「あら、何を躊躇しているのかしら」  
「何を躊躇するっていうんだよ」  
「では、ナニを躊躇しているのね」  
「僕を変態のように言うな!」  
「ごめんなさい。確かに変態のように、と言われては、真実変態である所の  
 阿良々木君の矜持は著しく傷つけられたわよね。謝罪させてください」  
「僕は何か悪い事をしたのか……」  
「いつものことでしょう。いい加減慣れた方が楽だと思うわよ?」  
「着々と調教されているような気がする……」  
「気のせい。それはともかく、私と阿良々木君の赤裸々な性生活を描いた  
 文章を公に晒す事の、一体どこに躊躇する要素があるというの?」  
「普通躊躇するだろ!? ……というか、お前とカップリング限定なのか」  
「ええ、希望も込めてみたわ」  
「希望かよ」  
「そうよ。だってこのスレレベルが高いSSが投下される割に、私のエロい  
 SSの数は少ないじゃない。不満だわ」  
「メタな話を……だったら自分で書け、って言われるんじゃないか?」  
「流石に自分で自分の痴態を詳らかにできる程、私は変態ではないわ。  
 阿良々木君じゃああるまいし」  
「僕だって自分じゃ書けねえよ!」  
「では、一体何を躊躇していたのかしら。ああ、ナニを躊躇していたんだったわね。  
 私なら気にしないから、そこでしたらいいわ」  
「何をだよっ!?」  
「それでは、まず私がするから、阿良々木君はそこで見ていてね……  
 恥ずかしいけれど、それが阿良々木君の望みなら……ぽっ」  
「だから何をだよっ!? 『ぽっ』って口で言うだけで全然顔を赤らめもしないのか!?」  
「私のナニする所、見たくないのかしら、阿良々木君は?」  
「……ナニって、その……いわゆる、アレだよな?」  
「流石阿良々木君。その食いつきの速さは賞賛ものね」  
「嬉しくねえよ」  
「その通り、阿良々木君の察するアレよ。見たくない?」  
「……そりゃあ……男だったら、見たいだろ?」  
「阿良々木君だったら?」  
「僕だって……そりゃ……見たいさ」  
「……そう。やっぱり阿良々木君は変態ね。愛しい彼女の排泄シーンを  
 見たいという欲望を抑えきれないなんて。しかも大きい方」  
「ちょぉっと待てぇっ!? スカトロ趣味は僕にはないっ! っていうかナニな  
 アレってそういう事かよっ!」  
「あら、違うの?」  
「違う!」  
 
「じゃあ――阿良々木君は、一体私の何を見たかったのかしら?」  
「ぐっ」  
「スカトロは明確に否定した。これはつまり、それ以外の何かを、明確に  
 思い浮かべていたという事に他ならないと思うのだけれど」  
「……罠にはまったのか、僕は」  
「一体、何をナニだと思って、それを見たかったのかしら……?」  
「い、言えるかそんな事……」  
「あら、言えないような恥ずかしい事を彼女にさせて、それを見物して  
 楽しもうという腹積もりだったわけね、阿良々木君は。変態を通り越して  
 鬼畜の域に達していたとは、流石に私も付き合いを考え直そうかと思うわ」  
「オナニーです! 戦場ヶ原さんのオナニーが見たかったです!」  
「こんな往来で大声で卑猥な言葉を連呼しないでちょうだい。一緒にいる  
 私の品性まで疑われかねないじゃない」  
「……なんだよ、この意味のわからない屈辱は……」  
「もっとも、阿良々木君と一緒なら、品性を疑われるのも一興だけれど」  
「どっちだよ」  
「羞恥心は前者、本能は後者よ。ともかく、阿良々木君は私の自慰行為を  
 鑑賞したいという欲望を今この瞬間胸に抱いているのね?」  
「抱いてますとも。ええ、抱いてますとも!」  
「それと同じよ」  
「はい?」  
「私も、阿良々木君の自慰行為は鑑賞したいわ。今この瞬間ね。あなたが  
 気持ちよくなるだけの行為を、私は見たいと思い、私が気持ちよくなるだけ  
 の行為を、あなたは見たいと思っている」  
「……何が言いたいんですかひたぎさん」  
「商業的に利益を得る為に作っているわけでもないSSなんて、所詮は  
 自慰行為のようなもの――でも、そんな自慰行為であっても、見たいと  
 思う人はいるという事よ」  
「そこで話が戻るのか……というか、まさか戻るとは思わなかった」  
「たとえ下手糞な、上手く絶頂まで上り詰められないような自慰行為でも、  
 それで興奮する人はいる、かもしれないのだから、まずは自慰行為自体を  
 衆目の目に晒して見なければ判断はつかないわ」  
「むしろ、拙くて初々しい方が興奮するって人だっているかもしれないしな」  
「阿良々木君のようにね」  
「何故僕の性癖を抑えている……?」  
「良かったわ、阿良々木君がそういう性癖で」  
「またしても罠っ!?」  
「私は、そういう経験が他人よりも少ないから、拙い技術しか持っていない  
 もの。そういうのがお好みという事なら、願ったり叶ったりという感じかしら」  
「そういうわけで、躊躇しているくらいなら自分を解放してしまいなさい」  
「なあ、戦場ヶ原」  
「何?」  
「……自慰行為って、基本的に他人に見せるものじゃないだろうから、  
 一連の話ってあんまりたとえとしては適切じゃないんじゃないか?」  
「大丈夫よ」  
「そうか?」  
「自分の書いた文章を他人に晒そうなんて人は、総じて露出狂だから」  
「言い切っちゃった!」  
「もし違っても大丈夫。――目覚めるから」  
「……否定できねー」  
 
                                        終わり   
 

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