黒地に黄金の装飾を塗した輪を大事そうに携えた少女がいる。  
小さな球体を幾重にも連ねた輪を誇示するように構えた少女がいる。  
そして僕の相棒は――忍野忍は――深く深く、絶望していた。  
「い…いやじゃ…それ、は…それだけ…は…」  
「あら、往生際が悪いわよ忍ちゃん。もうこれは決定事項なの」  
「あ…ああ…っ。駄目、駄目じゃ…儂は…儂はぁ…っ」  
「…ふふ。案外子供っぽいんですね」  
「…ああ……あああぁぁぁああっ……」  
 
 
 
「ポンデリングは忍ちゃん相手でも譲れないわ」  
「このドーナツ配分は公平なくじ引きで決めた事じゃない」  
ゴールデンチョコレートを美味しそうに頬張る羽川がいる。  
ポンデリングを忍に見せびらかしながら食べるガハラさんがいる。  
で、忍はリアルorz状態。  
…はあ。平和だなあ。  
オールドファッションに噛り付きながら、僕はしみじみとそう思ったのだった。  
 
 

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