自慢ではないが、僕は自慢ではないが、僕は集中力とゆうものに関してはさほど悪くはないほうだ。
しかし、終始背後から漏れるような笑い声を聞かされていては気にするなと言うほうが無理である。
目の前の問題集を幾らにらめつけても内容が入ってこないのは自分の頭の悪さが原因とは思いたくは
ないので、ベットの上でくすみ笑いを続けてる金髪の少女に責任を追及してみた。
「忍、そうゆうことはもっと別のとこでやってくれ」
ベットの上に横になりながら本棚の文庫本を読み漁ってる吸血鬼はこちらを振り向きもせず言葉を返す。
「何じゃ主様は儂が近くにいるのが嫌なのかえ?これはずいぶんと嫌われたものだの、しょせんヒトとアヤカシ
は分かり合えない存在とゆうことかのう」
「だれもそんな壮大な話はしてねえよ、僕は勉強するときぐらい邪魔しないでくれと言ってるんだ」
「なら気にすることはない、読み書き計算ができれば人生どうとでもなる・・・・と人間社会からあぶれて
世捨て人になったような男が言っておったぞ」
「えっ、それ絶対に参考にできないよね?」
おそらく忍野のことであろうが浮浪者と霊能力者が混合してるような人生はあまり進みたくはない。
「僕には一応、成績を上げて戦場ヶ原と同じ大学に進み、今みたいな怪異密着型の流血青春ライフではなく、かわい い彼女とイチャイチャ大学ライフを送るとゆう目標があるんだ」
「う〜む、いい感じに不純な動機じゃの」
呆れたような声を出す忍。
「しかし、主どのは本当にあの娘と共に歩みたいのかえ?もっとマシな女が周りにいると思うのじゃが」
「僕は八九寺以外の子供に手を出す気にはならないよ」
「安心せい、もともとわし等は運命共同体みたいなもんじゃ、常に影となりて貴様に付いてゆこうぞ」
いきなり明るい未来に影を射さないでほしい。
僕の苦渋の顔を見ながらニヤニヤしている忍だったが、すぐに目を見据え、真剣な口調で話しを続けた。
「先の長くなる付き合いだからこの際言わせて貰うが、儂はあの娘が主殿に相応しいとは思えないのじゃ。」
忍の意外な言葉に即座に返答が出なかった。彼女が人間自体を疎んでいるなら理解できるが、戦場ヶ原とゆう個人をよく思ってないとは考えもしなかった。
思考が上手く回らないのかやっと口に出たのは捻りも何もない、頭の悪そうな返しだけだった。
「なぜそう思う?」
「自分が持つべき荷物を他の者に持たせておいてその事実を忘却しようとするような心の弱き者は好かん、そんなの は甘えでしかない」
「言っている意味がよく分からない」
「主殿に蟹の重しが憑いておる、それは気づいておるじゃろ?」
―――たしかに僕には戦場ヶ原の怪異に関わった影響で重しが憑いていた。
しかし、それはあの騒動を解決後に生まれたほんのおまけだ。いいかげんな神様が残していった迷惑な置き土産。
それだけのはず。
「怪異は単純じゃがいい加減ではない、どんな現象にも原因となる物が存在する・・・主は今もあの娘の重みとなるのを背負っておる」
僕の考えを読み取ったかのように忍が言い放つ。
「あやつ自身が記憶にも残したくないほど重いやつをな」