ジーがいた。  
 
いや、"ごき"げんようおひさし"ぶり"なアレではない。  
どうやら目の前の光景に混乱しててこの状況を言語化できてないらしい。  
 
爺がいた。  
 
いや、別におじいさんが出てきた訳でもない。  
どうやら僕の頭は起きぬけのせいかまだうまく働いていないようだった。  
 
自慰がいた。  
 
うん、だいぶ正解に近付いてきたがこれでも目の前の状況をうまく説明できていない。  
ようやく頭が正常な活動をし始めてきたようで、足りない単語を補って状況説明すると。  
 
目が覚めたら、全裸で僕に跨って、自慰行為をしている、大きい妹の、阿良々木火憐が、いた。  
 
…………『自慰がいた』って主語やら何やらが全部省略されてて全く意味伝わらなかったな。  
そんな意味もない反省をし、なぜか自慰行為に耽っている妹に声をかける。  
 
「か、火憐ちゃん?」  
「に、にぃひゃぁん……ぁ、ん……」  
 
やべえ声エロい、僕の妹って世界一エロいんじゃね?  
なんて錯覚に陥ってると火憐ちゃんが声をかけてきた。  
 
「ココ……兄ちゃんのこと、考えて、るとっ、切ないの……」  
 
僕に話しかけてくる火憐ちゃんは女性器を弄っている手を止める気配がない。  
目は歯磨きの時よりもトロンとしていて、口からはだらしなく涎がでてて、下の口なんて表現されたりする部分からも何か液体が出ていて。  
僕にまたがってしているせいか、パジャマのズボンに分泌液が垂れており、非常に扇情的な光景だった。  
 
「だ、だから、にいひゃん、見ながら、しようと、ん、思って、はぁん……」  
「待つんだ火憐ちゃん、その結論はおかしい、そもそも最初からおかしい!」  
「待た、ないよ……いんや、待てない……まだ、イけて、ぁ、ない」  
「イくなよ!? 僕の上でイくなよ!?」  
「イっちゃ、ダメ、なんだな」ニヤリ  
「いや、ダチョウ倶楽部のフリじゃないから! パジャマ汚れちゃうだろ!」  
「もぉ、汚れ、てん、めん、じゃん」  
「何故中華料理によく使われる調味料の名前を言った!?」  
 
甜麺醤。  
辛すぎるのが苦手な僕は、豆板醤控えめの甜麺醤多めの麻婆豆腐が好みだ。  
某天使とかあんな辛そうな色の食って大丈夫なのか?  
 
「ぁ、も、だめ……ぃ、ぁぁ、ん」  
「おい降りろ! 僕の上から降りろと言うかそ行為を止めろ!」  
「だいじょ、ぉぶ……もぉ、イく、から」  
「おい、やめ」  
「ぁぁぁぁ兄ちゃぁん! い、イくぅぅ!!」  
 
絶頂した妹に、潮を吹きかけられる、男子高校生が、そこにいた。  
なんだそのエロゲみたいな状況にいるヤツは、そんなのぶっちゃけありえないだろ。  
まぁ現実逃避したところで僕の事なんだけど。  
 
〜〜〜  
 
「で、なんでこんなことしたんだ?」  
 
とりあえずイった妹をほったらかしにする訳にもいかず、服を着させ自分も着替えたところで事情聴取を開始した。  
 
「いやさ兄ちゃん」  
「なんだ」  
「朝早く起きるとするじゃん?」  
「おぉ、朝早く起きたとしよう」  
「男子だったら朝勃ちしてんじゃん?」  
「まあ男なら生理現象としてありうる話だな」  
「同じように女子だったら濡れてたりする時もあるんだよ」  
「そんな話は初耳だがきっとそれはお前だけだと思う」  
「いや、神原先生だってそう言ってたし皆そうなんじゃねえの?」  
「アイツを一般女子と同じ扱いをするな。アイツは変態だ」  
 
神原と火憐ちゃんはあまり付き合わせない方が良いかもしれない。  
このままだと妹がどんどん変態になって行きそうだ。  
 
「まぁ神原先生の話が嘘か真かはともかく、あたしは濡れてたんだ」  
「今朝は早起きしたから興奮して濡れていたと」  
「そうだ、さすが兄ちゃん理解が早い」  
「お前に褒められても全く嬉しくないがな」  
「で、性欲を処理しようと思って弄ってたんだ」  
「弄ってたんだな」  
「ただ弄っててもイけないから兄ちゃんの事考えてしたんだ」  
「なんで彼氏じゃないんだ、端鳥くんとか言う彼氏が居るだろ」  
「ん? 別れたよ? あたしが好きなのは兄ちゃんだけだって気付いたし」  
「怖い! 妹の愛情が怖いっ!」  
「まぁ兄ちゃんの事考えてオ○ニーしてたら兄ちゃんの顔が見たくなって」  
「いまさら伏字使っても遅いぞ、僕のモノローグでばっちり自慰と表現したから」  
「兄ちゃんの部屋に忍び込んで兄ちゃんを見ながらしてイったってワケ」  
 
さて、どうしたものか?  
僕の妹は実の兄に欲情する変態だったようだ。  
兄の方が変態だろう、と突っ込みをする声が聞こえたような気がしないでもないが、そこは置いといて。  
仮にこんなことがまた起こったら勢い余って襲いかねない。  
歯磨きの時も月火ちゃんが来なかったら一線を越えてたかもしれないし。  
さて、どうにかして「襲っても良いよ」うん、僕のモノローグに妹の声が混ざったような気がするが気のせいだ。  
さて、どうにかして「だから襲っていいってば」うん、またも僕のモノローグに妹の声が混ざった気がするが気のせいだろう。  
さて、「だから襲えよ兄ちゃん」うん、今度はモノローグに混ざるタイミングが早かった気がする。  
 
「火憐ちゃん、僕はいま考え事してるんだ」  
「だから『襲っても良いよ』って助言をだな」  
「なんで僕のモノローグが読めるんだよお前は」  
「そんなの当然だろ? 誰だってできるぜ?」  
「普通はそんな能力はない」  
 
…………ないよな?  
なんか僕の周りでは普通にそういうこと出来る奴が居る気がする、羽川とか。  
 
「それじゃあれだ、あたしが兄ちゃんのこと好きだからだ、あたしは兄ちゃんの事なら何でも知ってる」  
「そこはかとなくヤンデレのにおいがするんだが!?」  
 
僕はなぁ! クーデレでもヤンデレでもはたまたツンデレでもなくデレっデレが良いんだよ!  
デレたガハラさんの可愛さをいつの日か講談社BOX1冊分くらい語り明かしたい気持ちなんだ!  
 
「兄ちゃんがデレデレな女の人が好きなのも知ってる」  
「馬鹿な!? 僕の思考がダダ漏れだと!?」  
「さっきのあたしをみて『世界一エロいんじゃね』って思ったのも知ってる」  
「なんだと! ホントに僕の思考が全部漏れている!?」  
「で、また同じようなことになったら襲いたいと思ったことも知ってる」  
「思ってないぞ!? 襲い『かねない』と思ったのであって襲い『たい』とは思ってないからな!?」  
 
襲いかねないと襲いたいとでは天地ほど差があるだろ!  
そこんとこ間違えられちゃ困るんだよ!  
 
「だから今からオ○ニーをして兄ちゃんに襲わせて既成事実を作るっ!」  
「今更伏せても遅いって言っただろぉが! それに僕は妹としっぽりするつもりはない!」  
 
いや、襲いかねないと考えてしまった手前、全く説得力の無い台詞なんだけどな。  
 
「じゃあアレだ! あたしが兄ちゃんを襲って既成事実を作るっっ!!」  
「逆レイプ!?」  
 
そうツッコんだ(火憐ちゃんの発言にツッコミをしたのであって性的な意味合いではない)僕は見た、否、見てしまった。  
火憐ちゃんがコンドームを開けているのを。  
いや、それだけだったらまだ良いんだ、それを自分の指につけ始めやがった。  
 
「火憐ちゃんは一体何してんだ!?」  
「いや、兄ちゃんに襲わせて処女やるのが無理なら兄ちゃんを襲って処女貰おうと思って」  
 
それはつまりなんだ僕のお尻の穴に指入れようってのか!?  
既成事実ってセックスの事じゃなくて僕の処女喪失の事なのか!?  
 
「大丈夫だ兄ちゃん、いきなり本番じゃ痛いだろうからまずは指で慣らしてからにするよ」  
 
まずはってなんだよ!? なんて発言をする前に僕の視覚がとらえたのは……バ○ブ。  
一体どこから取り出したのだろう、いつの間にか火憐ちゃんの左手にはバ○ブが握られていた。  
すごく…………おおきいです…………じゃなくて!  
 
「ちょ、ちょっと待ってくれ、火憐ちゃん」  
「ふっふっふ……さぁ、観念しな兄ちゃん」  
 
ちょ、ほんきで、いや、ま、まてってば………………アッ―――――――――――――!!!  
 

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