「はぁ、このお方はブルワーカーという」  
「違う、それを言うならブルーカラーだ。まあ、体が鍛えられるということにおいては一緒かもな」  
「おや、阿良々木さんに労働というものが分かるのというのですか?」  
「そりゃあまだ学生だし、バイトもした事はないけどさ。それはお前も同じだろ?」  
「まさかと思いますが、ジョウゴとお間違えではありませんか?」  
「そりゃ漏斗だ!ってわかんねーよ、こんなボケ」  
「私の名前が一九字なら老頭でもうひとつボケ倒せたのですが、清混尽きました」  
「お疲れ様でした、って言いたくなるくらいキレイなオチだな」  
「まあ阿良々木さんはニートがお似合いですけどね。ブラックカラーとでも言っておきましょうか?」  
「…僕を馬鹿にして笑いを取るっていう最近の風潮には異を唱えたいんだがな」  
「労働省あたりに陳情に行かれては?」  
「うまい事言ってんじゃねーよ」  
「邦画ですか?」   
「ロードショーじゃねえよ!」  
「公園の中心でロリコンを叫んだ男」  
「それは映画じゃない、犯罪だ」  
「失礼しました、サイコサスペンスではなくドキュメンタリーでしたね」  
「これは事件だっつてんだよ!」  
「姉さん、事件です」  
「古っ!HOTELの高嶋政伸かよ!なんでこんなネタで来るんだよ、普通なら湾岸署のあの人だろ?  
「事件は会議室で起きてるんじゃない!砂場で起きてるんだ!」とかさ」  
「うわ、全くもってつまらない上に最悪です。お姉さんは凄く悲しいです」  
「なんでお姉さんキャラよ!?」  
「社会人になってそれなりの立場に就くと関係各所にそれなりの気配りをしないといけないのですよ。  
私にはプロデューサーという肩書きもありますし」  
「それとこれがなんの関係があるって言うんだよ」  
「いいですか、ドラマHOTELはTBSで放映されたドラマです。そして化物語を放映している放送局には  
TBSグループの放送局が含まれているのです。いわば我々と遠いとはいえ、ご親戚な立場な訳です。  
使うネタにも気を配らなければ芸人として失格です」  
「社会人の立場とプロデューサー業は何処へいった。  
それに社会の仕組み的な話で親戚って例えるのもどうなんだろうな。まあ実際は全然関係ないし、  
向こうだって迷惑にしか思わないだろ」  
「湾岸署?お台場あたりでチャラチャラやってる放送局なんかどうでもいいのです」  
「お前のその発言は非常に心象が悪いからやめておけ。  
この日本においてネガティブキャンペーンは自分に還って来る呪いみたいなもんだからな。  
もう地上波放送は終わったんだし、そんなに気を使う事も無いんじゃないか?」  
「アニメ二期は全国ネットのTBSで放映されることを目論んでます!」  
「正直すぎる!」  
「具体的にはハガレンの枠を狙ってます!!」  
「こんなもん日曜夕方のお茶の間にお届け出来るか!!」  
「○○だから無理、とか、どうせ○○だから、みたいな言い訳する子、お姉さんは嫌いです!」  
「じゃあお姉さんに聞くけどさ、関係各所に気配りなんて言ってるけど化物語の原作出版社って講談社だよな。  
HOTELの原作出版社ってどこだったっけなぁ?  
ああそれから、「私、小学館だから判りません」みたいな言い訳する子、お兄さんは嫌いだな」  
「…メディアミックスってこういう時に使うんでしたっけ?」  
「ぜんぜんちゃうわ!」  
「わ、私はどうしたら」  
「もうこれは脱いでお詫びでもしたほうがいいんじゃないか?そうだな、お兄さんが脱がしてやろうか?」  
「バサ姉、事件です!」  
「本当にすいませんでした!僕が公園の中心でロリコンを叫んだ男でした!」  
 
「そういえば、HOTELも踊る大捜査線も十年位前のドラマなんだよな」  
「はあ、もうそんなに前のことですか」  
「なあ八九寺、もしかして両親が離婚する前、皆で―」  
「それは考えすぎです、阿良々木さん」  
「…そうか」  
「私はガンガン好きです、阿良々木さん」  
「またかよ!」  
「ハガレン面白いですよね!」  
「どんだけヨイショするんだよ」  
「失礼な!おねしょなんかしてませんよ!」  
「ヨイショしすぎだ、って言ってるんだよ!」  
「幼女好きだ、なんておっしゃられても」  
「お前の耳は一度練成し直してもらえ!」  
「ということは阿良々木さんはハガレンキャラではメイ・チャンがお好みなんですね」   
「勝手に決め付けんな」  
「勝手にライバルだと思ってます」  
「お前のライバルならその子と一緒にいる噛み付きミニパンダだな」  
「さて、阿良々木さんが何歳までおねしょをしていたか、という話ですが」  
「そんな話はしてねえ!」  
「思い出しました。阿良々木さんが私くらいの時はまだ鼻水を垂らしてたという話でした」  
「鼻水を垂らした子供なんか見たことねえよ」  
「今は私を見てヨダレを垂らしているという」  
「おっと、いけね。何か拭くものはあったかな、っと」  
「がうっ!」  
「うおっ、あぶね!」  
「がう、がうっ!しゃーっ!」  
「やめろって!やっぱりお前はシャオ・メイだ!」  
「何で私のスカートで拭こうとしているんですか!拭くフリをして何をしようって気ですか!」  
「減るもんじゃないだろ?」  
「何という言い草!…汚された!加持さん、私汚されちゃった…」  
「今度はエヴァネタかよ!いいのかよ、それは!」  
「ふん。なんでも利用させていただきますよ、売れるためなら」  
「汚な!」  
「私はもう誰かさんに汚されてしまってますからね。証拠なら今月発売のDVD・ブルーレイに収録されてます」  
「なんでお前はメタで攻めてくるんだよ、いくらなんでもメタすぎるだろ」  
「あの方が普通になられてしまった今、誰が阿良々木さんの暴走を止めることが出来るというのでしょう。  
そこで不肖ながらこの私が阿良々木さんのドリッパーになろう、そう決意したのです」  
「そりゃご立派な決意だが、それを言うならストッパーだろ」  
「コーヒーでも飲んで落ち着いていただこうかと」  
「ああ、なるほど」  
「毒入りですが」  
「とどめを刺すのかよ、止める気ねえじゃねえか」  
「漢字で書けば同じです。阿良々木さんが嫌がろうと何だろうと、無理やり漏斗で流し込みます」  
「畜生!ジョウゴが凶器にしか見えねえ!」  
 
「まあ、戦場ヶ原さんが毒舌と暴言でめった切りなら、さしずめ私はメタ視点からのメッタ切り、といったところでしょう」  
「メッタ噛みの間違いだな」  
「今月は私が当番です」  
「はぁ?今月?当番?何だそりゃ」  
「阿良々木ハーレムのメンバーで当番制になってまして、今月は私が阿良々木さんをめった切りにする当番です。  
来月は神原さんですね」  
「なんの事やら、だ。そんなもん架空の団体だ」  
「さて、神原さんには何をどう切られるんでしょうねぇ」  
「やめろ、思い出すと胃がキリキリと痛む」  
「駄洒落ですか?」  
「さあな、悪い冗談だろ」  
「で、何個あったんですか?」  
「牛じゃねえんだから一個だよ!それに牛はお前だろうが」  
「またつまらないことを仰いますね、ご自分の言動を反すうした方がいいですよ」  
「反すうじゃねえ、反省だ!」  
「ご自分の色々な言動を反すうして反省した方がいいですよ」  
「色々って何だよ」  
「おや、もしお心当たりが無いと言うのなら喉に指を当てて考えることですね」  
「吐いちゃうよ!」  
「その方が楽になれますよ?」  
「何の話だ?」  
「つまみ食いをした」  
「何をだよ」  
「女の子を」  
「!!…ひ、人聞きの悪い事を言うな!やらしいことは、なな」  
「分かりやすいですねー、阿良々木さんは」  
「…」  
「人の心配ばかりするのは阿良々木さんの良いところですが、  
ご自分の言動の結果をあまり考えてないのは阿良々木さんの良くないところです」  
「…」  
「少しはいい毒になりましたか?」  
「…いい薬になりましたか、って普通は言うんじゃないかな」  
「塀の向こうで労働に勤しむなんて事にならないようにしてくださいよ」  
「そうなったら面会ぐらい来てくれるよな?」  
「被害者が面会に行くという話は寡聞にして存じ上げませんが?」  
「気を付けます…」  
 

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