「む、なんで主様が死にかかってるんじゃ?軟弱じゃのう。しょうがない」
突然現れた金髪金瞳の幼女は、暦の首に噛み付いた。
「あ、あなたいったい?」
さすがの戦場ヶ原も戸惑いを隠せないようだった。
駿河はというと萎えない暦を体内に入れたまま放心している。
「うおおおおおおお!し、忍!?」
そして暦は生き返る。素晴らしきは吸血鬼の不死である。
「主様に死なれては困るのじゃ。勝手に死ぬでない」
「あ、ああ。……ごめん忍」
「儂はもう寝る」
そういうと、忍は手を小さな口に当て、眠そうに欠伸をしつつ消えて行く。
その時、阿良々木暦の中で激震が走った。
心臓が早鐘を打ち、全身が燃えるように熱くなる。力を失いつつあった暦の如意棒は、駿河の中で今まで以上に力強くなっている。
「っカッ!」
「阿良々木くんっ!?」
突如様子のおかしくなった暦に戦場ヶ原は慌てて駆け寄った。
ちなみに駿河はまた腰を緩やかに、まるでそういう自動機械のように動かしはじめた。
言わば逆乗馬マシーン。
「そうじゃ、主様。もう主様がヤられ負けぬよう、性欲だけを吸血鬼レベルにしておいた。
魅了の一種だと思ってくれればよい。では、おやすみじゃ」
それが、忍の捨て台詞だった。