「私が落としたのは、この金の阿良々木君? それとも銀の阿良々木君?」  
「いや、待て戦場ヶ原。まあ、あんまり声高に言う事でも無いと思うが、どっち  
 かというと、僕がお前を落とした、というのが正確なんじゃないか?  
 まあ、確かに意図的なアプローチという意味では、僕の方からは何も  
 していなかったわけだし、お前が落としたっていうのも間違いじゃないだろうけどさ」  
「ちなみに、銀の阿良々木君は五人で金の阿良々木君と交換できるわ」  
「スルーかよ! そしてなんだそのエンゼルチックな僕は!?」  
「金の阿良々木君は玩具の缶詰と交換できる……というか、阿良々木くんが  
 玩具であり、缶詰でもあるのだから、交換する必要は無いわね……どうしたら  
 いいのかしら?」  
「僕に聞かれても困る……っていうか、玩具はともかく、僕が缶詰って意味が  
 わかんねえだろ……」  
「あら、阿良々木君は常に私という愛の缶詰にぶち込まれたコンビーフ状態じゃない」  
「ますます意味がわからなくなった!?」  
「シュールストレミングの方が良かったかしら?」  
「最臭兵器はやめてくれ!」  
「ともかく、もう一度聞くけれど私が落としたのは金の阿良々木君? それとも銀の阿良々木君?」  
「……残念だが、金でも銀でもない、普通の阿良々木暦だよ。お前に堕ちてったのはな」  
「そう。正直なのね、阿良々木君は。まあ、そこが好きな所でもあるのだけれど」  
「さ、さらっとそういう事言うなよ……何か、照れるだろ」  
「じゃあ、正直な阿良々木君には、この金の忍野さんと、銀の貝木を」  
「いらねえよ!?」  
「うーん、阿良々木君は今日も元気がいいねえ。何かいい事でもあったのかい?」  
「今回の事からお前が学ぶべき教訓は、正直者は割と大変な目に遭う、という事だ」  
「お前ら帰ってくれ、頼むから……」  
「ああとがよろしいようで。ちゃんちゃん」  
「よろしくねー!?」  
 
                                    おわり  
 
 

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