『幸せの数』
「…………」
「どうした戦場ヶ原? 自分の手をそんなに見つめて」
「いえ、あるものの数を数えていたのだけれど指の本数が足りなくなってしまったのよ」
「ふーん、で、何を数えていたんだ?」
「阿良々木くんと出逢ってからの幸せを感じた回数よ」
「…………えっと」
「これから先も増え続けていくとなると足の指を使っても足りなくなりそうね」
「いいじゃないかそれで。十回二十回と言わずどんどん増やしていこうぜ。そのくらい僕が叶えてやるさ」
「ちなみに二進数で数えているわよ」
「1024回!?」
「足の指を換算して超えるくらい幸せを感じさせてくれるのかしら?」
「10万回以上になるのか……」
「それでどうなの?」
「ああ、一生をかけて頑張るよ。達成するまでは傍にいてくれ」
「とりあえずまたひとつ増えたわ」