ある日のこと。  
ふと思い立って例の学習塾跡に僕は行ってみた。  
理由は……特にない。  
本当に。  
本当にただのきまぐれだったはずなのに。  
それでもあとから思い返してみると、やはりそれは運命だったのだろうか。  
誰もいないはずの教室で僕はその『女性』と出会った。  
ショートの金髪、イマイチ似合ってないアクセサリー、豊満な胸に押し上げられたアロハシャツ。  
「やあ阿良々木くん、久しぶりなのにとんだところを見られちゃったね」  
妖艶な気配のその女性は妖艶な声でそう僕に呼び掛けた。  
が、その口調は紛れもなく。  
「お、忍野……なのか?」  
「うんそうだよ、間違いなく『あの』忍野メメさ。ちょっと外見が変わったけどね。阿良々木くんは変わらないねぇ」  
声は女性だがその口調は明らかに忍野のものだった。  
「な、なんで、その、そんな」  
言葉がうまく出てこない。  
突然の再会と出来事もさることながら、忍野の格好に問題があった。  
アロハシャツのボタンを適当に止めただけの上半身は胸をほとんどさらけ出し、かろうじて大事な部分が隠れてる状態で。  
体毛が一切なくなってるすらりとした脚が惜しげもなく伸ばされて魅せられる。  
僕は気恥ずかしくなって思わず目線を逸らす。  
「おやおや、阿良々木くん、こんな状況だというのにひょっとして君は僕に欲情しちゃったのかい?」  
「そ、そんなわけないだろ!」  
そうだ。いくら外見が綺麗な女性だからって、こいつはあの忍野メメなのだ。  
欲情なんてするはずがない!  
が、忍野はそのにやついた表情を貼り付けたまま一瞬で僕の目の前に移動し、ぐいっと頭をつかんで顔を胸にうずめさせる。  
「わっ、ぷ……な、何を!?」  
「いいんだよ阿良々木くん、無理しなくたって」  
ぐいぐいと押し付けられる胸。  
それは完全体忍や羽川に勝るとも劣らない素晴らしい大きさと柔らかさ……って、何を解説してるんだ僕は!  
慌てて引き離そうとしてもそこは忍野、力では全然太刀打ちができなかった。  
やばい!  
そうしているうちに下半身が勝手に反応してくる。  
忍野は妖艶な笑みを浮かべながら僕の身体を撫で回し始めた…………  
 
 
 

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