月の明るいとある夜。  
否定姫は、奇策士とがめの動向を右衛門左衛門から聞き終えたところだった。  
月を眺めながらなんとなく否定姫は話を続ける。  
 
「ねえ右衛門左衛門、あの不愉快な女ったらさあ、金や名誉では人は裏切るものだから  
七花君は愛で雇ったんだって。七花君ったらあの女のこと愛しちゃってるらしいわ~。物好きよね?」  
「は」  
「右衛門左衛門、あんたはどうなのかしらね?  
あんたは別に愛で雇ったわけじゃないから、いつかは私を裏切るのかしら?」  
天井裏の男に向かって否定姫はそう戯れる。  
「姫さま!」  
思わず右衛門左衛門の声がきつくなる。  
「あら、怒った?だって私の事別に愛してる訳じゃないでしょ?」  
少し間をおいた後、右衛門左衛門は迷いなくはっきりと答えた。  
「・・・・・・姫さま、それは違います」  
「ん?私の事愛してるとでも言うつもり?」  
「そうです」  
「・・・・」  
自分から振った話ではあったが、右衛門左衛門の直球の返答に  
否定姫はいささかあわてた。  
「・・・ならなんで好きな女をものにしようとしないわけ?あんたそれでも男なの?」  
否定姫はなかばやけくそ気味に煽ってみる。  
右衛門左衛門はどんな反応を示すのだろう?  
 
刹那、右衛門左衛門は音も無く下に降り立ち、否定姫のすぐ目前に歩み寄った。  
「っ・・・」  
不意を突かれて否定姫は一瞬たじろいだ。  
右衛門左衛門は否定姫の腰に手を回しすばやく抱きよせると、耳元でささやいた。  
「・・・ならば姫さま、これから私がすることを許してくださいますか?」  
自分の頬がカーッと熱くなってくるのを誤魔化すように、否定姫は憎まれ口をたたいた。  
「・・・・・ゆ、許さないわよ、もし私を満足させられなかったら・・・」  
その言葉を聞くと、右衛門左衛門は否定姫の体をより一層強く抱きしめ、ゆっくりとその唇に口づけた。  
「・・・ん・・・」  
始めは探るように慎重だった右衛門左衛門の口づけは、次第に情熱を帯び、  
二人の唾液も吐息もどちらのものか分からなくなるくらいに溶け合う。  
否定姫の柔らかな唇の感触、時々漏れる切なげな吐息に  
右衛門左衛門の中の雄の本能が一気にあふれだしてくる。  
口づけをしたまま寝台に倒れ込み、否定姫を下に組み敷いた。  
 
「・・・姫さま・・・」  
「・・・ん、あ・・」  
首筋、耳朶へと口づけを移動させながら、右衛門左衛門は否定姫の胸元を緩めていく。  
帯を解いてしまえば、薄い夜具は事も無く左右に解かれ、否定姫の白く美しい肢体が右衛門左衛門の目にさらされる。  
豊かな乳房やなめらかな腰が、かすかに月明かりが差す部屋の中で妖艶に浮かび上がる。  
そのあまりの美しさに右衛門左衛門の目は釘づけになり、しばらく声を失う。  
「・・・や・・・・・・そんなに見ないでよ・・・」  
「姫さま、あなたは美しすぎる・・・・・」  
たまらずに右衛門左衛門は否定姫の乳房に愛撫を与え始める。  
「あ・・・」  
両手でやさしく揉みしだき、つんと尖ったピンク色の乳首に舌を這わせる。  
時々乳首を甘噛みすれば、否定姫の艶を含んだ悩ましげな声が漏れてくる。  
「・・・あっ・・・ああ・・・ん・・・え、もんざえもん・・・・・」  
 
自分も素早く衣服を脱ぎ去り、胸に愛撫を加えながらそっと秘密の茂みに手を這わせてみると  
そこはすでに蜜で溢れていて、右衛門左衛門を喜ばせた。  
「ああっ・・!」  
びくんと否定姫の体が反応する。  
指に蜜を絡めゆっくりとそこを撫でさすりながら、右衛門左衛門は否定姫の耳元でささやく。  
「・・・姫さま、すごく濡れています・・・」  
「・・・っば、ばかっ・・・言わな・・いでよ・・・っ・・・ああっ・・・や・・・ん」  
右衛門左衛門の指が蜜壺の奥に侵入しゆっくりと出し入れを始めると、否定姫の抗議の声も弱々しくなってくる。  
指による秘部への愛撫を続けながら、右衛門左衛門の唇は下半身へと移動していき、金色の茂みに潜んでいた小さな突起をとらえる。  
「あああっ!・・・や、やだ・・・そ、んなところ・・・ああっ!」  
挿入する指を2本に増やしながら、右衛門左衛門は舌で敏感な突起の周囲を優しく舐めなぞり、時折り突起を直接舐め上げる。  
否定姫の蜜壺からはとめどなく蜜があふれ出し、淫靡な水音が寝所に響く。  
両足の間の右衛門左衛門の頭を思わず掴みながら否定姫は艶のある悲鳴を上げ続けた。  
「ああっ!・・・あっああああ・・・・やぁっ!あああああああっ!」  
やがてひと際高く声を上げると、否定姫は達してしまった。  
 
「はぁ・・はぁ・・・」  
右衛門左衛門は身を起こし、否定姫の達したばかりの上気した美しい顔を見つめ、  
愛おしそうに少し乱れた金色の髪を撫でる。  
「・・・姫さま」  
「え・・・もんざえもん・・・」  
達し乱れた姿を右衛門左衛門に見られてしまい、否定姫は自分の顔が赤くなっていくのを自覚する。  
右衛門左衛門は否定姫を改めて抱きしめ、その柔らかい唇に深く口づける。  
「・・ん・・ふ・・・」  
「・・・姫さま・・・愛しています・・・・・」  
右衛門左衛門に聞こえてしまわないように、否定姫はとてもとても小さな声でそっとつぶやいた。  
「・・・・・・わたしも・・・・・」  
 
右衛門左衛門は否定姫の両足を左右に割り、自身の先端を否定姫のすっかり濡れそぼったその部分にあてがう。  
「姫さま」  
「・・・あ・・・きて・・・」  
右衛門左衛門がぐっと腰を押し進めるとやがて二人の体は一つになった。  
「っ・・・」  
「ああっ・・・!」  
あまりの快感に右衛門左衛門は一瞬頭が白くなる。  
忠誠を誓い、尊敬し、崇拝し、守り愛する女性を、遂にこの手で抱いている。  
否定姫の快感にゆがんだ美しい顔を見下ろしながら  
自分の理性がはじけ飛んでいくのを右衛門左衛門は否定できなかった。  
「・・・・・姫さ・・・まっ・・・」  
夢中で腰を打ちつけながら、いとしい姫の名を呼ぶ。  
「ああっああああ!・・・やっあっあっああ!・・・えっ・もん・・ざ・・・ああっ!」  
右衛門左衛門に激しく揺さぶられながら否定姫も言葉にならない声を上げ続ける。  
「・・・っく・・・」  
「ああっ・・・あっ、あっ・・・や・・・!」  
必死に右衛門左衛門にすがりつきながら否定姫は次第に高みへと登りつめいていく。  
「ああっ・・え・・・もん・・ざえもん・・ああっ・・・・・も、もう・・・・あああっ!」  
右衛門左衛門は否定姫の両足を肩に抱え上げ更に深く激しく打ちつける。  
「姫さま・・・一緒に・・・っ・・・」  
「あああっ!ああっ!あああああああ!」  
否定姫が達したことを確認すると、右衛門左衛門も自身を解放した。  
 
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否定姫とまだ繋がったまま、右衛門左衛門は姫を抱きしめる。  
まだ余韻が続いているのか、否定姫は右衛門左衛門の腕の中で時々震えている。  
「姫さま」  
慈しむように否定姫の髪を撫で、震える唇にそっと口づける。  
「ん・・・」  
「少々無理をさせてしまいました。大丈夫ですか?」  
「・・・・・大丈夫じゃない・・・」  
右衛門左衛門は少し困ったようにかすかに首を傾ける。  
「あんたって意外と遠慮が無いのね」  
「・・・申し訳ありません」  
「責任取りなさいよ?」  
「・・・は」  
照れ隠しの為か、顔を見られないように右衛門左衛門の胸に額を押しつける。  
「これからも私を満足させるのよ、わかった?」  
「御意」  
否定姫の中に残したままだった右衛門左衛門の分身が、再び質量を増してくる。  
「えっ?・・・あっ・・ちょっと・・・やん・・・っ」  
「・・・姫さま、お許しください・・・」  
否定姫の返事を待つことなく再び臨戦体制に入る右衛門左衛門なのだった。  
 
 

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