あなたが。
あなたが悪いんですよ。
…………。
いや。
わかっている。
悪いのは自分だ。
今悪いことをしているのは間違いなく自分だ。
でも仕方ないではないか。
こうでもしなければ彼は私を見てくれない。
私を私として見てくれない。
助手の私でなく『木賀峰約』としての私を。
私は仮眠室のベッドで眠る彼を見下ろす。
ひょっとしたらこの人には睡眠薬など効かないのではないかと思ったが、頭脳と違って肉体は存外普通らしい。
私は自分の白衣を、衣服を、下着を脱ぐ。
一糸纏わぬ姿になり。
そのまま眠る彼の身体に覆い被さる。
それは羞恥か期待か罪悪感か。
高鳴る心臓の音はそのまま口から愛しいその名を呼ばせた。
「西東先生…………愛してます」
私はゆっくりと唇を彼へと近づけていく。