「というわけでお前様よ、儂は今日一日は出掛けるつもりはないからの」
僕の影から出てきた幼女吸血鬼、忍野忍は突然ワンピースを脱ぎ捨てながらそう宣言した。
どこから突っ込んでいいものか悩んでしまう。
「幼女のヌードを見て突っ込もうとはロリコンにもほどがあるぞお前様」
「僕はロリコンじゃねえよ!」
とりあえず重要なところから突っ込んでみた。
僕がロリコンなどという根も葉もない噂が立ったら大変だからな。
「で、いったい何があったんだ? もともと今日は天気が悪いから出掛けるつもりはなかったが」
「うむ、実は別次元での契約でな。儂は服を脱がねばならなくなったのじゃ」
全然わからない。
ベッドでごろごろとしている忍を見る限り、なにか緊急事態が起きてるというわけではなさそうだが。
「……なにを見ておる。欲情したのか?」
「するか! メリハリのない身体のくせに」
「ふむ、そうは言っても」
忍は身体を起こし、一瞬で椅子に座っている僕の目の前に移動してくる。
「目線やココはそう言っておらんようじゃが」
そのまま僕の股間に触れてきた。
自分でも知らぬ間にそこはテントを張ってしまっている。
「しょ、しょうがないだろ。おまえは幼女体型と言っても綺麗な肌してるし可愛いんだし!」
「え…………?」
突然動揺してもじもじし始める忍。
いったいどうしたんだろう?
「あ……えっと……」
両腕で身体を覆い隠すようにし、こそこそとベッドに戻ってシーツを身体に巻きつけた。
ちょっと赤くなった顔を伏せがちにしながらこちらを窺う。
「な、なんか少し恥ずかしくなってきおった……その、服、着てもよいか?」
「いや、構わないけど……」
勝手に脱いでいながらなんで着るのに僕の許可を得ようとするんだ?
でも忍の肌を観賞できないのはちょっぴり残念かも。
忍は僕に背中を向け、もそもそと先ほど脱ぎ捨てたワンピースを着始める。
「…………」
僕にちょっとした悪戯心が生まれた。
そっと忍の背後に忍び寄る。忍なだけに。
…………つまんない。
気を取り直して僕は忍にガバッと抱きつく。
「わ、わわっ!?」
「ははー、忍は可愛いなー可愛いなーこんちくしょう! 愛でちゃうぞー愛でちゃうぞー!」
「や、やめいお前様!」
こうして暇な休日は。
恥ずかしがる忍を一日中可愛がるという有意義な行為で潰されたのだった。