しのぶホール  
 
「うーむ」  
勉強机に向かって早くも一時間。今一歩集中力が出ないまま夕方になりそうな時  
突然に足元から大きな音が響く。  
「ぱないの!」  
何故だかドヤ顔の幼女吸血鬼が頭だけ床から出していた。  
「意味わからねえよ」  
「なんじゃ驚いておらぬのか」  
突然ではあるが、大の大人である十八歳の高校生を叫んで驚かせようとは人生を舐めすぎだ。  
まあお化け屋敷のお化け提灯を見習い足を舐めたり、ホラー映画を見終わった後  
すぐ足元から叫ばれたら驚いていたかもしれないが。  
これはこれでそんな事されようもんなら思わず幼女を足蹴にしてしまう  
光景が写って僕の沽券が下がりかねないので遠慮してほしい。  
「小学生を無意識に誘拐するおまえ様の沽券などとっくにありゃせんわい」  
「心の声につっこむな。突然なんなんだ」  
驚かなかったのが不満らしく、少し頬を膨らませて頭だけの忍が影に沿って椅子の周りを回りだす。  
生首が動いてるみたいでなんだか怖い。  
「おまえ様を驚かせるとじゃな、儂も胸の辺りが縮み上がって面白いのじゃ。驚かせて驚いて二倍おいしいぞ」  
わかるようなわからないような返事。驚いて喜ぶのが微妙にMっぽくはあるのだけれど。  
「まあいいや。勉強してるから後でな」  
あまり進んでいないが成果が出ないまま終わるのも面白くないしな。  
「邪険にするでない。そろそろじゃろう。ミスタードーナツに行くにはいい日じゃ」  
あー、言われてみれば忍と前に行ってから、もう一ヶ月ぐらい経つのか。  
そう思うとあっさりと前言を翻して椅子から立ち上がる。  
当然勉強するのが面倒になってきた、わけではなく忍との約束が大事だからだ。  
 
「用意するから忍も影から出ろよ」  
そう言うと忍は目を光らせてすーっと音もなく影から身体を覗かせた――――  
わけでもなく、じたばたと首を振ったり俯いてみたり回ってみたり頭の登頂まで沈んでみたり  
首が半ば床というか影に埋まったままひとしきり暴れてから顔をあげ  
「これ以上出れぬようじゃ」  
と、わりととんでもない事を言い出した。  
「ど、ど、どうすんだよ!」  
「慌てるでない。少々おまえ様の血が減っておって力が出ないだけじゃな。影の中で身体が安定しておる」  
「血飲めばいいってことだな。抱く――のは無理だから僕が寝そべれば吸えるだろ」  
横になろうとすると忍は首を振る。  
「今日のメインディッシュはドーナツでお前様の血はデザートにしたいから今は吸いとうない」  
と、もっととんでもない事を言い出しやがる。  
「おまえには吸血鬼としてのプライドはないのか!」  
「プライドは置いてきた。ミスドにはついていけそうにないからのう」  
「プライド弱いな!」  
ドーナツ以下のプライドって弱いとか安いってレベルじゃねえよ。それに伴って僕の血の価値も  
ストップ安で下がってしまいそう。落ち込みそうな僕を尻目に忍が偉そうに指図してくる。  
「あるじ様よ歩いてみるがよい」  
言われた通り部屋を歩き回ると僕の影に引っ張られるように忍もついてきた。  
スムーズな動きは水面を流れゆく舟のよう。  
「問題ないようじゃな。行こうかの」  
「問題あるわ!生首連れて外歩けるか!」  
金髪幼女の頭を足元にくっつけてる男子高校生がいたら通報じゃ済まねえよ!  
「日常に潜む非日常に佇むあるじ様と言ったとこじゃのう」  
 
かっこよく言ってもそこらを闊歩してたら怪奇人物だ。そんな奴見かけたら僕でも逃げるよ。  
「それにだ。自転車にしろ歩きにしろ地面と変わらない位置に顔があったら砂やら小石やらで危ないぞ」  
首だけでミスドに入店しても食べれないしな。  
「ふむ、駄目かの。んぅ……?」  
くんくんと匂いを嗅いで上を向く。  
「それはともかく先ほどから気になっておったのじゃが机の上から漂う匂いはなんじゃ?」  
「カ□リーメイトだよ。ドーナツの代わりでいいなら食べるか?」  
食べかけでブロック状の形が崩れているのをしゃがみこんで差し出すと  
腹が減っているのか忍はかぶりついた。  
もふもふと口が動いてごくりと飲み込み一言。  
「微妙じゃ」  
まずいってわけでもないが、お菓子のドーナツと比べればそりゃそうだ。  
バランス栄養食であって、時間が無い時にでもさくっと食べて腹を誤魔化す、そんな程度の食品だろう。わりと好きだけどさ。  
「一応もう一つ頂こうかの。あ、ついでにお茶も頼むぞ」  
足元から偉そうに頼む忍へしょうがなくブロックの残り、ちなみにメープル味とペッドボトルのお茶を差し出す。  
ブロックを噛み砕いて飲み込ませ、お茶を傾けて飲ませてやって、視点の低さと相まって子犬に餌をやっているみたいだ。  
っていうか見た目は生首幼女に餌やってる時点でどこか猟奇的光景にだろうなあ。  
なんだかんだと、むしゃむしゃ、ごくごくとブロック三つ分とお茶を空にするまで飲み干してしまった。  
「まあまあじゃった」  
「僕の分まで食べてその台詞か」  
傲岸不遜とはお前みたいのを言うのだろう。まあいいけどさ。  
「ではミスタードーナツに」  
「行くのかよ!いっぱい食べただろうが!」  
「これはオードブルだからメインディッシュが残っておるのじゃ」  
「だから外歩けねえよ!」  
「むむ、しょうがないのう」  
そう言って半眼になって笑うと  
「では、あるじ様の青臭〜い前菜を儂にくれぬかのう」  
と、口を小さいなりに大きく開いて膝立ちになっている僕を見上げた。  
忍の口内はたった今までカロリーメイトを食べていたとは思えないほど綺麗で、白い貝殻を規則正しく  
並べた艶めいてる歯にも、薄紅色の花弁を重ねたかのような舌にも、粉の一つもついてはいない。  
「なんのことだよ」  
「いつもやっておるではないか。精を飲ませてくれれば力が多少戻るので出れるようになるぞ」  
確かに血の代わりにもなるって前に聞いたし、僕の忍に口には言えないような事をしちゃってたり  
逆に忍に口でしてもらったりと、もう色々とやっちゃってる自負はある。あるのだけれど…………  
高さが30cmもないだろう忍の首と頭だけが床にちょこんって感じに置いてあって  
あーんと開かれた口からは舌がチロチロと、そこに収まるであろうモノに触れているかのごとく動いていた。  
いやいやいやいやいや、流石にこれは、流石の僕にだって、流石の僕であろうとも  
この光景はマニアックというか、いっそ悪趣味というか  
人としての境界線を走り幅跳びで世界新出して跳び越えてしまったと思ったら  
実は大気圏にまで飛んでしまっていたかのような慄きを感じてしまう。  
なんだよ、大気圏突破って。吸血鬼どころかガンダムだよ。どのガンダムが突破できるかはよく知らないけど。  
 
「やる気になっておるようじゃの」  
だというのに、ズボンの中にある僕自身は顔だけの忍を見て、いつも気持ちよくしてくれる忍の口内を見て  
条件反射のようになんだか堅く膨らんでいた。うーむ我ながら節操がないというかなんというか。  
「わかったよ」  
とはいえ不承不承という態度を取りつつも、ほんの少し、あくまでもほんのちょっとだけ  
この異様と言ってもいいシチュエーションに僕も心惹かれていた。  
さながらチョウチンアンコウの疑似餌に惹かれた小魚といったとこだろう。忍にアホ毛の一つも欲しいとこだ。  
ズボンの前を開けると忍が嬉しそうに口を大きく開いて舌を伸ばす。  
トランクスをあけ自分でもよくわからないくらい大きくなっているモノを  
窮屈な下着から抜き出すと忍の眼前に近づけると吐息が触れるのがくすぐったい。  
「少し上向いてくれ」  
指示通り見上げる忍の傍らに膝をつけ、忍の頭をボールを持つように支えると  
突き出された舌と口内へ腰を突き入れた。  
「んぐっ……」  
忍の体温が直に伝わってきて滅茶苦茶暖かい。  
小さな吐息が唇から漏れだし、やたらと柔らかい舌を巻き込んで幹の半分ほどが忍の口内へと入り込む。  
ありえないシチュエーションながら、忍の口の中はいつだって気持ちがいい。  
まだ舌を動かしていないのに八歳児相応の窮屈なほど小さくて、そのくせ熱くぬめった咥内は入れているだけで  
やんわりとくるまれ暖かく、円の形をした唇がぴったりと張り付いてなんというかただただ気持ちがいい。  
「うおっ」  
とはいえ忍が咥えたままでいるわけでもなく、濡れた舌が動きだす。  
「うじゅっ……れおっれおっ……んじゅぅっ」  
熱い唾液をまぶされ吸い出されるとさきっぽが搾り出されるような感覚が走ってぞぞぞっと背筋が伸びてしまう。  
思わず支えていた頭に力が入ると柔らかい金髪に指が沈み込んで忍に目だけで笑われてしまった。  
 
むむっ、これは思ったより興奮してるのかもしれない。  
「忍、僕も動いていいか?」  
「ちろっ、ぴちゅる……ひゅきにひゅるがよひ」  
多分好きにするがよいだよな。  
支えていた頭をしっかりと掴みなおしてと、ゆっくり腰を動かし始めた。  
「んっんんっ、じゅぶぶっ、ぴちゃっ……じゅっじゅっじゅじゅ…………」  
サイズに差があるせいで僕のにくっついた上唇が引いた時はアヒルっぽく突き出されて  
押し込んだ時は内側に巻き込まれているのがわかる。  
先ほどより深く入り込んではいるが忍は平気そうに舌を使ってくれているので僕の動きが止まらなかった。  
もっとも止めたくても止めれないと言ったほうが正しいかもしれないが。  
「んぶっ、ぐじゅじゅっ……ずっずずっ!ぶちゅりっ!んおっ、んんっ、ぶちゅちゅっ!」  
腰の動きが早まっているというのに忍の吸い付きは止まらなくて特に抜く時が堪らない。  
元々狭くて小さい喉が真空にでもなっているのかのようべったりと貼りついてきて  
喉肉から引き込む瞬間ぶちゃっとかぐちゃっとか音を立ててその度先端から何か吸い出されそうな感覚が走る。  
影から頭だけしか出ていないのに、それとも頭だけのためか、忍の技巧はいつもより凄すぎて  
腰をひたすらちっちゃな顔へと振ってしまうのが止まらない。  
さながらダイソンだけの変わらない吸引力といったとこだろうかって  
「怖いから歯立てるなよ!」  
「ふぬっひゅうしゅうへい……ちゅるるっ、んぅっ、ぐふぅっ、んんぅっ」  
集中しろってか。地の文読んでるのかもしれないけど考えた瞬間に反応しなくてもいいんではなかろうか。  
まあそれはともかく忍の口内は本当にいい。  
共感覚があるためなのか、僕の動くリズムを完全に把握してやって欲しい所を的確についてくれる。  
頬の内側をぺったりと張り付かせるよう窄ませては摩擦を強めて、止まらない舌の動きは  
気持ちいい所を、引いては忍へダイレクトに伝わっているだろう快楽を参考にしてどんどん強まっている。  
「んふうううんっ!!んううぅぅっ……んぐぅっ……」  
のどちんこの少し奥に引っかかる時ですらぐっちゃぐっちゃと喉肉が纏わりつき  
苦しげな声と涙が浮いた瞳すら快感に繋がってしまう。  
もう止まれるはずもなく、唇から歯茎、舌から喉の奥まで、味わうようにひたすら腰を振ってしまっていた。  
ただただ快楽を得るために忍の中をえぐる僕の姿ははたからみれば滑稽に違いない。  
膝をつき頭だけの忍の口に突き立てては止まらないでいる動作はオナホールだとか、ダッチワイフだとかを  
使用した、使ったことも見た事もないけれど、セックスには見えない不自然な光景なんだと思う。  
 
(あっ……)  
快楽で頭が煮えながらも想像した所で胸の奥がびくっと縮む。  
うーんそういうのはちょっとなー。なんとなく気落ちして腰を引く。  
今の興奮は忍を文字通り使っている事、それこそそういう道具にしてしまっている事に他ならず  
あるじと下僕の関係であったとしても、そういう扱いというか行為を肯定していいとは思わない。  
ぬぬぬと悩んでいると、僕の躊躇を感じ取ったのだろう、忍はじっと見上げながら語りかけてきた。  
「のうあるじ様よ、儂があるじ様と共感覚しておるのはわかっておろう。  
 あるじ様の一物に舌を触れ合わせるとだな、あるじ様の快楽が伝わってきて儂も気持ちいいのじゃ。  
 これは儂とあるじ様にしかありえぬ、儂とあるじ様だけの関係なのじゃぞ?  
 好いた男の感覚が手に取るようわかるのじゃ。女冥利に尽きるというものじゃよ―――」  
だなんて嬉しそうに笑いやがる。  
「じゃから遠慮するな。あるじ様の好きなようにするがよい。  
 儂が受け止めてやろうぞ。そして一緒に気持ちよくなるのじゃ」  
うおお……ストレート過ぎる物言いが感動を通り越して気持ちいいぐらいだ。  
すげー嬉しい。嬉しすぎる。言葉では伝わらない事は色々あるけれど  
言葉で伝えてくれるからこそわかる事もそれ以上にある。見た目が生首幼女ってのはこの際目を瞑ろう。  
「じゃから、早く終わらせてミスドへ行くのじゃ」  
そして至極残念で正直な思いも言葉で伝わるのであった。  
「あーもう、わかったよ。僕も忍が大好きだ。口を犯したくてしょうがないぜ」  
むしろそれが嬉しいのよと言わんばかりに瞳を輝かせる忍。  
「うむ、遠慮せずくるがいい。儂の咥内を好き放題犯して、あるじ様の欲望を注ぎ込んで  
 気持ちよくなって、気持ちよくしてもらって、一緒に楽しもうぞ」  
口をんあーと開くと今度は先ほどまでめったやたらに僕ので突き回され弄られ嬲られていた  
咥内は涎が泡となってぐじゅぐじゅととろめいて光っているのがわかる。  
頷きながら忍の頭を掴むと今度は傍らに跪くのではなく、頭の上に跨って四つんばいになる。  
「忍、もっと上を向いてくれ天井を見るみたいに」  
「んふふ、本気じゃのう」  
察した忍は首を後ろにぐいっと傾けて床と影に後頭部が触れるぐらい真上を向いてくれた。  
「あるじ様のが儂の涎と混ざり合って凄い匂いじゃぞ……」  
身体の下の忍を覗き込むと間近にある僕の物の匂いを嗅いでうっとりとしている。  
「直接味あわせてやるから、ベロを精一杯出してくれ」  
人体構造的に舌を伸ばすと喉が開くのだ。  
逆さまに近い忍と視線が絡み合い早く早くとせがむような瞳の揺らめきに僕の方が耐え切れず  
開かれた忍の唇へと真上から一気に腰を突き落とした!  
 
「っん、ふっ…………!」  
まるで口を圧迫された分の空気が鼻から出たみたいに漏れ出して股間に吹きかかった。  
きつい――――  
当たり前だけど忍の顔の半分近くを覆えるような僕のを、小さすぎる喉に突き刺したのだ。  
見ると唇が棒の根元に触れるか触れないまで近づいていて九割がた飲み込んでいるのがわかる。  
なんだか先端部分が喉の中で床より低い位置にあるようだがそこは気にしない。  
「いくぞ……」  
窮屈さと荒い吐息に舌を動かす返事が交じったのを合図に腕立て伏せをするみたいに  
四つんばいのまま忍の口内へと真上からの抽挿を始めた。  
「じゅば、ちゅぷぅっ……んぅぅっ……んふぅっ……」  
伸ばされたままの舌がべったりと張り付いてきて、上下の動きに合せるよう  
べとべとの唾液が分泌され、忍の口から濁った水音を立ててる。  
腰を押し進めるとのどちんこを通り越した所にある部分が柔らかく纏わりつき  
タイミングよく忍が嚥下してくれるものだから亀頭が締め付けられるのが気持ちよすぎる。  
「ふーっ……んっ、ふーっ……」  
忍を見下ろすと目は開いていて息苦しくはあってもまだ大丈夫そうだ。一応大事をとって  
休憩のために腰を上げておく。  
「ん、ふあっ……みゃだへぇいきじゃぞう……あるじしゃまのもっと欲しいのぉ……んぅっ……」  
呂律が廻っていない忍。ぼぉっと瞳を揺らしてぴちゃぴちゃと僕のに舌を這わせてくる。  
きっと影の中に入ってる身体のほうも凄い事になってそうだ。  
僕のを舐めながらもねっとりと熱い吐息を零す忍をさらに責め立てる。  
「んじゅじゅぅっ……んぐぐぅっ」  
腰の角度を変えて頬の裏側に先端をぐりぐりと押し付けて  
「んゆぅっ!?んちゅぅっ……!んああぅっ……」  
口内天井の堅い所と柔らかい所で扱くよう擦り付けると咥えながらもくすぐったそうに忍は身じろぎする。  
「ごきゅっ、じゅるじゅるぅっ……んぐぐぅっ……ずずっ……」  
ゆっくりと腰を沈めて、喉を割り開く感覚。  
忍は濁った声をあげながらも喉を動かし少しずつ飲み込んでくれるときゅぅっと柔らかく僕のが包まれていた。  
根元まで収まってしまうと唇で強く食まれ幹が締められて、頬が窄んで喉で飲み込まれて  
分泌しつづけてる唾液を巻き込んだまま粘膜と粘膜が摩擦する快楽に酔いしれていた。  
忍の咥内を犯す事だけに集中して、そう作ってある機械かなにかのようにただひたすらに  
ピストンが止まらない。止められない。  
逆さに見える忍の顔が真っ赤になって涙を流しているというのに僕は止まらず、忍のほうも  
感覚が伝わっているためか、喉奥まで突きこまれながらも奉仕を続けてくれる。  
 
正直に言おう。さっきは躊躇していたが忍に許してもらったためだろうか  
この特異すぎるフェラチオというかイラマチオに僕は酷く興奮していた。  
どんな美術品でも敵わないであろう綺麗極まりない忍の身体に触れるのは背徳感と堪らない興奮に襲われるが  
今の状況はそれに加えて動けない忍を自由にしているかのような嗜虐心に囚われてしまっている。  
そのうえ僕と一緒に、それこそ同一の快感を持って忍も悦んでくれているのだ。  
苦しさ混じりの忍の喘ぎを聞きながら、凶暴な何かに駆り立てられて犯す事を止められるはずもなかった。  
「んはあぁっ……ひゃるりぃしゃまぁ……んじゅっ、んぶぶっ……んぐっ!?」  
速度を上げて臨界点に到達した瞬間、腰をぐっと下ろして唇と舌を通り越した喉の一番奥。  
忍の口の中に僕自身を埋めきって全てを放出する!  
「んぉっっ………………!!」  
声なき忍の悲鳴に煽られるようにどくどくと吐き出していくのが恐ろしいほど気持ちいい。  
「んぐぅっ、ごくっ……!んおぉっ、んおぉぅっ……!んぐ……ぐぐぅっっ」  
食道か胃に直接ぶちまけられているにもかかわらず、忍が嚥下を繰り返してくれるたび  
貪欲にどくりどくりと忍の中へと注ぎ込んでいった。  
忍に飲んでもらうのではなく飲ませている征服感と支配感といったらこれ以上のものは言い切れるぐらいだ。  
「はぁ…………」  
やばい……凄いよかった。筋肉痛になりそうなぐらい(ならないんだけどさ)  
足に力が入りすぎてがくがくいっちゃってる。  
忍のほうも金色の瞳が焦点を失ってて、逆さまの唇から涎と先走りが混合された液を  
だらしなく垂れているのに気づいていないぐらいだ。  
僕はやりすぎたと思いながらも射精後の虚脱感を振り払い腰を上げようとしていたら。  
 
「なんかうるさいけど、どうしたのお兄ちゃん?」  
「!?!?!?」  
背後から月火がドアを開けた!!!  
さあ、状況説明!  
場所――僕の部屋!  
登場人物――僕、忍、月火!  
概略――僕(高校三年生)が四つんばいになって忍(見た目八歳・金髪)の生首に跨って  
咥えさせているところを月火(月火)に見られた!  
無理!  
ある意味説明できねえし色々終わってるよ!  
ぎぎぃと首だけを後ろに向けてみると月火は怪訝そうに問いかけてくる。  
「なんで失意体前屈してるの?」  
えーとえーと。聞くところはそこなのか?  
真っ白な頭の中かろうじて頭を働かせて思い当たった。  
多分月火の視点から僕を見ると、太腿で忍の頭は完全に隠れていて  
目立つはずの金髪も真上を向いてるおかげで影にほとんど沈みこんでしまっているようだ。  
吸血鬼の目にはそういう能力は多分ないけれど、きっと「欲視力」を使って確認したとしたら  
ギリギリ忍が見えていないちょうどいい位置なんだろう。  
というか、そうじゃなかったら僕はすでに千枚通されている可能性が高い。  
「あぁ、ちょっと上半身と下半身のバランス悪いから膝立て腕立て伏せしてるんだよ」  
多分、冷静に言えたと思う。言えたと信じたい。  
「ふーん、別にお兄ちゃんの身体変じゃないよね」  
「最近勉強のしすぎで体なまってるからな」  
(忍!影に一時退避してくれ!)  
月火に説明しながら必死で念じていると、密着していた咥内がずるりと言った感じで抜けでて  
そのまま先端を舌で舐められている!?  
「うぉっ!」  
「え?」  
変な声をあげる僕に疑問符を返す月火ちゃん。  
「あ、いやうん、ちょっと筋肉痛みたいだ」  
そういってる間も忍の舌が先端に触れてカリの辺りをゆっくりと丹念にねぶっていく。  
それはいつもやってもらっているお掃除フェラとよく似ていた。  
忍を見下ろすと目は虚ろなまま、そのくせ舌は丁寧に優しくしゃぶってくれていて。  
「なんか音してないかな?」  
「それはね。汗が垂れてるからだよ月火ちゃん」  
射精した後の、傷口みたく敏感になってるところをなぶられ扱かれて。  
「変な匂いもしてるよ」  
「それはね。汗かきすぎて空気が篭ってるからだよ」  
Orzの体勢になってるだけなのに今はもう、冷や汗が止まらない。  
「窓あけよっか」  
「いやいやいや、そろそろ止めるから僕がやるよ」  
部屋に踏み込んでこようとするのを必死にとめた。  
もう強引に忍を隠そうと、立て膝を止めると同時にえいっと腰を押し付けて忍を影に押し込んだ。  
 
「……!」  
僕はきっと一生忘れないだろう。  
潰して影に沈みきる忍の奥まったところにぐりりっと亀頭がはまった瞬間  
恐ろしい事に妹の目の前で、妹の見えない位置で、這いつくばった体勢のままで、二度目の射精を行ってしまったのだ。  
忍の顔のほとんどが影に入ってしまっているおよそありえない場所への放出。  
うつ伏せの体勢のまま腰が震えて二度目にしては少なくない量を咥内へ吐き出し続けてしまう。  
なんだこれ、妹の目の前で射精するとか意味がわからない。  
死にたい。死んでしまいたい。  
「すまん……僕はもう駄目だ。僕がいなくなってしまっても月火ちゃんだけは僕を忘れないでいてほしい」  
「いや意味わかんないから」  
「月火ちゃんは知らないだろうけど腕立て伏せしてると死にたくなることが男にはあるんだ」  
「それはどちらかと言えば知りたくないし、ありえないよね」  
「ごめん、ちょっとだけ一人にしてくれ……」  
出し切ってぐたりと地面に這いつくばってマジ泣きしてる僕はそれこそ虫けらのような存在だ。  
いやもう、虫様にも失礼かもしれない。  
「はぁ……なんだろうねこの兄は」  
黙ってしまった僕の後ろで月火が出ていってしまった。  
失意と絶望で打ちのめされてぐったりとしていると僕の目の前でにょきっと二本の足が床から伸びた。  
(犬神家の一族!)  
「うるせえよ!」  
ドヤ顔ならずドヤ声に思わず足を叩くと横に倒れこんで上半身も出てくる。  
「ジョークじゃよ。いやすまんかったのう。気持ちよすぎて我を忘れてもうたわ」  
「ああ、最悪なぐらい僕も気持ちよかったよ」  
忍が悪いわけじゃないのはわかってるが、あまりにあまりな出来事に気が重い。  
「まあ目的は果たせたようじゃ。二度もあんな濃ゆいの飲まされれば当然じゃかの」  
にししとケンケン風に忍は笑って。  
「あるじ様がこんなにも興奮するのならもう一度やるのも悪くないのう」  
「もう二度とごめんだよ!」  
「ならば趣向を変えてじゃ」  
忍がまた影に沈むと今度は小さな裸のお尻だけがぽよんと飛び出している。  
(好きなんじゃろ?)  
さきほどの行為のためかあそこかぐっちょりと濡れて幼い作りに淫猥な匂いを振り撒いていて。  
「やるか!」  
ぺしっと忍のお尻を叩いてひっこめると普通に忍が影から出てきた。  
「あるじ様がやってほしければいつでも付き合ってやるぞ」  
やんねえってば…………多分。  
「とりあえずまだ時間あるし、シャワー浴びてからミスド行くぞ」  
そんなわけで、人生観が変わってしまいそうな出来事を無理矢理飲み込んで僕は立ち上がるのだった。  
 
 

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル