なでこモノポリー  
 
夏休み。  
千石の家で二人でツイスターゲームを終えて一息ついた所。  
僕は、千石と二人で次に何をして遊ぼうかと思索を巡らせていた。  
 
001  
 
「じゃあ暦お兄ちゃん、次はモノポリーだよっ!」  
「わかった…わかったから」  
だからせめて間接痛が治まるまで休憩させてくれよ。  
こんなにハードだったのか、ツイスターゲーム。  
テンション上がるぅ↑な千石は顔を息を荒げ真っ赤にして続ける。  
「駄目だよ暦お兄ちゃん!戦士に休息は許されないんだよ!」  
「僕は戦士じゃねぇよ!」  
「戦死?駄目だよ暦お兄ちゃんは撫子の…アレを持ってれば…」  
「ちょっと待て千石!アレってアレか!?アレの毛なのか!?」  
昔からよく言われている話。  
想い人のアレは、最高の弾除けのお守りとして、古今東西で重宝されてきた。  
つまり僕は既に千石のアレを所持しているというのか!?  
やべぇ!スキル「怪盗」発動!  
確かにツイスターゲームで手やら足やら背中やらにふにふにした発達途上の双房  
が触れたりしたが、それだけで最高の弾避けを手に入れるとは!  
もう、来週からホチキスの針も恐くない(一応弾だしね)!  
「タマ…?暦お兄ちゃんの玉なら、撫子貰ってもいいなぁ」  
「お前は僕を二丁目に送り込む気か!」  
ラギ子でぇ〜す。  
…駄目だ、吐き気がしてきた。  
 
「それと千石、モノポリーなんて花札と並んで子供がやるべきことじゃないんだ  
ぞ」  
「撫子はもう子供……だから、暦お兄ちゃんが大人にしてくれたら遊んでくれる  
の?」  
「お前の大人子供の基準はそれなのか!?」  
まあ、あながち間違ってない気もするが。  
これだから火憐いわく僕は「いつまで経っても子供」なのだろうか。  
「あながち?穴でガチって…」  
「違う!断じて僕はそんな趣味を持ち合わせていない!」  
「…米倉さん!」  
「誰だよそいつ!」  
ちなみに、米倉=棒兄貴。  
「おとなの階段のーぼるー」  
「いや歌わなくていいから!」  
しかもおもいっきり音ズレしてる!  
 
「話を戻そう千石、『モノポリー』って、どういう意味の単語か知ってるか?」  
「…ポリゴン?」  
「でんのうせんしかよ!」  
ちなみに、「ギラティナと氷空の花束シェイミ」でも同様の演出が使われている  
のでお気をつけ下さい。  
「『独占』って意味だ、千石。」  
 
モノポリー。  
英:monopoly  
意味:独占、専売、独り占め  
 
そもそもこのモノポリーというゲームは、アメリカの経済大学の教授やら学生や  
らが政治・経済の勉強の為に制作したもので、1935年に製品として販売される前  
でで30年の歴史があったといわれる。  
通常の双六と違い明確なゴールという場所がなく、マス目上の不動産を取引し、  
他のプレイヤーを破産させる事が最終到達点である(以上、羽川談)。  
 
「独…占?」  
「そうだ、独占だ」  
「暦お兄ちゃんを独り占めしていいの!?」  
「そういう意味じゃない!」  
独占禁止法。  
「でも…今なら撫子、暦お兄ちゃんを独り占め出来そうな気がする」  
「へえ、どうやって?」  
千石が「独り占め」なんて強い言葉を放つとは、大分積極的になってきた気がす  
る。  
よく覚えてないが、昔の千石と比べて芯が見えてきた気がする。  
「あのね、独り占めはね……」  
「うんうん」  
興味深く見えるように頷く。  
 
 
「―――こうやって、するの」  
 
 
002  
 
そんなこんなでモノポリーでは僕が大破産という惨々たる結果に終わり、夕暮れ  
時になってしまったので家に帰ることにした。  
僕の家の玄関まで千石が送ってくれたが、千石はずっと何か言いたげな表情を崩  
さなかった。  
結局、何を言いたかったのだろうか。  
思春期の女の子の心は、わからないものなのである。  
まあそもそも、相手の心がわかる、なんて事が幻想だ。  
仮にわかったとしても、それは自分の考えで理解したのであって、当事者の考え  
で解したわけではない。  
自分の心の考えを、万能に思うべきではないのだ。  
 
まあ、今日一日を一言で表せるなんて厚かましいことを思っている訳ではないが  
、もしそうするとしたら、この一言に尽きるだろう。  
 
――千石の唇は、柔らかかった。  
 
 
003  
 
後日談というか、今回のオチ。  
次の日は祝日だと言うのに朝早くから二人の妹たちにたたき起こされた僕は、1階  
のリビングで小さい方の妹と共に朝食をとっていた。  
「ねぇお兄ちゃん」  
「どうした月火ちゃん」  
「昨日、せんちゃんと遊んだんだよね?」  
「……ああ」  
「ふーん…………ふふ」  
何だ、そのさも訳ありげな口元は。  
何か悪事を考えてそうな表情は。  
べ、別にやましい事なんてないからな!  
千石と人生ゲームやって結婚の話で盛り上がって続いてツイスターゲームやって  
やたらと柔らかいモノがいろんな所に触れたり最後にモノポリーでちゅっちゅさ  
れたりしただけで、法律に反する行為なんて一切働いてないからな!  
……多分。  
「さっきせんちゃんから電話があったんだ」  
「へ、へえ」  
焦る。  
少し焦る。  
どうして月火に情報を与えたんだ千石。  
月火に情報なんて、猫に鰹節与えるようなモノじゃあないか。  
にゃんこい。  
 
「『昨日は本当に楽しかった』だって」  
「そ、そうなんだ…」  
「特にモノポリーが」  
「!」  
まずい。  
何だかまずい。  
直感が、危険を告げている。  
根拠はないが、これ以上は危険な気がする。  
 
「せんちゃんが『いっぱいちゅっちゅ出来て楽しかったよ、あなた』だって」  
「ごめんなさ――――――い!」  
いつの間にか僕は椅子から離れ、地に跪き、床に顔面からちゅっちゅしていた。  
土下座の、形だった。  
 
「へぇ……」  
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい月火ちゃんだからせめてお命だけは」  
謝る。  
必死で謝る。  
この行動自体が月火を逆上させるという逆の効果をあげていたが、関わらず謝る  
。  
「お兄ちゃんは私や火憐ちゃんのファーストちゅっちゅを奪っただけでは飽き足  
らずにとうとう愛しの妹の友達にまで毒手を伸ばし始めていたなんて知らなかっ  
たよ、逆に褒めちゃう」  
「褒め…ちゃう?」  
「うん、褒めちゃう」  
「褒め…ちゃうのか…」  
 
「うん、『褒め殺す』」  
「助けて―――――――――!」  
 
 

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