「で、どうなんですか歯磨きさん」
「僕がいつもそういうプレイをしているかのように言うんじゃない。
僕の名前は阿良々木だ」
「はぁ、つまりあれはプレイであったと」
「誘導尋問だ! やり直しを要求する!」
「ではやり直しましょう……で、どうなんですか歯磨きプレイさん」
「悪化しただと……」
「失礼。噛みました」
「違う。わざとだ」
「カルネアデスの板」
「お前はどこに緊急避難しようと言うんだ……」
「閑話休題ですよ阿良々木さん」
「あれについては実際にやってみて貰うのが一番だと思うんだけどな」
「世の中の男性が皆阿良々木さんみたいな変態じゃないんですよ?」
「ナチュラルに人を変態扱いするな。僕はノーマルだ。多分」
「多分という部分に逆に理性を感じます。丸」
「赤ペン先生かよ……」
「実際にやってみろというのは不可の方向で、詳細な解説をお願いします」
「ああ……人間って、自分で何かを動かす時って、常にどういう動かし方を
するか、っていうのを無意識に自覚してるんだよ。だから、自分で何かを
動かして自分自身に刺激を与える時も、事前にどういった刺激がやって
くるかを把握できちゃってるから、刺激の度合いが少なくなるんだな」
「へえ」
「だから、他人にしてもらうと把握できない、自覚できない、予想しかできない
方向から刺激が加えられる分、刺激の度合いが強くなるわけだ」
「へえ」
「そして、粘膜は総じて敏感な性感帯だという事も合わせて考えると、
他人にしてもらう歯磨きがどのような効果をもたらすか、理解してもらえると思う」
「……それ、神原さんから聞いたんですよね?」
「ああ、そうだけど」
「……神原さん、どのようにしてそれを知ったのでしょう?」
「………………」
「………………」
「まあ、あまり深く考えないようにしよう。神原だからな」
「神原さんじゃあ、仕方ありませんね!」