「なあ、阿良々木先輩」
「うん? どうした神原後輩」
「恵方巻きを食べる時は、その年の恵方の方角に向かって食べるそうだ」
「またその話題か」
「またその話題だ。それで、阿良々木先輩の恵方巻きを下の口で丸かぶりする時には、
上と下、どちらの口を、その方角に向ければいいのだろうか?」
「知らねえよ!」
「いや、当然向かい合って抱き合ってしまえば、自然とどちらの口も同じ方向を向くのだ
が、私のは下付きなので、後ろから食べる方がより気持ちいいと思うのだ」
「そんな、女子同士でもするかどうか微妙な話題を男の先輩に振ってんじゃねえ! お前
がそんなだから、お祖母ちゃんが、ネットの掲示板で相談を書き込むような事態になっ
ちまったんじゃねえか」
「ぐあっ……!」