「そうね。雑談と書いて、エロパロとルビをふっておけば、何の問題もないわね」
「問題ないのかよ」
「ええ、問題ないわ。問題大無しよ」
「問題大ありみたいに言うなよ」
「阿良々木君は能無しであるが故に、問題大ありなのだけれど」
「息を吸うように僕への罵倒に移行しただとっ!?」
「むしろ脳無しと表記すべきかしら。私と羽川さm……羽川さんがつきっきりで
個人授業して、それでも何もできないのだもの」
「なんだよ。お前らから与えられてるノルマは、着実に達成してるだろ? この前の
テストでも、ちゃんと三十番以内に入ったじゃないか」
「私と羽川さんという稀代の美女二人ががつきっきりなのに、今までエロい事が何も
できていないじゃない」
「そこは僕の自制心をホメる所じゃないのか!?」
「いいえ、それは自制心などという高等な人間の備える機能故の物ではなく、脳が無い
が故に当たり前の反応ができないものだと考えるべきだわ。脊髄だけで生きていると
いう噂は本当だったのね、阿良々木君」
「誰だよそんな噂吹聴してるのは……って、お前しかいないよな?」
「あら、これは私が吹聴したものではないわ」
「……じゃあ誰だよ」
「ブラック戦場ヶ原さんがおっしゃっていたことよ」
「これ以上黒くなるとか想像したくもねえよっ!」
「一度洗えば驚きの黒さに」
「汚してるだけだ!」
「すまねえな、お美代。こんなに黒くさせちまって」
「おとっつぁんどれだけ苦労させたんだよ!?」
「真面目な話、私としてはそういった展開を期待していた下心が、無きにしも非ず
だったりしたのだけれど……全く無かったわね。エロどころか、キスの一つすら」
「……全然そんなふうには見えなかったが」
「だって、そういう名目でも無ければ、デートしましょうとか言わない限り、阿良々木君
と学校以外で二人きりになる事ができないんですもの。でも、私真面目だから、
そういう名目だとついつい真面目に阿良々木君に勉強教えちゃうのよね。
まったく、どうしたものかしら」
「素直に言えよ、デートしたいって! 否応もなくオッケーなんだから! あと、お前が
真面目だという点にはちょっとばかり異」
「異議は却下」
「最後まで言わせすらしねえ!」
「つまり、阿良々木君は……デートをしてもいい。むしろしたい。超したい。そういう事かしら」
「そ、そりゃ……したい、さ。僕だって、お前と二人きりで……まあ、その、いい雰囲気になれたら
いいな、とか、思ってないわけじゃないし」
「腸死体と言うと、いつぞやの阿良々木君の姿を思い出すわね」
「いい雰囲気とか腸無理だよな!? 端からその気なくね!?」
「では、阿良々木君が望むのならば仕方がないわね。別に私はデートに行きたい
わけではなくて、ただ阿良々木君と二人きりで過ごせたらそれでいいのだけれど、
阿良々木君がデートに行きたいという希望を申し出てしまった以上、彼女である
私にはそれを実現しなければならない責任という物ができてしまったわけだから、
そうね、仕方がないわね。本当に仕方がないから――行きましょう、デートに」
「……戦場ヶ原」
「あら、何かしら?」
「お前って、ホント素直じゃないよな」
「あら、もう知っていたと思うのだけれど……貴方の彼女は、面倒くさい処女よ?」
「だから好きなんだけどな」
「つまり……阿良々木君は私の処女膜だけが目当ての変態という事に?」
「ならねえよ!?」
「ふふ。冗談よ」
「毎度の事だが、冗談は冗談言う顔で言ってくれ……」
「阿良々木君が、最高のデートプランでもてなしてくれたら、考えておくわ」
「……な、難易度高いな……ま、善処するよ」
つづかない