「ゴホゴホ……頭がいてーぜ兄ちゃん」
「風邪だな、お前は馬鹿じゃないってことか」
「馬鹿は風邪をひかないんじゃなくてニブいだけだとあたしは思うんだ、ケホケホ」
「いいから横になってろ。薬と水持って来てやるから」
「……なんか兄ちゃん優しー」
「このくらい当然のことだろ」
「でも昨日の夜あんな格好であたしを追いかけ回した兄ちゃんが風邪ひいてないのはおかしい」
「おかしいのはお前の記憶だ。ありもしないことをさもあったかのように話すな」