「んー? 授業中眠くなったらどうするか?」  
「ああ、羽川ならきっと何か妙案があるだろうと思ってな」  
「勉強中って、眠くなるものなの?」  
「……しまった。そういう奴だったよな、お前って」  
 
「阿良々木先輩から相談を受けるとは、この神原駿河、光栄の至りだ!」  
「で、お前はどうしてるんだ? 学業の方も意外とできるらしいと聞いたが、  
 流石に羽川みたいに勉強中に眠くなる人間の気持ちがわからんレベルじゃあるまい」  
「まあ、そうだな。確かに勉強中眠くなる時はあるぞ」  
「そういう時にはどうするんだ?」  
「カップリングだな」  
「待て。もういい。それ以上言うな」  
「数学の○○が受けというのは鉄板で」  
「言うなと言っている!」  
 
「……千石にこういう事聞くのも何だとは思うんだけどな」  
「お兄ちゃんに相談してもらえて、撫子うれしいな……」  
「で、千石の場合はどうしてるんだ?」  
「眠くなったら寝るよ?」  
「……お前もそういえば成績芳しくなかったっけな」  
 
「………………」  
「なんじゃ、お前様よ。何か聞きたい事でもあるのか?」  
「いや……やっぱいい」  
 
「兄ちゃんに相談されるとは、妹冥利につきるって奴だな!」  
「……なんで僕から相談されるのが嬉しい奴がこんなにいるんだ」  
「なんだ、兄ちゃん? 他の奴にも相談したのか?」  
「ああ、まあ、こういうのってあんまり親兄弟とかには聞きづらいだろ」  
「そういうもんかな」  
「そういうもんだ。で、お前は眠くなったらどうしてる?」  
「気合だー!」  
「アニマル浜口かよ!?」  
 
「……で、最終的に月火ちゃんの所に来たわけだ」  
「最後にって所が気にくわないけど……まあいいよ」  
「で、どうしてる?」  
「眠くなったら」  
「眠くなったら?」  
「寝るでしょ、普通」  
「なるほど、確かにお前は僕の妹であり、千石の親友だな……」  
 
「……しっかし、どうしたもんかな。対して妙案が得られたわけじゃないが、一先ず八九寺に」  
「阿良々木君」  
「……な、何かな、戦場ヶ原?」  
「あなたは……私に、相談事が、できない、と?」  
「……いや、だって……お前の場合、どう言うかわかっちゃうから……というか、鋏をしまってくれ。  
 僕の両目を的確に狙っている鋏をだ!」  
「そんなの、相談を受けてみないとわからないわ」  
「……じゃあ、聞くけどさ……お前、勉強中眠くなったらどうしてる?」  
「なあに? そんな簡単な話?」  
「何か妙案があるか?」  
「簡単な事ね。これを使いなさい、阿良々木君。私愛用のコンパスよ」  
「やっぱりそうですよねわかってました!」  
「ちなみに、私はこれを愛用してはいるけれど、自分で自分に突き立てた事はないわ」  
「よく考えると怖くなる発言をさらっとするなっ!」  
 
「とまあ、そんな感じだったよ……」  
「コニャニャチワわさん」  
「僕の名前をタリラリランみたいに言うな。僕の名前は阿良々木だ」  
「失礼、略しますが」  
「省略されたっ!?」  
「本当に阿良々木さんの周りには、素敵な方が集まっていますね……」  
「ああ、僕もそう思うよ……」  
 
 
 
 

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