今日は休みのはず。  
だというのに、いつも通り火憐と月火に乗っかられ、身体を激しく揺すられて起こされた。  
何か約束でもしたのだろうか、と考える暇はなく布団から顔を出した僕は火憐にキスをされる。  
理解できないうちに僕の口の中に液体が流れ込んできた。  
昨日飲んだアルコールよりも強い酒だ。  
全てを飲み込まされると僕の頭は働かなくなる。  
次は月火にキスをされ、火憐と同じように液体を飲まされた。  
これもたぶんアルコールだろう。  
ますます頭がぼ〜っとなる。  
 
また夢を見た。  
ちょっと大きな戦場ヶ原とちょっと小さな戦場ヶ原。  
二人の戦場ヶ原は何かをブツブツ言いながら僕の服を脱がせていく。  
 
――おおっ、兄ちゃんが突っ込まない! 神原先生の言った通りになった。さすがだぜ。  
――せんちゃんも同じこと言ってたしね。でも昨日の声はさすがに大き過ぎだよねー。  
 
二人の戦場ヶ原と妹プレイをしているらしい。  
僕のことを『兄ちゃん』『お兄ちゃん』と呼んでいる。  
まるで火憐と月火を相手にしているようだ。  
昨日の夢に出てきた戦場ヶ原は二人とも髪が長かったのに、今日の戦場ヶ原の髪は昨日よりも短かった。  
色んなプレイができるなんて、さすがは夢だな。  
 
昨日よりもゆったりと時間が進んで行く。  
でも役割は大体同じようだ。  
一人が上半身を担当し、もう一人が下半身を担当する。  
小さいほうの戦場ヶ原は僕の唇を貪っていた。  
軽いキスから始まり、徐々に過激になっていく。  
小さく触れ合う唇はやがてお互いの唇を咥えるように動き出す。  
時間を掛け、感触を楽しみながらキスしているのがわかるような優しいキス。  
そして舌が少しだけ出始める。  
舌先で唇を舐められ、僕もそれに応えるように舌を出す。  
二人の舌は重なり、絡まっていった。  
またに『お兄ちゃん』と呼ばれるのがアクセントになり、精神的に満たされる。  
 
下半身は大きい方の戦場ヶ原に弄ばれていた。  
手で好き放題触っていたと思ったら、キスを始め、舌で舐める。  
刺激は切ないほどに穏やかで、少々物足りない。  
夢なのを良いことに僕は股間を弄んでいる戦場ヶ原の頭を持ち、無理矢理口に僕の肉棒を含ませた。  
うぅぅぅと唸っていたが、嫌がっているという印象は受けない。  
すぐに口を窄め、頭を上下させながら吸い込んでいるところを見ると焦らしたかったのかもしれないな。  
この戦場ヶ原の舌使いは上手く、欲しいところに手が届く。  
圧迫する力は強く、どんどんと締め付けてくる。  
あまりの気持ちよさに思わず腰を動かしてしまう。  
その動きを受け入れ、より強い快楽を与えるように動いているようだ。  
僕は腰を押し出して大量の精子を吐き出した。  
大きい方の戦場ヶ原は驚いていたが、僕が全部吐き出すまで待ち全てを飲み込む。  
そして膣口に肉棒をあてがい、入れようとしたところで、もう一人戦場ヶ原が現れた。  
 
その戦場ヶ原は本来の戦場ヶ原と同じような体型だけれど、胸が大きかった。  
僕の手には収まりそうにない。  
少しおかしいのは胸の大きな戦場ヶ原が現れた途端、僕に絡んでいた二人の戦場ヶ原が怯えだしたところだ。  
 
――つ、翼さん!? これは違うんだ!  
――そうだよっ! 違うんだよ!  
 
何が違うのかよくわからない。  
とにかく言い訳をしているようだが、やはり酷く怯えているように見える。  
 
翼さんってなんだよ!  
羽川がここにいるみたいじゃないか!  
 
それにしても随分クオリティの低い夢だな。  
色んな髪型の戦場ヶ原が出てきたり、色んな体型の戦場ヶ原が出てきたり……。  
だけれど今の本当の戦場ヶ原の姿が出てきていない。  
本物の戦場ヶ原の口調に似たのも出てきていない。  
ツンデレじゃなくなったせいで僕の中でのイメージがまだ固まらないのかもしれないけれど。  
ああ、そのせいで混乱しているわけか。  
僕の思考は色々な戦場ヶ原に挑戦しているわけだ。  
慣らしている、とも考えられる。  
 
ん? 僕が考え事をしている内に胸の大きい戦場ヶ原だけになっていた。  
もう裸になっている戦場ヶ原はその大きなおっぱいで僕の肉棒を挟み、上下に動かしながら僕の反応を見て楽しんでいるようだ。  
そのあまりの気持ちの良さに思わず射精してしまい、それが戦場ヶ原に掛かってしまう。  
目を丸くして驚いている。  
その後恥ずかしそうな笑顔を浮かべると、顔に付いた精子を少し舐めていた。  
苦かったのか、舌を出して顔を歪めたあとティッシュで精子を拭いていた。  
そして僕の上に跨った。  
 
一度射精したけど硬いままだった僕の肉棒は導かれるままに戦場ヶ原の膣内に入り込んだ。  
戦場ヶ原は痛みで顔を歪めている。  
まるで初めてした時みたいだ。  
あの時は頑張った戦場ヶ原を褒めて褒めて褒めて褒め倒してたら、なんというかそういう雰囲気になって、  
戦場ヶ原も「しましょう」みたいなことを言ってたからしちゃったわけだけれど、その時みたいな痛がり方だった。  
 
目の前の戦場ヶ原も笑顔を浮かべているが、本当は痛みを我慢している。  
あの時はよくわからなかったが、今回は二度目だ。  
どれだけの痛みに耐えているかがなんとなくわかってしまう。  
なのにこの戦場ヶ原は身体を震わせながら痛みに耐えて、心配かけさせないように微笑もうとしている。  
健気な一面を見たようで抱き寄せ、安心させるように優しく包み込んだ。  
 
そのまましばらく抱き合い、お互いを優しく暖めあいながらキスをした。  
遠慮がちに触れる唇は切なく、より強く触れ合いたくなってしまう衝動に駆られる。  
その儚い接触は徐々に本能に突き動かされ、激しいものへと変化していった。  
かすかに開いた唇の間を縫って侵入してきた舌に僕の舌を絡ませ、ヌルッとした感覚が僕の頭を陶酔させる。  
 
飽きることなく舌を絡ませている状態が数分続いたら後、僕の上に乗っている戦場ヶ原は腰を動かし始めた。  
苦痛に顔を歪ませながらも、舌を絡ませ腰を動かし続ける戦場ヶ原は献身的に僕に尽くしているようにも見え、普段とのギャップのせいか、清艶で、より魅惑的に見えた。  
舌を腰を動かしながら舌を絡ませているから、いつもより大きなおっぱいは僕の胸に接触している。  
 
舌だけでなく脚も絡まりあい、腕はお互いを強く引き寄せ合っている。  
身体全体を僕に絡ませ、いたるところを使って僕と交わっていた。  
 
今までの中で一番気持ちが良く、心が休まる。  
なぜだかはわからないが、しっくりくる。  
たまに僕の上に乗っているのは戦場ヶ原ではなく、羽川のような錯覚に陥ってしまうせいかもしれない。  
大好きな羽川が僕の上に乗って腰を振っているなんて妄想するだけで興奮してしまう。  
 
誰にでも公平で平等な羽川が僕だけを見て、僕のために尽くしてくれるなんていうことがあれば僕はどんな対価も払ってしまうだろう。  
とは言いながらも僕は羽川ではなく、戦場ヶ原を選んだわけだけど。  
 
後悔しているのだろうか。  
後悔しているから夢の中だけでも僕だけの羽川にしたかったのかもしれない。  
 
まあ夢だし、可愛いから良いか。  
さっきまで戦場ヶ原に見えていた僕の相手はいつの間にか羽川になっていた。  
さすがは夢だ。  
 
僕は繋がったまま強く抱き締めながらも、羽川の背中に触れている指は優しく這い回っている。  
この羽川の感度は良く、僕がどこか触るたびに過剰に反応してくれた。  
演技というわけでもなさそうだし、夢の中に出てくる相手が演技するというのはそれはそれで面白かも知れない。  
夢の出来事なんて結局は僕の思考でどうにでもなってしまうことだから、この羽川は実際に感じてくれているのだろう。  
 
僕は嬉しくなって、今まで以上に刺激を重ねる。  
その度に羽川の喘ぎ声は大きくなった。  
それが恥ずかしいのか、気付いては口を閉じ、それでも我慢できなければ僕にキスをして、物理的に僕に口を塞がせていた。  
始めにあった躊躇いはもうどこにも感じられない。  
すべてを求めるように僕に貪りつく羽川。  
やっぱりこれは夢なんだろうと確信する。  
少し切なくはあるけれど、遠慮することなく羽川を抱けるこの夢に感謝しなければならないだろう。  
 
僕はより激しく腰を動かした。  
羽川の動きに合わせるように小さく突き上げ、陰核が擦れるように意識しながら動くようにする。  
敏感なのか、どうしても漏れてしまう嬌声に顔を赤らめる羽川。  
もっと見ていたくなるが恥ずかしがる羽川の腰は激しく動いている。  
 
腰の動きに合わせて、  
「あっ、あっ、んっ、はっ、あっ、んんっ、ん―――」  
と声を上げているが、すぐに自分の声に気が付いて、顔をピンクに染めながら僕にキスをせがんだ。  
僕を見る瞳はうるうると涙を溜めている。  
その瞳は澄んでいて綺麗だ。  
それだけでなく妖しさがあり、いつもより惹かれてしまう。  
見蕩れてしまう。  
羽川は僕の視線に気が付き、照れるように目を背けた。  
いつも僕に対して怒った時のような態度ではない。  
今まで見てきた羽川からは考えられないくらい子供っぽくて可愛かった。  
 
どんどん激しくなった動きが気持ちよかったのか、羽川は僕と唇を重ねたまま、痙攣した。  
僕を強く締め付けたけれど、一度出しているからかまだ我慢できた。  
本当は出してしまっても良かったんだけど、羽川があまりにも可愛くてどうしても離したくなかったから。  
繋がったまま息を整え、微笑みながらキスをした羽川はまたゆっくりと動き出した。  
僕もそれに合わせて動くが、お互い入れている感覚を楽しむような穏やかな動きだった。  
もちろん唇も繋がっている。  
慈しむように大切に扱い、心も体も包まれているような不思議な感覚が込上げてきた。  
夢だからだろうか。  
今まで味わったことのない満足感に満たされている。  
幸せだ。  
心の底からそう思えた。  
 
穏やかな動きのままだったが、それでも羽川は何度か痙攣を繰り返し、艶やかな姿を見せ付けてくれる。  
時間を掛けてじわじわと快楽が満たしていくが、僕はこの充足感に包まれた状態を維持したかった。  
射精してしまいたくなる衝動が僕の腰を突き動かそうとするが、それでも我慢する。  
長く入れていると羽川の痙攣する感覚が狭くなっていくのがわかった。  
イク度に僕に向けられる視線は甘い。  
でも僕が気持ちよくなっていないのか少し心配しているようでもあった。  
 
「羽川、僕はもっとお前とつながっていたい」  
 
羽川は今までで一番と言って良いほどの笑みを浮かべ、また僕と唇を重ねた。  
甘い時間はゆっくりと過ぎていく。  
僕は身体中に羽川を感じる幸福を堪能しながら、まどろんでいった。  
 
 * * *  
 
僕が目を開けると羽川が僕の顔を覗き込んでいた。  
パチパチと瞬きを繰り返しながら少し頬を赤らめている。  
可愛い。  
さっきの夢とダブってしまう。  
夢の続きの気がして、僕は羽川の後頭部に手を当て、こちらに引き寄せた。  
羽川の抵抗はなく、うながされるまま僕と唇を重ねる。  
遠慮がちに舌も絡まり、やっぱり夢の延長みたいだ。  
僕は羽川を布団の中に誘い、また絡まりあった。  
 
羽川の中に射精してしまったけれど、これも夢の中だから問題はない。  
起きたつもりがまた夢だった、なんていうオチはよくあることだ。  
これもまたそうなのだろう。  
羽川は嬉しそうに微笑んでたし、「ありがとう」って言ってくれた。  
夢じゃなきゃそんなことを言うはずはない。  
また僕は睡魔に誘われるように眠りに落ちていった。  
 
 * * *  
 
僕が目を覚ますと今度は戦場ヶ原が僕の顔を覗き込んでいた。  
僕の頬をプニプニと突っついては笑っている。  
 
窓の外を見るとなぜか赤い。  
夕陽だった。  
どれだけ眠っていたのだろうか。  
 
まあ、あまり気にすることじゃない。  
今は目の前の戦場ヶ原が可愛いことが問題だ。  
 
さっき夢の中で羽川にしたみたいに戦場ヶ原の首の後ろに手を回し、僕の方に引き寄せる。  
なんの抵抗もなく僕らの唇は重なった。  
舌を絡ませ、抱き寄せる。  
感触を確かめるように強く抱いたり、切ないくらい優しく抱いたり、抱き方を変えたりと色々と試してみた。  
 
さっきの夢の中の羽川もしっくりきたが、やっぱり戦場ヶ原が一番合っているみたいだ。  
抱き心地も、匂いも、胸の大きさも、くびれも、何もかもがしっくりくる。  
夢見心地のまま僕は甘えるように戦場ヶ原をいつまでも抱いていた。  
 
 
おわり  
 

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