「それはつまり、私に妹キャラとして新境地を開け、という誘い水なのかしら」
「どうしてそうなるんだよ!」
「あらあら木君は、私が妹キャラになるのは気に入らないのかしら?」
「僕の名前をどこかのおばちゃんがよくいいそうな感じに間違えるな! っていうかそれは他人の芸風だろ!?」
「失礼、噛みました」
「違う。わざとだ」
「かみまみた」
「棒読みだー!?」
「そうね、この調子で……おにいちゃん」
「やっぱり棒読みだからさっぱり妹に思えない!」
「アニキ」
「全然ボーイッシュな妹っぽくない!」
「なら、これはどうかしら? ……おにいさま」
「すごくクールな出来る妹っぽい! 棒読みを逆手に取るだとっ!?」
「そういえば、妹に成り切る過程でふと思ったのだけれど」
「なりきってアレかよ……。で、なんだ?」
「将来的に私が阿良々木ひたぎになった場合、妹さん達は私の事をどう呼んでくれるのかしら?」
「ああ……そりゃ、お義姉さん、とかじゃないのか?」
「……違う意味で引っかかっているわね、阿良々木君」
「え? 何だ? 何か罠が仕掛けられていたのか?」
「阿良々木君も、全く違和感を覚える事もなく、私が阿良々木ひたぎになった所を想像してくれた、という事実に、
私は今猛烈に感動しているのよ」
「っ!? ……そ、そりゃ……だって、その、な?」
「私は今猛烈に感動しているっ」
「なんで星飛雄馬っぽく言い直すんだよ!」
「来週も、面白かっこいいぜ」
「なんでそこに飛ぶのか誰もわからねえだろ!?」
「……本当に、嬉しい」
「いきなりシリアスに戻るなよ! なんか、照れの度合いが倍くらいになるだろうが!」
「照れてる阿良々木君も……カッコいいわ」
「だぁかぁらぁ! ……ま、まあ……お前がそう言ってくれるのは僕も嬉しいけど、な」
「ふっ、ちょろいわね」
「僕の感動を返せや!」
「ジョークよ、冗句。ひたぎさんジョーク」
「どう考えても黒いよな、真っ黒だよな、そのジョーク……」
終わり