合うと思うんだ」  
「わかった。着エロだな」  
「そうじゃねぇよ! お前は藤軍団か!」  
「女子高生脱がせて楽しいですか?」  
「お前はこの上なく楽しそうだよ!」  
 
「ということは… 阿良々木先輩は競泳水着フェチなのか?」  
「いやまぁ、スクール水着も好きってゆーか、ぶっちゃけ女性が身に付けるものだったら、下着でもパンストでも靴でも  
なんでも… まぁそれはいいとして神原、なんつーか体育会系であるお前には、競泳水着が似合うかな~、なんて思ったんだ」  
「ふむふむ、水泳女子部員たちの鍛え抜かれた逆三角型の肉体美を、切れ上がったビキニラインと大きく背中が開いた  
大胆なデザインで、もっとも美しく魅せる競泳水着… スポーツ少女であるわたしとのセックスを演出する小道具に、  
そんなフェティッシュなアイテムをチョイスするとは、さすが阿良々木先輩、いいセンスをしているな」  
「…どうやらお前はとてつもなく邪まな誤解をしているようだな!」  
「初体験でいきなりコスプレ・セックスとは、わたしも胸が躍る」  
「そーゆーこと期待してんじゃねーッ!」  
「しかし、そう言う阿良々木先輩だって、いくら只の撮影とはいっても、その場のムードに流されるまま、ついその気になっちゃったり  
するかもしれないだろ?」  
「お前とだけは、そーゆーことは絶対にないな!」  
「そうは言うがな、いざ、わたしの水着姿をまじかに見てしまったら、ついナニがビンビンになってしまわないとは断言できまい?」  
「そ、それは…」  
「わたしなら、性欲旺盛のヤりたい盛りに彼女である戦場ヶ原先輩からおあずけ喰らって、青春のリビドーを持て余している  
阿良々木先輩の溜まりに溜まった欲望を、余すところ無く受け止めることができる!」  
「恋人間のプライベートな問題をお前にどうこう言われる筋合いはないっ! それに僕は、お前相手に解消しなきゃいけないほど、  
性欲を持て余したりもしていない!」  
「…なぁ阿良々木先輩、いくら戦場ヶ原先輩というステディがいたとしても、わたしとの一夜限りのゆきずりの関係、ひと夏の  
アバンチュールをちょっとばかり愉しんだところで、大して罰は当たらないだろう?」  
「絶対当たりそうな気がする …ってゆーか、それって間違いなく、お前が戦場ヶ原に逐一ぜーんぶチクるじゃん!」  
「…てへっ」  
携帯の向こうで、神原がぺろっと舌を出したような気がした。  
本当にエロくて可愛いやつだ。  
 
 
「なぁ神原、…頼むから、そうやって僕と戦場ヶ原の仲を引き裂こうとしないでくれよ… で、ブルマーやスクール水着を所有している  
お前のことだ、神原、ひょっとして競泳水着も持ってたりする?」  
「いや、持ってない。…しかし、阿良々木先輩が用意しろと言うのなら、今からダッシュして速攻で買ってくることにしよう」  
「その必要はない、だったら、こちらで準備するよ」  
「そうか、プレイに使うアイテムは、あくまで自分の性癖に合わせてチョイスしたいものだしな、そのあたりのこだわりはわたしにも  
わかる」  
「そのこだわりは僕には全然わからないけどな!」  
「で、阿良々木先輩、…シチュエーションとしてはやっぱり、布地が水に濡れてテラテラしているのがお好みか?」  
「そりゃまぁ… そうだな」  
「ローション持っていこっか?」  
「おとしいれる気まんまんだなオイ!」  
 
とりあえず相手の同意は取り付けたので、日にちと場所の算段をする。  
「そしたら、今度の休みに写真館に行ってスタジオで撮影… ってことでいいか?」  
「ん~、待ってくれ阿良々木先輩… 本格的なスタジオとなると、レンタル料けっこうかかるんだろう?」  
「まぁ… そうだな」  
「撮った写真の出来栄えがあまり良くなかったら、高い料金がもったいないだろう? スタジオデビューは、カメラの腕がもう少し  
上がってからでも、遅くはないのではないか?」  
「それもそうだな」  
「最初はどこか個室をとって、誰にも邪魔されずに、たっぷり時間をかけて、いろんな撮り方を試してみてはどうだろう」  
「ああ… 神原がそこまでして付き合ってくれるってんなら」  
「だったら阿良々木先輩… ホテルで撮影ってのはどう?」  
「えっ、そっそれは」  
「うん、わたしとと阿良々木先輩のふたりだけで、ラブホテルで撮影会」  
「……ラ、ラブホ」  
「ラブホテルのほうが、何と言うか先輩とその、男の女のそーゆー、アレな雰囲気になったとき… そのまま一気にチョメチョメに  
突入することができる」  
「チョメチョメとか言うなー─ッ!」  
 
意外なことに神原が競泳水着を持っていなかったので、僕は神原に着せるブツを調達するため、スポーツ用品店まで  
出掛けることにした。  
とはいえ、男子高校生が女性用水着を「これください」などとレジに持っていったんでは、さすがに店員も不審がるというか、  
まず間違いなく変態扱いされるだろう。…ということで、僕は大きいほうの妹、いつも「死亡遊戯」のブルース・リーみたいな  
黄色に黒のラインのジャージを着ているノッポ系女子、火憐ちゃんを一緒に誘うことにした。  
「は? 競泳水着? …はっはーん、さては兄ちゃん… 妹のあたしにそんなもん着せて、思いっきり淫らなポーズをとらせて、  
マニア好みの角度から思う存分堪能するつもりなんだな? ふっふっふっ、あたしのナイスバディに悩殺されて、鼻血噴いて  
ぶっ倒れっちまうぜ兄ちゃん」  
「それはそれで見てみたい気がするが、…別の意味で血を見そうだなそれ」  
最初は自分で着る気まんまんだった火憐ちゃんだったが、神原に着せるんだと言うと、  
「なぁんだ、てっきりあたし用に買ってくれるんかと思った… でも、兄ちゃんと神原先生が、そーいう仲になるってんなら、  
あたしゃ応援するぜ!」  
と嬉しそうに言った。  
 
       続きます  
 

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