神原駿河は全裸だった。
いや、すまない。つい見栄を張ってしまった。厳密にはズタズタのスパッツ一丁だ。
……おお、いかん!これでは猿の手が剥き出しではないか!
私はスパッツを脱いで左腕に巻き付けた。うむ。完璧だ。パーフェクトカンバルだ。何という解放感……素晴らしい!
そういえば昔、阿良々木先輩とスパッツの下に下着を履いているか否かで激論を交わしたことがあったな……。いや、今そんなことはどうでもいい。
私は自宅近くの住宅街に居るのだが、何故こんな所に居るのかさっぱり見当もつかない。周りにもボロボロの格好をした人がちらほらと見えるが格好の割に怪我などは無いようだ。
……おや?年端もいかない男の子がじっとコチラを見ている。…………うむ。……良うし、良うし!少年の性の目覚めに関与したぞ!
しかし、グチャドロのゾンビ集団に取り囲まれて揉みくちゃにされた所までは覚えているのだが……そうか、私も映画のセオリー通りゾンビの一員となっていたのだな。服は這いずり廻っている内に脱げたか破れたかしたのだろう。
恐らく阿良々木先輩的な人が事態を治めてくれたのだろうが、そんな一大事に我を無くしてかゆうましていたとは……不覚!
そんなことを考えてる内に周りに居た人々が動き出した。それぞれ違う方角へ歩き出している。皆何処へ……はっ!そうか!家へ帰るのか!こうしてはいられない!
近所の可愛い女の子の家は全て把握している。あられもない少女たちの姿を目に焼き付けるため、神原駿河は走り出した。