「あなたが何を考えているのか分かりません」  
彼女は、黒色の髪をした人類最知の少女はぼくにそう告げた。  
そんなの、ぼく自身が分かっていないのに、なぜ他人である彼女が分かると言うのだろうか。  
青色の髪をしたサヴァンの聖少女でも、赤色の髪をした人類最強の請負人ですら、橙色の髪をした最終存在でさえも、分からなかったと言うのに。  
それでも、彼女は、続ける。  
「あなたがたとえ世界中の全員に理解されず、世界そのものに理解されなくても……  
私だけは、あなたのことを理解してみせます。」  
 
そうしてぼくは目を覚ます。いつものように、朝を迎える。  
さあ、それじゃあ妄想の物語だ。  
いつものように、いつもよりなお、  
気楽にくだけ、気負わず背負わず、書いてみよう。  
萌えるべきキャラなんて既に死んでいても、それでも、設定は存在するのだから。  
 
萩原子荻。  
ある事件によって、公式的に亡くなったことにされている。  
彼女が死ぬ瞬間を、彼女がばらばらのジグザグにされた、その瞬間をぼく自身が視認している。  
それに、人類最強のあの人もそれを確認しているから、彼女は死んだのだ。  
決して蘇ることは無く、ぼくの前に彼女が現れることはない──はずだった。  
だけど彼女はぼくの前に現れた、生前と変わらぬ黒髪に生前より大きくなった胸と共に。  
 
 
さて、何故彼女が生きているのかと言えば少し長くなるので省略して、彼女はぼくの家に突然現れた。  
一応年頃の女の子なので追い返すわけにはいかず、かと言って僕の部屋に泊めるには問題が有ったため空き部屋の一つに泊まるよう進めた。  
彼女はソレを快諾したが、寝る時以外はぼくの部屋に現れては食事を作ったり部屋の片付け(と言っても片付けるほどの物が無いのだが)をしてくれていた。  
時折、屋根裏から刺さるような視線を感じるのは気のせいだと思いたい。  
ステーキ、鰻丼、スッポン鍋、ステーキ、トロロご飯、柳川鍋、ステーキ、牡蠣フライ、以上が一昨日の朝食から今日の昼食までのメニューである。  
食費としてソレほど大きな額は渡していないはずなのにコレだけの物を用意できるのは買い物上手な証拠なんだろうけど、朝からニンニクがたっぷり利いたステーキはいささか問題があるのではないだろうか?  
それに彼女が他に料理を作れないわけではない、現に彼女自身は違う料理を作って食べていた。  
ただ、今はそんなことを考えている状況では─  
「聞いてますか?」  
「あ、うん。昨今のツンデレはツンデレじゃない、だよね?」  
「そう、××××とか○○○○の様に狙って作られたツンデレは──」  
そんな感じで『萌え』について熱弁を振るわれていた。  
また「あの人も全然分かってませんでした」、と時々口にしていたが  
「風の噂ではもう居なくなってしまったそうですけど」と、一度だけ寂しそうな様子で洩らしていた。  
その人物と「一緒に筍を掘った」ことがあるらしいが、その際に意気投合したらしい。  
彼女はそんな調子で延々と2時間、一口だけしか飲んでいないはずの日本酒に酔い、愚痴っていた。  
とは言っても話がループしていることのに気が付いたのはついさっきだった。  
「あの人は萌を誤解しています!」  
彼女は荒々しく、ドン!っと机を叩いた。  
ぼくはただうなずいていることしか出来なかった。  
 

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