「ゆく年くる年は、いつも同じような感じだなぁ……あ、0時だ。あけおめ。戦場ヶ原」
だらだらと、戦場ヶ原の部屋でTVを見ながら年末を過ごした僕達。
「姫始めをします」
「…………………」
戦場ヶ原は、みかんの乗ったこたつに入ったまま、唐突に言い出した。
「姫始めを…しなさい…姫始めを……して…あげても…いいのよ…姫始めを…」
「………………………」
「姫始めをしましょ……んっ!」
僕は、もう戦場ヶ原に、最後まで言わせないようにしている。
戦場ヶ原の、してやられたっ! という、悔しそうに涙を浮かべた視線と、
その後の蕩けた表情に気付いたから。そして、それを望んでいる
彼女の本心に触れたから。
こたつで暖を取っているので、部屋の温度は少し低めにしていた。
でも、それも気にならない。こんなにも戦場ヶ原は暖かいのだから。
二人の熱い部分はいつものように、いつになっても、僕達を高めてくれる。
そして僕はTVと電気を消し、二人だけの新年を、一緒に過ごすのだった。
「むうう、儂の年越し蕎麦はどうなるのかのう……」